大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

まりあ戦記・047『ナユタといっしょにヽ(#`Д´#)ノ』

2020-11-30 13:32:56 | ボクの妹

・047

『ナユタといっしょにヽ(#`Д´#)ノ』   

 

 

 自転車の腕は、わたしよりも上のようだ。

 

 追いついてくるとニコニコしながら、ピッタリとわたしのオレンジの横に付けてきた。

 コノヤローと思って、グッとペダルを踏み込むと、ナユタも同時に加速して、十センチも引き離せない。

 ギュンとブレーキをかけても、ほんの五センチほど飛び出すだけで、一秒もかからずに横に並ぶ。

「アハハ、意地悪だなあ先輩!」

 先輩になった覚えは無いので、グイッと左に寄せてから急激に右に戻して右側の路側に寄せる。路側は崖っぷちになっていて、寄せすぎると落ちそうになる。

「おっと」

 さすがに後退……したかと思うと、グイッと加速してクイっとハンドルを操作して、わたしの左側にせり上がって並走。その勢いのままにわたしを路側に追い詰めてくる。

「フン」

 させてたまるか……ポーカーフェイスで減速してナユタのケツに回って、再びやつの左側に迫る。

「アハハ、二人で編隊組んだら、無敵になると思わないっすか!?」

「なんで四菱のソメティなんかと!」

「だって、ピッタリ呼吸合ってるしぃ!」

「もう、向こう行けよ! 今日は散歩で走ってるだけなんだから!」

「先輩、切り欠きの石英観に行くんでしょ?」

「だったら、どうなの!?」

「案内するしぃ! 初めてだと本命のは見つけられないっすよ!」

「なんでだ?」

「まあ、あたしに付いて来て!」

 言うと、グッとペダルを踏み込んで、あたしの前に出る。

 これをチャンスにオサラバしてもいいんだけど、ここでブレーキをかけては負けたことになるような気がした。

 

 え、谷底じゃないのか?

 

 谷底で自転車のスタンドを立てると、ナユタは、左側の岩場をヒョイヒョイと登っていく。

「物は谷底にあるんだけど、きれいに見えるのは、この上なんだ。あ、崖がきびしかったら、下からオケツ押すけど?」

「どうってことないわよ!」

「じゃ、この上五十メートルほど登ったとこだから、ほら、あの木が茂った岩のテラス!」

 目的地点を指さすと、おまえは猿か!? という素早さで登っていく。

 こいつ、ただのモテカワじゃないなあ、クソ!

 ナユタの尻を見ながら登っていくのは忌々しいけど、ここまで来たんだ、目的の石英、いや、石英の輝きは見て行こうと思う。

 頭上の岩を掴もうと手を伸ばすと胸に圧迫感を感じる。

 そうだ、お兄ちゃん(過去帳)を胸ポケットに入れてきたんだ。

 むむ……ここからだとテラスに着くまでナユタのオケツばかり見ることになる。

「せんぱーい! 早くう!」

「すぐに追いつく!」

 お兄ちゃんをボディバッグに入れ直して、テラスに着くころにはナユタと並ぶあたしだった。

 

 

 

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やくも・14『図書分室・3』

2020-11-30 05:53:08 | ライトノベルセレクト

・14『図書分室・3』   「謄写版印刷機」の画像検索結果

 

 

 小桜さんのスマホには卒業文集の目次が映っていた。

 

 下の方に―― 第二十一期卒業生 ――と書いてある。

「21期、いつだろ……ずいぶん昔のなんだろうね」

「そうだね」

 インクのにおいが鼻についてきたんで、引き出しをしまって蓋をした。

 もう一度『謄写版』という名称を記憶に留めて分室を出る。

 

 それじゃね。

 

 小桜さんとは方角が違うので、校門を出たところで別れた。

 歩きながら生徒手帳を出して、覚えた字をメモる。

 月へンに栄誉の誉で『謄写版』……よし、覚えた。

 二十一期生……生徒手帳には……あった。わたしたちは七十一期生だから、五十年前だ!

 不思議だよ……小桜さんには二十一期生の卒業文集の目次に見えていたんだ。

 わたしには、こないだ小桜さんが四連休した時の裏事情、それも杉村君と秘密めいたことを話した会話の記録に見えた。

 

 小桜さんが休んだ理由。

 杉野  : どうせ休むんだったら図書当番の日にして。

 小桜さん: なんで?

 杉野  : えと……転入生の小泉さんと話してみたいから。

 小桜さん: あからさま~!

 杉野  : 嫌か?

 小桜さん: え、あ……うん、いいよ。うまくやんなさいね(^^♪

 

 おかしいなあ……わたしの妄想?

 

 ハ!……んちは!

