シリーズ第2作。前作は東日本大震災から1年までのお話で、神戸から東北の被災地に行った小学教師が過ごす1年間のドラマだったが、今回はその次の1年。震災から2年目の日々。1年目以上の困難が彼を待ち受ける。がむしゃらにやった1年目。だが、その後、へこむ。頑張りは続かない。だって人はちゃんと休まなくてはガス切れする。
攻撃的で攻めの姿勢を貫いた1年目のようにはいかない。少しずつ復興してきたような町。でも、現実はまだまだ。瓦礫の撤去すらままならないけど、人は今ある現実に少しずつ慣れてくる。諦めなのかもしれない。でも、諦めるなんて出来ない。だから、もっと、行き詰まる。7つのエピソードを通して、ままならない現実と向き合い、戦う彼と、彼のクラスの子供たち、周囲の人々が描かれる。
トラウマにならないはずはない。でも、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。子供たちに教えられることは多い。お互いに協力しながら、少しずつ前進していけばいい。普通の生活を取り戻すことの困難。簡単に立ち直れるはずもない。わかっている。6年の担任から、もう一度次の6年を受け持つ。1度目の子供たちのひとつ下の学年なのだが意識はかなり違う。去年のやり方は通用しない。
各エピソードの前に挿入される写真が胸を打つ。この圧倒的な現地の風景(写真も作者)と、描かれるドラマが相乗効果を発揮する。ドキュメンタリーではないけど、まるでドキュメンタリーのような効果を示す。震災と寄り添い、そこで生きる人たちの苦悩をわかりやすい文体で、ストレートに描く。少し甘いけど、こういう内容なのだ。そこにはこのくらいの甘さは必要だと思う。