2008年の城定秀夫監督作品。5分見てこれはダメだとわかったけど、いつもの癖で我慢して最後まで見た。後半はさすがにスマホ見たり、間食にウエイトを置いたりして退屈を紛らしながらだったけど。(義務じゃないからやめたらいいのに、ね)70年代の暗い青春映画を彷彿とさせる感じの作品だ。でも、まるでつまらない。映画『神田川』(出目昌伸)とか『赤ちょうちん』(藤田敏八)とかに通じる世界だが、ね。(前者はつまらないが後者は傑作だ)かぐや姫のフォークの世界だね。懐かしい。どちらももう50年も前の映画だ。それにしてもこの映画のビデオパッケージ(というか、たぶんポスターもこれだろうけど)凄いな。ありえない。えぐい。『神田川』のポスターに微妙に似ている。
正直言ってこれは酷い映画だ、と思う。青春映画としてもエロ映画としても中途半端。夢を追いかけて田舎から東京に出てきた若いふたりの無残な日々が描かれたよくあるパターンの青春残酷物語。せめてもう少しあっさり描いていたら少しは共感することができたかもしれない。なのにありきたりの展開になって、嘘くさい。ミュージシャンの夢破れヤクザの仲間入りとか、ない。モデルにスカウトされて、プロデューサーに乱暴されるとか。
15年前の映画だけど、あまりに安直で悲しい。蒼井そらの自伝的映画だという触れ込みも虚しい。青年漫画の映画化のようだが、せめて低予算なりの挑戦が欲しい。
AmazonプライムやNetflixに収められた作品だからあまり過激な映画はないのだろうけど、『アルプススタンドのはしの方』以降大躍進の城定秀夫、その膨大な過去作の秀作という触れ込みの映画を一度見てみたい。『アルプス~』以降メジャーの一般映画に移行して量産された後の映画はほぼすべて見ているが、いずれも何か物足りない作品ばかりだ。盟友の今泉力哉はあれだけ傑作をものにしてるのに。でも、世評ではあれだけ評判になっているのだから、きっと凄いものがどこかにあると思うけど、僕は残念ながら見ていない。なんだか少しだけ悔しい。
一般映画だけではなく新作ピンク映画『扉を閉めた女教師』も見たけど、当然惨い出来だ。女教師と男子生徒が体育倉庫に閉じ込められてしまう監禁劇というピンクの定番。夏の学校という雰囲気はいいけど、それだけ。新作では『恋のいばら』はなかなかの作品だったけど、そのほかの作品はいまいち。僕は『アルプススタンドのはしの方』も買わない。どちらかというと『女子高生に殺されたい』のほうがいいと思う。23年もどんどん新作が待機しているようだが。大丈夫か。