「芸術は、心のごちそうですね」音楽と料理。最初のエピソードで魅了された。お腹を満たすこと。心を満たすこと。ふたつが同時になったとき、最高の瞬間が生まれる。
6つのエピソードは6つのおいしい料理。ビストロ「つくし」は移動レストラン。期間限定で現れる幻のようなキッチン。サーカスのテント、イルミネーションに導かれて、席に座ると、まさかの極上のおもてなしに遭う。あなただけのスペシャリテ。
音楽、絵画、演劇、映画。そしてミュージカルと能楽。料理とアートの組み合わせはさまざまな幸せを運んでくれる。だがだんだんパターン化して飽きてくる。最初の感動はやがてただのパターンになり、いつものお約束。お話はルーティンワークとなり、インターバルというか、全体のブリッジというか、つくしのシェフが翁探しをするエピソードが、4回に分かれて描かれるが、こちらは単調で説明的。こちらが全体をまとめていくのだが、驚きはない。せっかくの魅力あるお話がまるで展開のないものになり、ガッカリする。芸術と料理を並べることから始まる幸福への旅。なるほどと思える結末が欲しい。