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角田光代は、怖ろしい。ここまで不快な気分にさせてくれる小説はめったにない。三面記事に載る小さな囲み記事から妄想される人の営みを、さらりと(でも、ドロリ、としてるが)描き、どこまでが、実際の事件に取材した事実で、どこからが彼女の想像力の産物なのかよくわからない世界へと僕たちを誘う。
6つの小さな新聞記事にインスパイアされた世界は、事実をベースにして、真実に至る小説の王道を行くショート・ストーリーである。吉田修一の『悪人』が40ページ程の作品になって6つ並んでいるくらいのインパクトがある。読んでいて気分が悪くなり、哀しいなんてものを通り越して、生きていく気力を失わせるくらいの衝撃を与える。限りなくイヤな小説だが、ここから目を背けることが出来ない。
はっきりと「この小説は実際の事件を発想の発端にしているが、フィクションであり、事実とは異なる」と明記されてあるが(言われなくても当然そうだろう、と思わせるように出来ている)事実の底に流れているものも、きっと同じであろう、と思わせるくらいにリアルなのだ。思わず、読み終わると、その度、最初に戻って引用された囲み記事を何度も読み返してしまう。
愛人を自宅の庭に埋めたまま、26年妻とともに暮らした男。(『愛の巣』)
恋人の妻をインターネットで知った男に殺すように依頼し、お金を振り込み続けた女。(『ゆうべの花火』)
16歳の少年を自宅に誘い込み生活する38歳の母親。(『彼方の城』)
前半のこの3篇は凄すぎる。
後半の3篇もそれぞれ強烈だが、だんだん読んでいて気分が悪くなってきてしまい、疲れた。ラストの、ぼけ老人となった母親の介護を続け、自分の人生を失くしてしまう男の話(『光の川』)なんて、あまりの痛ましさとおぞましさで、途中で何度も本を閉じたくらいだ。
ノンフィクションではなく、小説であることの力を感じさせる。これは現実の先にある妄想だ。悪夢のようにこれを読むといい。
6つの小さな新聞記事にインスパイアされた世界は、事実をベースにして、真実に至る小説の王道を行くショート・ストーリーである。吉田修一の『悪人』が40ページ程の作品になって6つ並んでいるくらいのインパクトがある。読んでいて気分が悪くなり、哀しいなんてものを通り越して、生きていく気力を失わせるくらいの衝撃を与える。限りなくイヤな小説だが、ここから目を背けることが出来ない。
はっきりと「この小説は実際の事件を発想の発端にしているが、フィクションであり、事実とは異なる」と明記されてあるが(言われなくても当然そうだろう、と思わせるように出来ている)事実の底に流れているものも、きっと同じであろう、と思わせるくらいにリアルなのだ。思わず、読み終わると、その度、最初に戻って引用された囲み記事を何度も読み返してしまう。
愛人を自宅の庭に埋めたまま、26年妻とともに暮らした男。(『愛の巣』)
恋人の妻をインターネットで知った男に殺すように依頼し、お金を振り込み続けた女。(『ゆうべの花火』)
16歳の少年を自宅に誘い込み生活する38歳の母親。(『彼方の城』)
前半のこの3篇は凄すぎる。
後半の3篇もそれぞれ強烈だが、だんだん読んでいて気分が悪くなってきてしまい、疲れた。ラストの、ぼけ老人となった母親の介護を続け、自分の人生を失くしてしまう男の話(『光の川』)なんて、あまりの痛ましさとおぞましさで、途中で何度も本を閉じたくらいだ。
ノンフィクションではなく、小説であることの力を感じさせる。これは現実の先にある妄想だ。悪夢のようにこれを読むといい。