なんだかとんでもなくバカバカしい映画を見たくてこの映画を選んだ。福田雄一監督だからくだらないし、楽しいはずだ。しかも彼が初の本格ミュージカルに挑戦したというあほらしいさも買いだろう。
僕は元来ミュージカル映画は基本苦手だ。昔『シェルブールの雨傘』を見てずっこけたのがトラウマ。当時こんなアホな映画を見てられないと思った。確かまだ純真だった中学3年の時だ。純情な映画少年だった。あれが人生初ミュージカルで、その後しばらくミュージカルというだけでその映画は避けた。あれは当時の僕には衝撃的だった。なんで歌うのか、訳が分からなかった。それくらいにくだらなかったのだ。ただ、あれはミュージカルとしては邪道だ。あれが最初だったというのが不幸だった。あんなミュージカルはほかにない。全編歌いながら台詞も歌いながらなんだから。幼い映画ファンだった当時の僕には受け入れがたかったのは今ならわかる。
当然、その後『雨に唄えば』を見て感動したし、ハリウッドのミュージカルの凄さを知って免疫もできた。でも、先日『キャッツ』を見て「やっぱりあかんわ」と思った記憶も新しいが。
そんなこんなで、この福田監督による本格ミュージカルである。もう、全編無意味に歌う踊るのオンパレード。強引な嘘くささ。しかもヲタクである。高畑充希と山崎賢人のヲタ・カップルの恋物語なのだが、とことんヲタクのネタで突っ走る。どんだけやるのか、それだけで楽しいことは楽しいのだけど。
この大概なくだらなさは、幾分失笑ものだけど、それにあまり映画自体も弾けないのも難点だけど。思ったほどには笑えなかったけど、まぁ、悪くはないというレベル。ただお話がまるで広がらないのが問題。でも高畑充希の怪演は凄い。まぁ、いろいろ不満はあるけど、大人なので腹は立たない。