大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・179『代理でお見舞い・2』

2020-11-20 12:11:04 | ノベル

・179

『代理でお見舞い・2』さくら   

 

 

 専念寺のゴエンサンとは五十分も話してしもた。

 

 病人さんのお見舞いとしては喋り過ぎやと思う。

 ゴエンサンは、たった今まで口喧嘩してた孫娘(たしか鸞ちゃん)のことは一言も喋らんと、お祖父ちゃんとの昔話やらお寺の面白いお話やらしてくれはって、かえってうちが楽しんでしもた。

 五十分言うのは授業の時間や。

 日ごろ五十分いうのに慣れてるから、五十分で一区切りいう顔をしてたんかもしれへん。

 帰ってからお祖父ちゃんに聞いたら、専念寺さんは学校の先生をやってはったらしくて、それで五十分やったんかもしれへん。

 まあ、無事にお役目を果たせたんで、病室のドアを閉めた時には正直ホッとした。

 廊下をエレベーターの方に歩いて行くと、ナースステーションの前の休憩コーナーに鸞ちゃんが座ってた。

 改めて見ると、どこかのアイドルグル-プのセンター張れそうなくらいのベッピンさん。

 一瞬目が合う。

 ペコリと頭を下げるんやけど、返ってきたのは敵意剥き出しの目ぇ。

 ベッピンさんやさかいに睨んでくる目ぇが、よけいにキツイ。

 頭の中でフラッシュバック。小さいころにお母さんにこんな目ぇで睨まれた。

 そうや、鸞ちゃんの怖い顔は、あの時のお母さんにソックリや。

 なんか見てはいけないものを見てしもた感じ。

 そんな顔せんでもええやんか! と、思う。

 反発した心もいっしょや。

 エレベーターで降りながらも鸞ちゃんの目ぇが離れへん。

 

 気分転換せんと家につくまで引きずりそう……待合の自販機でコーンポタージュを買ってベンチで休む。

 

 診察の順番の掲示板が八人分進んだところで飲み終えて「よし!」と気合を入れて外に出る。

 うちは、用事を済ませただけや。あの子に睨まれる筋合いは無いっちゅーねん!

 思たら空き缶持ったままなんで、その場から投げると、見事にストライクでゴミ箱に収まる。

 よし!

 気を取り直して、病院の敷地を出る。

 病院を出て道路一本行ったところに、さっきお見舞いの花を買った花屋さん。

 その店先に鸞ちゃんの後姿が、棚の花瓶を指さしてる。

 あ、そうや。病室には花瓶が無かった(-_-;)。

 うちが持ってきた花を活けるために、お爺さんが言うたんか花瓶を買うことになったんや。

 ちょっと申し訳ない気持ちになる。

 お祖父ちゃんは「花瓶が無いようなら、ナースセンターで借りたらええさかい」と言うてたのを忘れてたあ。

 

 もう、さっさと行こ!

 向けた目の先にネコ。

 道路を渡ろとして、キョロキョロしてるとこに睨まれて、ネコは固まってしまう。

 後ろに子ネコが付いてる、おそらく親子や。

 子ネコが居てるさかいに、普段よりも慎重に道路事情を見極めてるんや。

 邪魔したらあかん(^_^;)、サッと目をそらして歩き出す。

 

 ドン

 

 鈍い音がして、わたしの横をバイクが走り去っていく。

 ハッとして振り返ると、たった今目ぇが合うたネコが、捩じれてアスファルトの路面に叩きつけられてる!

 道の端っこでは、子ネコが目をいっぱいに見開いてガタガタ震えてる。

 花屋さんやら通行人の人らが――ショック!――という顔で口を押えたり立ち止まったり。

 え、え? うちのせい?

