月曜日の朝、リスボンのキャンプサイトを去って南下した。キャンプサイトの周りは高速道路が渦巻いていて、カーナビ無しでは到底リスボンからの脱出は無理だっただろう。テージョ河にかかる4月25日橋を渡り、高速道路で途中まで行った。高速道路の使用料金は結構高くて、7-80Kmで10ユーロ20セントを支払った。
途中で小さな岬のあるSinesにキャンプサイトを求めていったが、高い上にシーズンオフで何もない。お昼を周ったばかりだったから、最南端のサグレス(Sagres)まで行くことに決めた。
この辺りまで来ると太陽が出ていなくても暑さを感じるようになり、国道の両脇に植えられた街路樹がコルクやオレンジの木だったりで面白い。コルクは幹の皮を剥ぎ取られ集積場に筒状の皮が山積みになっているのが見えた。平野に延々と連なる高圧線の高い鉄塔には1-3つ位のコウノトリの巣が作られて、一羽ずつ巣の上に立ったり座ったりしているのが見える。
翌日キャンプサイトから2kmのサグレスの町へ散歩に行った。夜中降った雨は朝9時ごろにぴたっと止み、急に広がった青空で気温も20度以上、Tシャツで歩いて気持ちのよい日だった。火曜日のお昼ごろなのに通りにほとんど人影もなくひっそりとした町だが、きっとシーズンオフのせいだろう。通りの小さな絵画店の店先にこのきれいな絵が飾られていた。
左下の黄色の花は一番初めに見たのが昨年行ったシシリーのキャンプサイトで、ここポルトガルでも雑草でいたるところに見られる。葉がクローバーに似た3つのハート型からなり長い茎の上に黄色の小花が3-4個つく。好日性で朝夕はつぼんでいる。イギリスはもちろん日本でも見たことがない花だ。
町から岬にかけてまっすぐな道が整備され、岬には立派な要塞が建っている。この要塞はポルトガルの海外への躍進時代、エンリケ航海王子がここに航海学校を開き、天文学者、数学者、地理学者たちが航海術の研究を行った場所だという。立派な要塞の中はほとんど見るものがないくらい広く、小さな教会や石造りの建物が数軒在るのみ。この要塞は16世紀に建立されたが、1755年の大地震で破壊され後に再建された。
要塞からの帰り道に面白い花を見かけた。この長い茎は天辺まで小さな緑色のつぼみで、黄色の花がびっしりと上方に向かって咲いてゆく。黄色の花粉のおしべばかりが目立つ変わった花だった。
水曜日の今日、キャンプサイトを去る前にサン・ヴィンセンテ岬へ寄ってみた。ここはユーラシア大陸の最果て、中世の頃地球は平らと言われていた時は世界の最果てといわれていたのだろう。若い頃船乗りだった亭主は、アフリカや南米からヨーロッパへ帰ってくると一番最初に見えるヨーロッパの地がこの岬だという。石塀に囲まれた灯台が建っている。
この海抜20メーターは在ろうと思われる崖の上で魚釣りをしているたくさんの人たち、どれほど長い糸が要るだろうか?