12.室蘭のカレーラーメンと3つの特急
東室蘭で寝台特急「北斗星」を下車して、それを見送り、
まずはこの駅の駅舎取材をする。
改札を出る時に乗車券と特急券・寝台券に“無効”の判子を押して貰う。
こうすることによって切符を記念に貰うことが出来る。
駅舎取材をしてから再び改札を潜って室蘭本線に乗り込む。
ここからはキハ40形2両編成の気動車に乗車する。
終点一つ前の母恋で下車する。
“母恋”という地名は、漢字で見ると“マザコン”の住人が多いところのような気がするが、
これは当て字でアイヌ語で「ホッキ貝が多いところ」という意味だそうである。
この駅で下車したのはこの駅で販売されている駅弁「母恋めし」の購入のためである。
母恋めしは駅弁通の中でも特に有名な駅弁である。
ホッキ貝の炊き込みご飯で作ったおにぎりや燻製玉子などが、小分けされている。
また販売箇所が限られていることと、
手作りのために販売数が限られていることもあって、幻の駅弁ともいえる。
今回はこの駅弁を購入するために無人駅で下車したのである。
しかし待合室に出て呆然とした。
駅弁販売所が「本日休業日」だったのである。
51分の乗り換え時間で終点の室蘭まで行く。
室蘭本線の終点で、ここで駅取材したあとに旧室蘭駅の駅舎を取材する。
旧駅舎は現駅舎より少し海寄りのところにあり、
保存されていて室蘭観光協会として利用されている。
立て看板には以下のように書かれている。
旧室蘭駅舎公園
~明治の面影を残す終着駅のメモリアル~
幌内炭坑の石炭の積出し港となった室蘭港と室蘭の発展を支えてきた大動脈が
室蘭~岩見沢缶に布設された鉄道路線・室蘭本線であり、
その栄枯盛衰の一部始終見守り続けながら現室蘭駅が開業100周年の記念すべき年に、
幾多の思い出を刻みながら大役を無事終え、
平成9年10月1日のダイヤ改正をもって新室蘭駅に世代交代し、
その歴史の幕を閉じることとなった。
明治30年(1897)輪西~室蘭間の鉄道完成により、
現長崎屋中央店向かい付近に当時建設され一度他に移転後、
明治45年(1912)現在地に新築された。
昭和54年長年の風雪で痛んだ駅舎を改修したが、
札幌の時計台と同じ寄せ棟造りで明治建築の面影を残す
屋根や白壁づくりの外観を保存した全国でも珍しい建物である。
平成11年(1999)8月13日国の登録有形文化財として正式に登録された事により
これまで室蘭駅が果たしてきた役割を後世に伝えるため
歴史的建造物・室蘭駅を保存するとともに旧室蘭駅周辺を整備する事となった。
室蘭駅
駅舎の外観を取材後に中に入って旧駅舎で使われていた品物などを見学する。
中は観光協会として室蘭の特産品のポスターが貼ってあったが、
その中で“室蘭カレーラーメン”のポスターが気になった。
さらにビデオも流されていて、室蘭は札幌の「みそ」、旭川の「しょうゆ」、函館の「しお」に次いで、
北海道第四の味として街ぐるみで“カレーラーメン”を押しているそうである。
観光協会の窓口で、一番近いカレーラーメンの店を訪ね、
「味の大王 室蘭本店」を教えて貰う。
渡された地図を頼りに店に着いた時には、11:40a.m.を過ぎていた。
12:12の特急「すずらん5号」に乗らなければならない。
そのため慌てて喰う事になったが、それでもカレーラーメン\700は美味かった。
縮れた麺に濃厚なカレーのつゆが絡みつく。
冬が近いこの季節でも汗だくになり、何とかラーメンを喰い終わって慌てて室蘭駅に行く。
改札を潜ると既に特急「すずらん5号」に充当された785系が停車していた。
かつては国鉄特急形の781系電車が充当されたが、
札幌-旭川間の特急「スーパーホワイトアロー」が「スーパーカムイ」に変更され、
789系1000番台が新造されて投入されたため、
余剰の785系が「すずらん」に投入されたのである。
まだまだ非電化区間が多い北海道で、特急電車が使用されるのは、
札幌-旭川間の「スーパーカムイ」、札幌-室蘭間の「すずらん」、
そして函館から津軽海峡を渡って八戸まで行く「スーパー白鳥」のみである。
その中で781系がまだ残っていたのは「すずらん」だったが、
789系1000番台の新造投入のために781系が淘汰された。
1時間40分で札幌に到着し、ここで8分の乗り換え時間の中で「スーパーカムイ27号」に乗り換える。
乗り換えの時にちょうど「トワイライトエクスプレス」が隣のホームに停車していた。
今回の旅で乗りたいと切望しながら、結局叶わなかったあこがれの寝台特急である。
14:00札幌発の「スーパーカムイ27号」で1時間20分で旭川に行く。
ここで1時間21分の乗り換え時間でゆっくりと車両取材する。
売店で駅弁「蝦夷わっぱ・ミックス」\1,000を購入し、
16:41旭川に到着する「オホーツク5号」に乗り込んで終点の網走まで行く。
この列車も札幌始発だが、
ここで車両取材するために敢えて1本早い「スーパーカムイ27号」で旭川に行ったのだ。
785系「すずらん」と789系1000番台「スーパーカムイ」はグリーン車が連結されておらず、
指定席の「uシート」が連結されているのみだったが、
運転距離の長い「オホーツク」にはグリーン車が連結されていて、
今回の「北海道フリーパス」はグリーン車用なので、ここでこの旅で初めてグリーン車に乗る。
グリーン車ではアテンダントが使い捨てのおしぼりとドリンクサービスがある。
ホットコーヒーをチョイスする。
考えてみれば今日3杯目のコーヒーである。
遠軽でスイッチバックして3時間56分かけて網走を目指す。
途中、列車が急ブレーキをかけたことがあった。
車掌の車内放送で「鹿が線路内に立ち入ったため」と説明した。
予定では20:37に網走に到着する事になっていたが、この急ブレーキで4分遅れになってしまった。
網走駅に来るのは2度目である。
ホテルにチェックインする前にLAWSON網走駅前店でつまみやビールなど購入し、
ホテルルートイン網走駅前にチェックインする。
このホテルには大浴場が付いているため、早速大浴場に行って長旅の疲れを癒し、
風呂から出てから部屋に戻ってビールを飲み、11:00p.m.過ぎには寝てしまう。
2008/11/30 22:29
画像:観光案内所を兼ねている室蘭駅旧駅舎 撮影時刻 2008/11/13 11:23:18
初出:++RAIL/れいの日記 2008年12月17日20:58
※転載:鉄道系SNS「++RAIL」/個人日記「れいの日記」