大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・180『代理でお見舞い・3』

2020-11-27 11:27:04 | ノベル

・180

『代理でお見舞い・3』さくら   

 

 

 信号を渡ったら駅のロータリーというとこで足が停まってしまう。

 

 追い抜いていくオバチャンが――なんや、この子は!?――いう顔して信号を渡っていく。

 うちの直ぐ後ろに居てはったんやろね、青になっても横断歩道を渡らへんうちが、ちょっと迷惑やったんや。

 阿弥陀さんの思し召し、回れ右して道を戻る。

 頭の中は車に跳ねられた母ネコと、道路の端っこで震えてる子ネコがバグった動画みたいにフラッシュバックしてる。

 うちが目ぇ合わさへんかったら、母ネコはたじろぐこともなく道路を渡ってた。子ネコはチョコチョコっと母ネコのあとを付いて、母子ネコの平和な一日が続いていたやろ。

 うちは、剣呑な顔をしてたんや。

 お見舞いに来たはずが、逆に入院してる専念寺のゴエンサンに気ぃ遣わしてしもて、花束を持って行ったのに花瓶にまで気ぃ回れへんで、鸞ちゃんの手ぇを煩わせてしもた。

 母ネコは、あらぬ角度にねじ曲がってしもて、血反吐を吐いて……九割九分死んでる。

 人間やったら、なにはさておいても救急車やけど、ネコはどないしたらええねんやろ?

 動物の死骸は保健所に連絡……回覧板で読んだような気がする。

 せやけど、ここは大阪市、やり方が違うかもしれへん。

 せや、花屋さんにでも聞こ。

 それよりも子ネコ。

 まだ、生後一か月くらい、まだ母ネコのお乳飲んでるんちゃうやろか。

 ダミアの事が思い出される。子ネコはお乳飲んだとはゲップさせならあかんし……トイレかて濡れティッシュとかで刺激してやらんと、自分ではでけへん。

 せや、子ネコは引き取ろ。

 ダミアは大人しいから、子ネコが来ても馴染んでくれるやろし……けど、うちは如来寺では居候のようなもんやし、まだ中学二年やし……子ネコ一匹飼うのんも、けっこうお金がかかる。

 ミルク、離乳食、餌代、動物病院にも連れていかならあかんやろし……一年前のダミアのことが頭に浮かんで来る。けっこうな費用や。

 連れて帰るにしてもケージとかいるし……花屋さんで段ボール箱でももらうか……。

 中学生でもできるアルバイトないやろか……頭の中をいろんなことがグルグル回る。

 

 事故現場に戻ると、道の真ん中は水を流した跡がある。

 誰かが始末して掃除したんや。

 子ネコの姿は……?

 キョロキョロしてたら声をかけられる。

 

「ネコを探してるのん?」

 

 アッと思って振り返ると花屋のオバチャン。

「は、はい、どないなりました!?」

「母ネコは商店会で片づけはったわよ」

 片づけるという言葉に――死んでしもた――という響きがある。

「子ネコはね、さっき花瓶買うてくれはった女の子が引き取っていったわ」

「え、そうなんですか( ゚Д゚)!」

「これも縁です言うてはった、母ネコにも手ぇ合わせて『ナマンダブナマンダブ……』って、なんや、お寺さんの娘さんて言うてたよ。うちに古いケージがあったんで間に合わせてね……」

「よかった……」

「ひょっとして、気にしてた?」

「はい、ちょっとばかし。母ネコが跳ねられる寸前に目が合ってしもて……」

「そう……そら、気持ち悪いやろけど、原因は当て逃げした車やさかい、気にせんとき」

「は、はい」

 ちょっとホッとしてる自分が胸の中におって自己嫌悪。

 小さく手を合わせてナマンダブを唱えて家に帰りました。

 

 

 

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やくも・11『ペコリお化け・2』

2020-11-27 07:02:56 | ライトノベルセレクト

・11『ペコリお化け・2』   

 

 

 ときどきRPGのように感じてしまう。

 

 なにがって……わたしの生活。越してきてからのわたしの毎日。

 お爺ちゃんとお婆ちゃんと、そしてお母さんとわたしの生活。

 一見家族なんだけど血のつながりは無い。

 お爺ちゃんとお婆ちゃんは夫婦だから、元々は他人。

 二人には子供が出来なかったから養女に迎えたのがお母さん。で、血のつながりは無い。

 お母さんとお父さんにも子どもはできなかった。だから、わたしが養女に迎えられた。これも血の繋がりは無い。

 

 理由は言えないってか、よく分からないうちにお母さんは離婚して、お母さんが親権をとった。

 それで、お母さんの実家であるお爺ちゃんお婆ちゃんの家に越してきたんだ。

 だから、四人とも、祖父母であるように、母親であるように、娘であるように、孫であるようにロールプレイしている。

 言ったよね、だから五分以上いっしょにいたら間が持たなくなる時があるって。

 

 えと……例のペコリお化け。

 

 こういうことにした。

 登校するときは崖道。下校の時はつづら折りを通る。

 ペコリお化けに会ったのは、登校の時だから、朝に崖道を通るのが自然だよね。

 朝に一度だけペコリとする。

 ペコリお化けが一度でもシカトしてくれたら、もうペコリしなくてすむ。

 だけど、角を曲がった時からペコリお化けの気配。別に工事現場からトラックが出てくるわけでもないのに、ペコリお化けは誘導灯を振って通行を促す。分かってるよ、わたしを促すだけじゃなくて、工事現場の人たちに――いま、前の道を人が歩いている――ということをアピールしてるんであって、そのことはガードマンの就業マニュアルとかにあって、ペコリお化けとしては守らざるを得ないんだって。

