この小さな映画の魅力は主人公の少女の瞳にある。媚びない。でも、決して強くはない。ふつうの女の子だ。そんな女の子に映画はしっかりと寄り添う。だが、彼女を甘やかすのではない。ただ静かに彼女を見守るだけだ。
予告編を見たとき、なんだか『ミツバチのささやき』のような話だなぁ、と思い興味を持った。主人公の少女が姉と2人で人の住まなくなった屋敷の探検に行く。門をくぐり、庭を通り、玄関先までやってくる。すると、何もしないのに、ドアが自然に開き、怖くなって逃げ出す。この冒頭のエピソードがこの映画全体を象徴する。開かれたドアの向こうに行くこと。開かれたドアの向こうからやってくるものと向き合うこと。それが描かれる。
もっとスピリチュアルな話かと思ったが、そうではない。孤独な少女の心情を無理なく自然に綴った映画だ。姉が学校の寄宿宿に入り、ひとりになる。それだけで不安なのに、母と父の仲はぎくしゃくしている。やがて、母は家を出ていく。父は病院の仕事で忙しい。
ひとりぼっちの少女は屋敷の隣にある父の経営する精神病院から逃げ出してきた男を納屋にかくまう。自分が誰かの役にたっていること。自分がいなければ彼は病院に連れ戻される。そう思うとなんだか頑張らなくては、と思える。
誰にも守ってもらえない少女が、誰かを反対に守るという行為を通して新しい第1歩を踏み出す。『アメリ』の脚本家ギョーム・ローランと、監督のジャン・ピエール=アメリスが仕掛けた「孤独な少女の小さなお話」はなんでもない映画のようで、実はとても奥の深い寓話になっている。
予告編を見たとき、なんだか『ミツバチのささやき』のような話だなぁ、と思い興味を持った。主人公の少女が姉と2人で人の住まなくなった屋敷の探検に行く。門をくぐり、庭を通り、玄関先までやってくる。すると、何もしないのに、ドアが自然に開き、怖くなって逃げ出す。この冒頭のエピソードがこの映画全体を象徴する。開かれたドアの向こうに行くこと。開かれたドアの向こうからやってくるものと向き合うこと。それが描かれる。
もっとスピリチュアルな話かと思ったが、そうではない。孤独な少女の心情を無理なく自然に綴った映画だ。姉が学校の寄宿宿に入り、ひとりになる。それだけで不安なのに、母と父の仲はぎくしゃくしている。やがて、母は家を出ていく。父は病院の仕事で忙しい。
ひとりぼっちの少女は屋敷の隣にある父の経営する精神病院から逃げ出してきた男を納屋にかくまう。自分が誰かの役にたっていること。自分がいなければ彼は病院に連れ戻される。そう思うとなんだか頑張らなくては、と思える。
誰にも守ってもらえない少女が、誰かを反対に守るという行為を通して新しい第1歩を踏み出す。『アメリ』の脚本家ギョーム・ローランと、監督のジャン・ピエール=アメリスが仕掛けた「孤独な少女の小さなお話」はなんでもない映画のようで、実はとても奥の深い寓話になっている。