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映画・演劇のレビュー

演劇ソリッドアトラクションLINX'S 『Non stop to TOKYO 』

2013-02-16 21:09:21 | 映画
 今回のLINX'S は東京から4劇団を召集した『Non stop to TOKYO 』だ。しかも、今までとの違いは1劇団60分という中編を上演することだろう。そのため1プログラムは2劇団ということになる。僕は2日目の上演に行ったのだが、ニコルソンズはちゃんと1時間の作品になっているのだが、もうひとつの虚飾集団廻天百眼はなんと80分の長編。そのせいで、終演は10時半を過ぎてしまうという状況に陥るのだ。大阪の僻地、うら淋しい安治川のほとりにある世界館を出たのは、なんと10時40分だ。それだけでもなかなか強烈な体験だった。

 昔の日本映画は(ほぼ)みんな2本立で、途中10分休憩を挟んで上映されていたのだが、今回のこの公演は、まるで(たまたまそうなっただけなのだが)そんな昔懐かしの在りし日の日本映画を想起させる。そんなこんなの2本立上映の演劇版のような興行になっている。しかも、劇場は世界館である。ここはもしかしたら昔は映画館だったのではないか。なんだか、昔よくあった場末の映画館の風情が漂う不思議な空間だ。

 プロデューサーの石田1967さんは、本当に思いきったことをしてくれる。今までの「演劇ソリッドアトラクションLINX'S」とは一味違ったものを提示した。1時間の中編作品2本立というアプローチは、今後、更なる進化が期待できる。東京から、今までなら単独で大阪公演をしたくても出来なかった集団を呼んできて本格的な上演を プロデュース可能だ、ということを証明した。しかも、一気に2劇団が見れるなんてなんてお得な公演なのだ。

 ニコルソンズは、以前このLINX'Sで一度見ている(ゾンビのやつ)ので、その面白さは保証済みなのだが、今回の『泥島オズ子物語』は前回とはまた一味違う魅力にあふれた作品で、至福の1時間だった。 「バブル世代にとどめを刺す!金と欲にまみれた懐メロミュージカル。 アラサー&アラフォー世代の皆さまに捧げます。」と劇団のホームページにはあったが、それにしてもこれはとんでもない作品である。

 1時間の中に、なんと30曲もの80年代のヒット曲が網羅されているのだ。次から次へと、役者たちがマイクを持って歌う、歌う。しかも、お話自体はたわいもないが、その怒濤のバカバカしい展開が、ヒット曲に乗って綴られると、なんだかよくわからないけど、とてもハイな気分になるのだ。どんどん、やってくれ、と思う。しかも、何が凄いって、最後に何もオチが付かないのだ。やりっぱなしなのである。まとめる気なんかまるでない。とっ散らかしたまま。その開き直り振りは立派だ、というしかない。これは1時間という上演時間を逆手に取った荒技だ。このむちゃくちゃな展開を強引に見せきれるのは、主人公オズ子のキャラクターがあるからだ。金なんて、とは言わないけど、金って、凄い。そんな当たり前のことを教えてくれる。(というか、何も教えたりはしないけど)

 
もう1本の虚飾集団廻天百眼については、ちょっとじっくり書きたいので、後回しにする。いろんな意味でこれには驚かされた。たわいもない作品である。だが、久々にこんなにも刺激的な舞台を見たのも事実だ。もちろん、同じように「たわいもない」(今回この言葉は褒め言葉だ!)と先に書いたニコルソンズ同様、これはぜひ、自分の眼で目撃されたい。虚飾集団廻天百眼『夢屋地獄変』は、明日(11時)まで。

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