 うちは、二三歩後ずさりして、速足で、その場を離れてしもた……。 

 

 

 

 

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やくも・04『街灯』

2020-11-20 06:20:16 | ライトノベルセレクト

・04『街灯』  

 

 

 あのお厨子は一晩で無くなった。

 

 本格的な解体工事が始まるようで、生け垣の一部が取り壊され怪獣みたいなショベルカーが入っていた。

 お厨子は、ショベルカー入れるのに邪魔なんだろう、三本ほどあった庭木といっしょに無くなっていた。

 当然五十メートルの崖道を迂回して学校に行く。

 裏側に出た時には、もう、バリバリと音がして母屋が取り壊される音がした。

 その音が恐ろしくて、視界の端に捉えることもしないで三丁目の学校に急いだ。

 

 帰りは、また図書委員の仕事がまわってきて遅くなった。

 

 黄昏時のあの道を歩く勇気が出なくって、十五分以上余計にかかる大回りの道を通って帰った。

 途中、道幅の割には人通りのないところにに差し掛かる。

 真っ直ぐな道の彼方には自分の家がある一丁目が小さく見える。でも、一丁目につくまでは薄暗い一本道、二車線あるから車も通るんだろうけど、この瞬間は車の陰どころか、音もしない。

 街灯の間隔が長いのも不気味だよ。

 おまけに、一つ向こうの街灯は切れかけていチカチカ……と思ったら、プツン、ほんとうに切れてしまった(;゚Д゚)。

 ほんの五分ほどで一本道は突き抜けられる。

 よし!

 図書室に並んでいた本たちを思い出しながら行こう。

 委員会で、図書室の見取り図をもらっていた。それを手に広げる……分野別の本棚や、本棚の中の推薦図書などが書き込まれている。

 それを、きちんと読みながら白線で区分けされてるだけの歩道を歩く。

 

 二百冊ちょっとのタイトルを読んだところで、一本道を通り終える。

 

 やったー!

 

 嬉しくなって、振り返る。

 暗い一本道の先が闇に溶けている。こんな怖い道を通ったんだ、自分を褒めてやりたい気分になる。

 

 あれ?

 

 この暗い道……どうやって、見取り図を読んだんだろう?

 ぜったい暗くて読めないよ。

 でも、ずっと明るいまま見取り図を見ていたよ。

 え? え?

 街灯を見上げて、上から下に目線を移して……ビックリした!

 街灯の下半分は道路に接していない……下からは四本の脚が出ていて、がに股になっていて、後ずさりするわたしに合わせてヨチヨチと歩いてくるではないか!

「あ、ありがとう。も、もう、いいからね」

 そう言うと、街灯は残念そうにため息ついて立ち止まった。

 

 そこからは走った!

 お風呂掃除が間に合わなくなるし!

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まりあ戦記・046『B区の切り欠きを目指して』

2020-11-20 06:04:50 | ボクの妹

・046

『B区の切り欠きを目指して』   

 

 

 ま、いいんだけども釈然としない。

 

 釈迦堂観音(しゃかどうかのん)からのメールに――ありがとう、また会いたいね――と返事を打ってため息をついた。

 影武者のマリアが学校で襲撃を受けた。あれから半年、まりあは学校に行っていない。

 だって、あの襲撃で死んだことになっている。

 影武者のマリアは損傷が激しいので、リペアしてもソックリと言うわけにはいかずに退役してしまった。

 家がお寺で、自身副住職でもあるカノンは、僧侶の勘だろうか、まりあの生存に気づいて連絡をくれる。

 

 先日のヨミを撃破したのは『そいつ』……あれからナユタだという名前とツインテールが良く似合う高校一年生だということが分かった。

 四菱のソメティという機体に乗ってヨミを蹴散らしたということで、そのモテカワのルックスと相まって学校の人気者だというこらしい。

 え、学校に通ってるの?

 疑問に思うと、タイミングよく写真が送られてきた。

 なるほどね。

 ソメティの搭乗者でなくても、これなら男子は放っておかないだろう。

 

 いやいや、そういう意味じゃないんだ(^_^;)

 

 あの戦いはウズメがヨミHPを削り倒し行動不能にしたところにトドメを刺したというのが事実だ。

 それが、まるでソメティが小気味よく攻撃を仕掛け、鈍重なウズメは、ほとんど後れを取ってる的な報道になっている。

 テレビやネットの動画を観ても、ほとんどソメティのアタックばかりが報じられている。

 真実を報じないことに違和感を感じるのであって……ああ、もうやめた!

