ディオニソスの秘儀
ポンペイの壁画を、この目で直に観たことはない。
かつて岩波出版社で刊行した”ポンペイの壁画”や、そのほか本やテレビなどで見るくらい。
ポンペイの、しかも”秘儀荘”といわれるところの壁画には、素晴しく美しい赤が画面を支配している。
いわゆる”ポンペイレッド”だ。
ディオニソスは、若いゼウスの名でもあり、ローマではバッカス、豊饒とぶどう酒と酩酊の神としてあがめられた。
この秘儀荘、子を授かリたい女性の呪術的願望の血縁と豊饒のワインを兼ねた赤が、象徴的に使われたのだと考えられる。
色数は多く使われていなくとも、左から右に流れる物語とシンプルな画面構成が、この壁画を稀に見る作品に仕立てている。
この部屋の壁面にめぐらされた絵の発する強いオーラを浴びていると、一種のトランス状態になりそうで、壁画の意図は確実に履行されるだろう。
ポンペイの壁画は、79年ヴェスヴィオ火山の噴火による火砕流で、一瞬のうちに地中に埋もれてしまった。
それから、1600年余り密閉された状態で保存され、18世紀に発掘され今に至る。
しかし、太陽の光と雨など、あとは観光化されたおかげで、遺跡の保存が危機に瀕している。
是非ともこの目で見たいと強く願っていながらも、観光化などで人類の文化遺跡が破壊に瀕するのは、心が痛みもする。
画集を見ながら、脳内で秘儀荘の空間を再現するしかないのだろうか。
秘儀荘ではないけれど、この”花を摘むニンフ”の姿が儚げに見えた。
彼女を守るには、自分の欲望を抑えることも必要。
いつまでも、その姿麗しく永らえて欲しいと願う。
花を摘むニンフ
ポンペイの壁画を、この目で直に観たことはない。
かつて岩波出版社で刊行した”ポンペイの壁画”や、そのほか本やテレビなどで見るくらい。
ポンペイの、しかも”秘儀荘”といわれるところの壁画には、素晴しく美しい赤が画面を支配している。
いわゆる”ポンペイレッド”だ。
ディオニソスは、若いゼウスの名でもあり、ローマではバッカス、豊饒とぶどう酒と酩酊の神としてあがめられた。
この秘儀荘、子を授かリたい女性の呪術的願望の血縁と豊饒のワインを兼ねた赤が、象徴的に使われたのだと考えられる。
色数は多く使われていなくとも、左から右に流れる物語とシンプルな画面構成が、この壁画を稀に見る作品に仕立てている。
この部屋の壁面にめぐらされた絵の発する強いオーラを浴びていると、一種のトランス状態になりそうで、壁画の意図は確実に履行されるだろう。
ポンペイの壁画は、79年ヴェスヴィオ火山の噴火による火砕流で、一瞬のうちに地中に埋もれてしまった。
それから、1600年余り密閉された状態で保存され、18世紀に発掘され今に至る。
しかし、太陽の光と雨など、あとは観光化されたおかげで、遺跡の保存が危機に瀕している。
是非ともこの目で見たいと強く願っていながらも、観光化などで人類の文化遺跡が破壊に瀕するのは、心が痛みもする。
画集を見ながら、脳内で秘儀荘の空間を再現するしかないのだろうか。
秘儀荘ではないけれど、この”花を摘むニンフ”の姿が儚げに見えた。
彼女を守るには、自分の欲望を抑えることも必要。
いつまでも、その姿麗しく永らえて欲しいと願う。
花を摘むニンフ