虚空旅団の高橋恵の書き下ろし戯曲を太陽族の岩崎正裕が演出したアイホール+岩崎正裕共同製作プロジェクト第2弾。普段の岩崎さんとは違う一面が展開するこの企画は、岩崎さんの思いもかけない冒険が展開され、とても興味深い。
それにしても、今回は意外すぎて驚かされる。全く岩崎さんらしさが感じられない作品に仕上がっていた。ストレートで、なんの捻りもない。いつになったら岩崎さんらしさが見えてくるんだろうと、思いながらずっと見ていたのに、結局ラストまで来ていた。そして、そのまま感動的なエンディングを迎える。
人間の暗部にメスを入れるいつもの岩崎さんはここにはない。それが物足りないといえば物足りないが、こんなにも爽やかな岩崎作品が見れた、ということはそれはそれで面白い。
今回彼は職人に徹している。この群像劇を素直に見せることにすべての力を注ぐ。高橋さんの書いてきた台本自体がとても直線的なもので、それをそのまま丁寧に見せていくことで、この芝居の伝えようとする想いをきちんと余すところなく見せようとする。
2部構成。2時間30分に及ぶ大作である。春から冬まで。看護学校の学生たちの日々を追いかけながら、命の現場に一歩踏み出す彼女たち(男の子のいるが)の喜びや悲しみ、苦しみ、悩みを丁寧に綴っていく。軸になる人物は設定するが、特定の主人公を中心に据えて見せるのではなく、ここでは誰もが主人公であり、一人ひとりを均等に見せることで、ここで起きていることの出来事のすべてを見せていこうとする。
確かに甘い芝居だとは思う。だけど、生きていくことに希望を抱かせるような気持ちにさせてくれる。そこが大事なのだと思う。この作品を通して、見た人たちが元気になってくれたらいい。そんな作り手の思いがしっかり伝わってくる気持ちのいい芝居だ。
看護学校の庭で、学生たちが交わす言葉、やり取りが描かれていく。学生たちは大きな声で、はっきりと自分たちの気持ちや想いを言葉にする。その中にはいろんなドラマがある。そのひとつひとつが描かれていく。ここはプライベートな場であると同時に、パブリックスペースでもある。ここは庭と言う開かれた場であると同時に、看護学校と言う閉ざされた場の中にある。矛盾する要素がここには付きまとう。
そんな微妙な場の設定の中で、彼らは何かを内に秘めるのではなく、自分たちの思いを声高に叫ぶ。見ていて恥ずかしくなるような場面もある。だが、岩崎さんは照れることなく、はっきりと語らせる。その様は、この芝居はここに見えたものが全てだ、と言わんばかりの勢いだ。
もちろんいろんな問題が医療の現場にはある。看護学校と言う場所からでも、その困難と矛盾にメスをいれることは充分可能だったはずだ。だが、敢えて今回はそういう作り方はしない。困難な仕事に挑む若い力への賛歌として全体を構成することに徹するのだ。ストレートに純粋な思いを描くことで熱い想いが観客の胸に届く、そんな芝居を目指した。
それにしても、今回は意外すぎて驚かされる。全く岩崎さんらしさが感じられない作品に仕上がっていた。ストレートで、なんの捻りもない。いつになったら岩崎さんらしさが見えてくるんだろうと、思いながらずっと見ていたのに、結局ラストまで来ていた。そして、そのまま感動的なエンディングを迎える。
人間の暗部にメスを入れるいつもの岩崎さんはここにはない。それが物足りないといえば物足りないが、こんなにも爽やかな岩崎作品が見れた、ということはそれはそれで面白い。
今回彼は職人に徹している。この群像劇を素直に見せることにすべての力を注ぐ。高橋さんの書いてきた台本自体がとても直線的なもので、それをそのまま丁寧に見せていくことで、この芝居の伝えようとする想いをきちんと余すところなく見せようとする。
2部構成。2時間30分に及ぶ大作である。春から冬まで。看護学校の学生たちの日々を追いかけながら、命の現場に一歩踏み出す彼女たち(男の子のいるが)の喜びや悲しみ、苦しみ、悩みを丁寧に綴っていく。軸になる人物は設定するが、特定の主人公を中心に据えて見せるのではなく、ここでは誰もが主人公であり、一人ひとりを均等に見せることで、ここで起きていることの出来事のすべてを見せていこうとする。
確かに甘い芝居だとは思う。だけど、生きていくことに希望を抱かせるような気持ちにさせてくれる。そこが大事なのだと思う。この作品を通して、見た人たちが元気になってくれたらいい。そんな作り手の思いがしっかり伝わってくる気持ちのいい芝居だ。
看護学校の庭で、学生たちが交わす言葉、やり取りが描かれていく。学生たちは大きな声で、はっきりと自分たちの気持ちや想いを言葉にする。その中にはいろんなドラマがある。そのひとつひとつが描かれていく。ここはプライベートな場であると同時に、パブリックスペースでもある。ここは庭と言う開かれた場であると同時に、看護学校と言う閉ざされた場の中にある。矛盾する要素がここには付きまとう。
そんな微妙な場の設定の中で、彼らは何かを内に秘めるのではなく、自分たちの思いを声高に叫ぶ。見ていて恥ずかしくなるような場面もある。だが、岩崎さんは照れることなく、はっきりと語らせる。その様は、この芝居はここに見えたものが全てだ、と言わんばかりの勢いだ。
もちろんいろんな問題が医療の現場にはある。看護学校と言う場所からでも、その困難と矛盾にメスをいれることは充分可能だったはずだ。だが、敢えて今回はそういう作り方はしない。困難な仕事に挑む若い力への賛歌として全体を構成することに徹するのだ。ストレートに純粋な思いを描くことで熱い想いが観客の胸に届く、そんな芝居を目指した。