 だから、こちらもペコリとせざるを得ない。ペコリとするときペコリお化けはニコリとする。わたしも、ほんの微かにニコリと返す。何人何十人といっしょに通っているんだったらペコリだけですむ。いや、場合によっちゃペコリもしなくて済む。でしょ、他の通行人がペコリとしないんなら、ペコリする方がおかしいもん。

 でも、日に一度の事だからガマンして、皇族の人みたいに過不足のないニコリでペコリ。

 ところが、ニコリとし過ぎた! 目が合っちゃった!

 ヘルメットの下の目がニヤリと光った。

 ヤバイと思ったら、なんとペコリお化けが近づいてくるのが視界に入った。

 時計見るふりをして「ヤバイ」、用事を思い出したように早足になる。ペコリお化けも早足になる!

 小走りになる、ペコリお化けも小走りになる!

 80メートル先の角を曲がるところで肩を掴まれる! ウッ……叫びそうになるのをやっと堪える!

「逃げなくたっていいじゃないか、や~くもちゃ~ん……」

 ヘルメットの下の闇の中で二つの目が真っ赤に光って迫って来る!

 叫ぼうと思っても声が出ない。

 

 脂汗を流して……目が覚めたら、五時間目の数学の時間だった。

 

 RPGについて話したかったんだけど、また今度(;'∀')。

 

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かの世界この世界:145『ラタトスクのナフタリン』

2020-11-27 06:55:22 | 小説5

かの世界この世界:145

『ラタトスクのナフタリン』語り手:ロキ   

 

 

 舳先の下の隠れて瞬間見えなくなった……次の瞬間、舳先の上に躍り出たのは栗色のチュニックを着た女の子だった。

 

 トリャー!…………オットット(;^_^A

 威勢のいい声で決めポーズ。マーメイド号が帆船だったら、そのまま舳先のフィギュアヘッド(船首の飾り)にしてもいいくらいにカッコイイ。しかし、タタラを踏んでガニ股でふんばる姿はみっともない。

「おまえ、ユグドラシルのラタトスクだな?」

 タングリスさんが遅刻してきた生徒の名前を確認するように聞いた。

「知っていたんだ。見かけよりはかしこいのかもな」

「ユグドラシルのメッセンジャーは足が速いが口が悪い。予断と偏見に満ちたラタトスクに頼るくらいなら、自分で航路を切り開く」

「ラタトスクってなんだ?」

 予備知識のないテルさんが基本的な質問をする。オレもよく分かってないので耳を傾ける。

「ユグドラシルは八つの世界で出来ていて、その世界の連絡役がラタトスクと呼ばれるリスなんだ」

「だからメッセンジャー?」

「口が悪くて、用件の他に一言余計なことを言うので有名なんだ」

「でも、この子……虚勢は張ってるようだけど、なんか余裕のない感じ」

「さすがはオーディーンの姫だ、でも、むかつく……」

 腰に手を当てて胸をそらせたたかと思うと、踏ん張った形のいい足は、またタタラを踏んだ。

「あぶない!」

 おもわず駆け寄って落ちてくるラタトスクを抱きとめてしまった。なんだかやわらかくってドギマギしてしまう。

「おまえ、どこ触ってヽ(#`Д´#)ノ……おまえは時の女神ウルズのガキ?」

「ガキじゃねえ、ロキだ!」

「ああ、そうだったな、ガキ」

「ガキ言うな!」

「怒んな。おまえの誕生をユグドラシル中に触れ回ったのはあたしだ……ちょ、離せ! まだ話、あるから」

「わ、わ、ごめん!」

「ラタトスクと言うのは種族の名前で、あたし個人の名前はナフタリンだ、まちがえんな!」

「ラタトスクは複数いるのか?」

「いまは、あたし一人」

「どういうことだ?」

「ユグドラシルが漂流し始めた瞬間、シナプスに居たのはあたし一人だったんで助かった」

「シナプス?」

 みんな、わけわからないので、タングリスさんが前に出た。

「八つの世界を繋ぐユグドラシルの回廊のようなものです。ラタトスクは、ユグドラシルが根なしになって漂流すると生きてはいけません、神経伝達物質のドーパミンやセロトニンみたいなものです

「そんなミンとかニンとかじゃねえ、ナフタリンだつってるだろ!」

「物の例えだ」

「そうだったのか、概念以上の知識が無いのでな。ゆるせ」

「ちょうどいい、ナフタリン、わたしたちをユグドラシルに案内してくれ」

「フン、ナフタリンは案内の為に来たんじゃないし」

「案内でなければ、だれかの伝言か?」

「ちがう、自分の意思で、自分の言葉を伝えにき……」

「ナフタリン!」

 意識を失いかけたナフタリンを再び抱きとめる。背中を支えた手がちょっと胸に触ってるんだけど、今度は憎まれ口もきかない。

「ロキ、みんなに伝えろ……ユグドラシルに来ちゃダメ……だ……」

 それだけ呟くと、ふたたび意識を失うナフタリン。

 オレの襟首を掴んだ手は意識を失っても、強く握られたままだった……。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:300 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:12 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 
 
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