「機動警察パトレイバー2 the Movie」

              

 羽海野チカ原画展で思い出したのですが、先月、「3月のライオン6」が発売された日に、同時に 「スピカ ~羽海野チカ初期短編集~」も出版されました。内容は羽海野チカらしい魅力の開花を窺い知るものもあるのですが、正直、初期の習作の印象でした。
 その中で、巻末のおまけのような漫画で作者が「パトレイバー」というアニメ映画の描写や登場人物に惹かれた様子が紹介されていました。「パトレイバー」というアニメがあることを初めて知ったのですが、羽海野チカが魅了されたという世界観を体験したくて、映画版のDVD1・2を買ってみました。

 早速、「機動警察パトレイバー the Movie」を観てみました。内容は、軍用・民生用と幅広く活用されるようになった作業用ロボットのレイバー、一方で、レイバー犯罪と呼ばれる事故も多発してきたため、警察に専門の特殊部隊「パトレイバー」が設置された。そんな折、レイバーが暴走するという事件が相次いで発生した・・・。
 すぐに気になったのはエヴァンゲリオンとの類似性です。人間が中に入って操縦するスタイル、ロボットの制御不能・暴走、未来都市東京の建設、クールな女性指揮官など。どっちが先なんだろうか。調べると、この映画版の公開は1989年、エヴァのテレビ放送開始は1995年でした。それと、もしかしてと思った南雲しのぶと赤木リツコの声優は同一人物ではありませんでした。
 羽海野チカが魅了されたという家屋、街中の描写や南雲警部のキャラクターにも注目して観たのですが、私はそこまで興味を惹かれることはありませんでした。テレビ番組としてなら気軽に楽しめるけど、劇場版まで持ち上げられるとその期待までは応えられないかなという印象でした。そういうこともあります。作品の感想、捉え方は人それぞれです。

 で、「2」をパスしていたのですが、今回、思い出して一応観てみました。
 瞠目の映像、ストーリーです。実写に近い細緻な背景画の中にアニメ映像が動いている感じです(全てではないですが)。
 特に後半の降雪シーンがなんともいえない情感を醸し出しています。こんなに美しい雪のシーンをこれまで映像で観たことありません。製作者の雪への思い入れが感じられます。ここだけでも絶対に観る価値ありです。

 そして、ストーリーの面白さです。ベイブリッジの爆破テロを皮切りに、警視庁と自衛隊との対立・腹の探り合い、謎の動きを見せるF16の搭乗者は何者か、疑心暗鬼の中での争い、そして東京交戦へ・・・。前作ではロボットものかと思いきや、この2ではストーリー重視、結果ロボットはどうでもよくなっています。犯人を追って、警視庁の中での闘い、苦悩が続く。リアルで実戦的な展開にワクワクします。
 羽海野チカが描いたことの大半は「2」のことなんだと思います。あやうく未開封のまま整理するところでした。

 このシリーズはどのくらい人気があり、これ以降の製作がどうなっているのかよく分かりませんが(「3」は出ていないようです)、「機動警察パトレイバー2 the Movie」は面白くて、美しいアニメ映画です。


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