 

 思い切り至近距離! ペコリお化けのペコリで我に返って「んちは!」と挨拶までしてしまった。

 コンチハ

 はっきりとした返事が返ってくる。慌てて家路を急ぐ。

 わたしってば、考えすぎてつづら折りではなくて崖道を通って帰って来たんだ。

 

「お爺ちゃん、この字なんて読むの?」

 風呂上がりのお爺ちゃんに、忘れていたバスタオルを渡しながら聞いた。

 生徒手帳に一度書いたので『謄写版』の字を覚えてしまった。

「ああ、トウシャバンと読むんだ。普通にはガリ版と言ってね、学校の印刷は、これでやったもんだ」

「そうなんだ」

「やくもの学校にあったのかい?」

「うん!」

 謎が解けたことと、お爺ちゃんに挨拶以上の会話ができた興奮で元気のいい返事になった。

 興味を持ったお爺ちゃんに説明する。興が乗ったお爺ちゃんは冷蔵庫から缶ビールとコーラを出して、むろんコーラの方をわたしにくれて、話が続く。

「へえ、図書分室にねえ……でも、五十年前のインクで刷れたとはとはなあ……まあ、保存がよかったんだろう」

 お爺ちゃんは感心した。むろん、杉村君と小桜さんの会話が刷られたことは言わない。

 

「ごめん、まだ五十冊ほど残ってたの」

 

 あくる日、霊田先生に頼まれ、今度は一人で台車を押していく。

 そして、そっと謄写版を確認、一枚刷ってみる。

 あれえ?

 そこには……小桜さんが見たのと同じ卒業文集の目次しか刷られてはいなかった。

 

 

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かの世界この世界:148『ここはどこだ・1』

2020-11-30 05:42:34 | 小説5

かの世界この世界:148

『ここはどこだ・1』語り手:タングリス          

 

 

 ほんの0.1秒見えた気がする。

 

 視界の端から端までグレートウォールのように広がる樹皮、一枚一枚が神殿の絨毯ほどに大きな葉っぱ、それが幾重にも重なって陽の光をさえぎって……これが世界樹ユグドラシルか!?

 思った瞬間に衝撃がきて、気絶してしまった。

 数瞬か数時間かたって意識が戻る。

 おぼろに視界が戻ってくると、四号の車内は傾いでいる……いや、どこか傾いだところに着地したので、意識が四号の傾ぎと認識しているのだ。俊敏な意識と感覚の回復はトール元帥親衛隊の訓練の賜物か、姫をヴァルハラまでお連れしなければならない役目の自覚からなのか。いずれにしろ、他の乗員よりも早く意識が戻ったのは幸いだ。

 目視できる範囲で乗員を見渡す。

 ショックで気絶はしているが、重篤な怪我などはしていないようだ。とりあえず、すぐ横のユーリアを起こそうと手を掛けて、ハッとした。

 頭上ののキューポラハッチが開いているのだ。

 混乱した。車内には本来の乗員五人とヘルムからの仲間であるユーリア……全員そろっている。

 だのにハッチが開きっぱなし……締め忘れはあり得ない。軍に籍を置いてから配置の変わらぬ戦車兵だ。戦車の扱いは自分の体と変わらない。ハッチを閉め忘れるなど呼吸を忘れることに等しい。

 ならば、外敵によってこじ開けられたか!?

 思った瞬間、腰のモーゼルを引き抜いた。

 すぐにハッチから首を出すようなヘマはしない。一秒とかからずにキューポラ全周のペリスコープを確認する。

 一番のペリスコープ(正面)が真っ暗だ。なにかが視界を塞いでいる。

 車載機銃のカートリッジを掴んでハッチの外に放り出す。敵の注意がカートリッジに向いた瞬間、0.3秒でキューポラの外に飛び出しゲペックカステンの後ろに隠れるとともに両手でモーゼルを構える。

 敵は砲塔の上に居るはずなのに動きが無い。

 音を立てずに砲塔の側面にまわって、下方から、そいつに銃を構える!

「なにやってんの~?」

 間延びした声に記憶が戻って来る。

 砲塔の上でぼんやり体育座りしているのは小柄な少女……こいつは、ラタトスクのナフタリン。

「な、なんだナフタリンか」

「アハハハハハ……」

「なにが可笑しい?」

「だって、タングリス、あたしが乗ってたの忘れてただろ」

「そんなことはない(^_^;)」

「でもよ、そんなに怖い顔して銃を構えてるんだもん。ついさっき、やってきたばかりのあたしを忘れたんだ。だろ?」

「そういうナフタリンは何をしているんだ?」

「どうやら、巨人の国のヨトゥンヘイムに着いたような気がするんだけど、どうもおかしいんだ」

「ヨトゥンヘイム?」

 ヨトゥンヘイムと言えば巨人の国だ。ところが、目に入る家々は我々人間にとっての原寸大で、とても巨人族が使うようなものには見えないのだ。

「メッセンジャーで何度も来てるんだけど、街や家々には見覚えたヨトゥンヘイムなんだけど、スケールが小さすぎるんだ」

「これは、普通の人間の町だ。人間界であるミッドガルドではないのか?」

「ミッドガルドはありえない。だって、雲は流れてるし、鳥だって空を飛んでる」

 

 あ……時間が停まっていない!?

 

 人間界はヘルムの女神が力を失ったことで時間が停まっているはずだ……。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:13 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

 

 

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