 

 みなみ大尉に連絡をして二時間の外出許可をもらった。久々に愛車のオレンジを引っ張り出し、ベースの周辺を走ってみることにしたのだ。

 ベースの周辺と言ってもカルデラの中、周囲は外輪山に囲まれていて、巨大なんだけども、すり鉢の底を走っている窮屈さは否めない。

――今日も一周は無理か――

 ヨミの浸食と言ってもいい攻撃で、カルデラのあちこちは穴ぼこだらけ。運用に差し障りのあるものは直ぐに修復されるが、そうでないものは『危険 立ち入り禁止 特務旅団』の札が立つだけで事実上放置されている。規模の大きすぎるものはベースの施設を移転した方が早いので、これも放置されている。

 まあ、B区まで行って引き返すか。運が良ければ外輪の切りかきに沈む夕日が拝めるかもしれない。

 ベース内には様々なジンクスがあって、その一つがB区の切り欠きだ。

 きれいなV字になっていて、Vの底に大きな石英があるとかで、季節と時間と運が良ければ虹のように煌めく夕陽が拝めるんだそうだ。

――いっちょう、行ってみるか!――

 決心してペダルを踏む足に力を入れる。

――わたしもおおおお!!――

 後ろで声が掛かる。

 ちょっと驚いて振り返る。

 ゲゲ!?

 そいつ……ナユタがツインテールをはためかせながら付いてくるではないか!?

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かの世界この世界:138『動いていたものは動かせない』

2020-11-20 05:53:52 | 小説5

かの世界この世界:138

『動いていたものは動かせないブリュンヒルデ       

 

 

 わたし(車長)とケイト(装填手)の間にシートを付けた。

 

 シートと言ってもパイプ椅子の上半分をくっ付けたもので、横のハッチから出入りするときは折りたたむ。

 まあ、小柄なわたしとケイトの間なので、なんとか収まる。

「お客さんで乗っているのも申し訳ないですから、仕事を教えください」

 ユーリアの申し出ももっともなので、取りあえずはケイトと交代で装填手をやってもらうことにした。

 そして、日中はともかく、寝る時は窮屈すぎるので納屋の中からテントを出してゲペックカステン(砲塔後部の物入れ)に括り付けた。

 

 二時間ほどで準備を整えると出発だ。

 

 ユーリアは眠ったように時間の止まっている母のアグネスと兄のヤコブに別れを告げた。

「じゃ、行くよ、ユーリア」

「…………はい」

 ふっきるようにユーリアが乗り込むと、四号は、取りあえずの目的地であるヘルム港を目指した。

 乗って来たシュネーヴィットヘンはドックに入ったままだ。たとえ動いたとしても、この人数では一万トンを超える輸送船を動かすことは出来ない。なんとか四号を載せられて、外洋を航行できる船を見つけなくてはならない。むろん、四号の乗員だけで操縦できる小型の輸送船、あるいはフェリーボートだ。

「ヘルムには大小六つの小島があって連絡船が通っています。運が良ければ、出港前の船を掴まえられると思います」

 港に舫っている連絡船が居ることを願うばかりだ。

「あそこに居ます!」

 ゲートを潜って岸壁沿いに走り出したところでユーリアが指差した。一つ向こうの桟橋に二百トンあまりの連絡船が見えたのだ。舳先がはね橋式になっていて車が乗せられるタイプだ。

「……だめだ」

 連絡船は出港ししたばかりで、舳先のゲートは閉じられ、二メートルほど海に乗り出している。

「俺が飛び乗って停めてやる!」

「よせ!」

 ロキが飛び出し、砲塔の上からジャンプした。

「うわ!」

 勢いよく飛び移ったところまでは良かったが、舳先の上でバランスを崩して海に落ちてしまった。

 ポヨヨーン

 なんと、連絡船の周囲の海面はゼリー状に固まっている。ロキは、そのまま歩いて岸壁に上がってきた。

「動いているうちに時間が止まったものは固まってしまうんだろう、周囲の海面も影響を受けて固まっているんだ」

 そう言うと、タングリスは石ころを海に投げた。

 船の周囲は、ちょっと弾んで、石は海面に乗ってしまう。数メートル離れた所では、普通に石は沈んでいくのだ。

「時間が止まった時に動いていたものは動かせないんだ」

「しかし、停まっている連絡船はあるのか?」

「……そうだ、ドックに行けば!」

「シュネーヴィットヘンは動かせないよ」

「違うんです、小型船舶用のドック。きのう皆さんを出迎えた時にメンテナンスの終わった船があったんです!」

「行ってみよう!」

 

 港の外れのドックに向かうと、乾ドックにメンテナンスを終えたばかりの連絡船マーメイドが鎮座していた。

 

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:300 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:12 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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