久々のマイケル・ムーアの新作。相変わらずのマイケル節を楽しめるかどうかが、ポイントとなる。だが、僕はもう楽しめない。描かれることは確かに驚きだ。世界にはこんなことがあるんだ、と感心するし、羨ましくもなる。だが、そこから彼が何を引き出そうとするのかがわからない。アメリカも諸外国に見習いましょう、なんてレベルで終わられては、映画じゃないと思う。これではただのTV番組でしかない。バラエティの世界不思議発見(そんな番組ないだろうけど)でしかない。
描かれる驚きの事例をただ、それだけで終わらせる。こんなの映画を見なくても、新聞記事かなんかとして、書けばいい。それを水増しして映像で見せるだけ。最後に旗を立てるシーンなんか、あほらしくて見てられない。演じている本人はともかく、彼の相手する人たちも、笑うしか無かろう。
長期有給休暇を満喫するイタリア人。刑務所がリゾート地のようなノルウェー。宿題なんかなしなのに、子どもたちはなぜか成績のいいフィンランド、等々。チラシにも紹介されてある。そのまま、それだけ。しかも各エピソードはただ並べただけで、そこには何の工夫もない。
僕はこんなにも奥行きのない映画を知らない。単純すぎるのはいいことか? でも、それだけでは、きっとただのバカではないか。2時間退屈はしないけど、これは映画とは言わない。