『クラッシュ』のポール・ハギス監督によるシナリオが見事だ。あの映画と同じように複雑に絡みあった事実や人物が一つになるまでを1本の映画として見せていく手法は彼ならではのやり方だろう。それをイーストウッドが手堅く演出していく。
最初は何を描こうとするのか、なかなかわからない。だだ巻き込まれていくだけ。しかし、そのうちその渦の中で何人もの兵士が死んでいったり、生き残ったりしていく中から、3人のドラマへと辿り着く。事実は直線的には描かれることはない。彼らが硫黄島で見たもの、そして本国に帰ってきてからの気狂いじみたツアーに駆り立てられたことで見たもの。そのふたつが並行して描かれる。それが、この映画の、あの戦争を語る切り口である。
事実を通してそのあまりの愚かしさの中で、イーストウッドは3人の若者の苦悩の日々を描く。硫黄島であったことをリアルな戦闘シーンとしてみせることが、目的ではない。その激しい描写以上に国債を購入させるためのツアーで振り回される生き残った3人を追うことを中心に映画は展開してゆく。彼らは英雄として祭り上げられながらも、道化として、プロパガンダのただの犠牲になっていく。彼らは帰国してから国民の熱狂の中で、体ではなく心を殺してしまうことになる。
イーストウッドは静かに、冷静な目で、戦争の狂気を描く。まるで、昔話を語るようにである。僕らはその声にしっかり耳を傾ける。昔、アメリカと日本は戦争をしました。その時たくさんの人が死にました。そして、こんな話がありました、と。
ラストシーン。あの星条旗を山頂に立てた後、彼らは海で泳ぐことを許され、裸になり海に入っていく。映画は、その穏やかな時間に帰っていく。
最初は何を描こうとするのか、なかなかわからない。だだ巻き込まれていくだけ。しかし、そのうちその渦の中で何人もの兵士が死んでいったり、生き残ったりしていく中から、3人のドラマへと辿り着く。事実は直線的には描かれることはない。彼らが硫黄島で見たもの、そして本国に帰ってきてからの気狂いじみたツアーに駆り立てられたことで見たもの。そのふたつが並行して描かれる。それが、この映画の、あの戦争を語る切り口である。
事実を通してそのあまりの愚かしさの中で、イーストウッドは3人の若者の苦悩の日々を描く。硫黄島であったことをリアルな戦闘シーンとしてみせることが、目的ではない。その激しい描写以上に国債を購入させるためのツアーで振り回される生き残った3人を追うことを中心に映画は展開してゆく。彼らは英雄として祭り上げられながらも、道化として、プロパガンダのただの犠牲になっていく。彼らは帰国してから国民の熱狂の中で、体ではなく心を殺してしまうことになる。
イーストウッドは静かに、冷静な目で、戦争の狂気を描く。まるで、昔話を語るようにである。僕らはその声にしっかり耳を傾ける。昔、アメリカと日本は戦争をしました。その時たくさんの人が死にました。そして、こんな話がありました、と。
ラストシーン。あの星条旗を山頂に立てた後、彼らは海で泳ぐことを許され、裸になり海に入っていく。映画は、その穏やかな時間に帰っていく。
とても刺激になります。友人のも観てほしいので、お手数でなければ、私のBLOGにもTBしていただければ幸いです。