![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/20/12554ac2f78b666673720b5d8ffff64a.jpg)
4世代の女たち。長崎の旧家を舞台にして祭りの日に久々に家族が揃う。80代の祖母と60代の母親。40代のふたりの娘。さらには次女の20代の娘。そこに11歳の近所の子も加わるから、なんと、都合5世代にわたる女たちの群像劇になる。彼女たち6人が集う。さらにはそこにやがて生まれてくるはずの未来の子どもたち2名も含めて、8人のお話。代々続いた「家」というものが消えていくことになるのではないかという不安。跡継ぎとなる男がいないこと。お話はそこから始まる。そんな中、ひとりひとりがどう生きていくのかが描かれていく。これまでは、家と家族に守られて生きてきたが、これから先どうなるのか。
ある日の午後のひとときのスケッチである。演出のしまよしみちは、女たちの会話劇をさらりとしたタッチで見せてくれた。芝居は実にテンポよく流れ、彼女たちのことばのキャッチボールがとてもここちよい。だがそこからそれぞれが抱える不安が何気ない描写からも見え隠れするという仕掛けだ。超然とここにいる祖母と座敷童みたいにちょこんとそこにいる近所の子という傍観者的なふたりを両極に置き、3世代の4人の物語は家とは何なのか、ということを改めて考えさせてくれる。大きなテーマを抱えるのではなく、小さな出来事からそこに至る。ひとりひとりの想いがきちんと描かれるのがいい。そして6人のアンサンブルプレーが楽しい。今回は、客演に頼らず久々に劇団員だけでの公演となるらしい。しかも、女優だけの舞台だ。蓬莱竜太の台本はそのまま演じると2時間半になるらしいが、それを大胆にカットして1時間50分に仕上げた。でも、もっと見ていたい、という気分にさせられる。それは役者たちひとりひとりが魅力的だからだ。
そして、舞台美術。こちらも実に素敵だ。舞台となる広間の向こう側の廊下や部屋も視野にはいるように作られてあり、この家の広さが的確に表現できてある。しかも、それを劇団未来のワークスタジオという狭いスペースで可能にしたのは見事だ。