大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE滅鬼の刃・22『わたしとラノベとお祖父ちゃんと』

2021-04-18 09:23:19 | エッセー

RE エッセーノベル    

22・『わたしとラノベとお祖父ちゃんと   

 

 

 わたしが所有する本は、教科書を除くと20冊ほどしかありません。

 普通の高校生と比べても、ちょっと少ない部類になると自覚しています。

 ときどき街の図書館に出かけて、表紙のイラストやタイトルの面白いのを借りて読むので、読書量は並の高校生よりは、やや多いという感じです。

 お祖父ちゃんは2000冊ほど持っています。

 大きいのは山川出版社の『国史辞典』とか『原色日本の美術』とか、鞘のようなケースに入った……辞典的な本。戯曲、時事問題とかの単行本。その他は、大方新書本と文庫本。

 読みたい本を全部買っていたら家中本だらけになってしまうので、中年になってからは必要な本は図書館で借りるようにしているんだそうです。

 わたしも、お祖父ちゃんの習慣が身について、子どものころから図書館を利用するようになりました。

 そのお祖父ちゃんが、今でも買って読む本がライトノベルです。

 わたしがもの心ついたころには、お祖父ちゃんの座卓の周囲にラノベが平積みになっていたので、それが普通だと思っていました。

 満足に字が読めないころから、お祖父ちゃんのラノベをパラパラとめくっていました。

 表紙が可愛くてきれいで、表紙をめくったところにイラストだけのページが2~4ページあります。たいてい登場人物の相関関係がキャラの説明といっしょに書かれていて、本の要所要所にもモノクロのイラストがふんだんにあります。

 ラノベで見たキャラがテレビのアニメになっていると、ついつい見てしまいますが、たいてい深夜アニメなので全編通して見たことは、ほとんどありません。

「栞は、ラノベ以外の本を読んだ方がいいよ」

 中学に入ったころに、お祖父ちゃんに言われました。

「え、なんで?」

「ラノベ以外にも、おもしろい本はあるからさ」

 お祖父ちゃんは、そういう言い方をしましたが、どうも違うのです。

 中学の図書室にもラノベは置いてありますが、うちにあるラノベは、ほとんど見かけません。

『冴えない彼女の育てかた』『エロマンガ先生』『中古でも恋がしたい』『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』などがありません。

 クラスの図書委員に聞くと有害図書だとかで置いていないんだそうです。

 わたしも、中二のころからは読まなくなりました。

 進路のこともあったし、読書そのものから外れてきたという感じです。

「それでも、栞は読んでる方だよ」

 お祖父ちゃんは言います。図書館で、年間で30冊くらい……人と比較したことが無いのでよく分かりません。

 ただ、お祖父ちゃんが、ラノベを読む変なお爺さんなのだと言うことは分かります。

 普通のお年寄りはラノベは読みませんよね(^_^;)。

 お祖父ちゃんが、シャンソンのライブに連れて行ってくれたことがあります。

 お客さんは、お年寄りがほとんどで、お祖父ちゃんの横にはお知り合いのシャンソン歌手が座っておられ、互いに挨拶をしたあと、読書の話になって「ラノベを読んでいます」という話になったのですが、その歌手のおばさんは、ラノベという言葉の意味がお分かりになっていませんでした。

「ラノベ?」

「ライトノベルです」

「ええと……」

 という感じでした。

 お祖父ちゃんの面白いところは、自分でもラノベを書くところです。

 むろん商業ベースに乗るようなものではなく、四冊出した本以外は『なろう』とか『カクヨム』とかの投稿サイトに出しているものです。

 わたしも、たまに読みますが、長い本だと連載200回を超えるものもあって、アクセスも二万を超えるものがあったりして、孫としては大したものだと思うのですが、どうでしょう?

 まあ、お祖父ちゃんの元気の元なので、これからもがんばってくれたらと思います。

 二日続いた雨も上がって日本晴れの日曜日、これからお布団を干します(^▽^)/

 

 

http://wwc:sumire:shiori○○//do.com

 Sのドクロブログ☠!

 

 どっちかって言うと、ラノベは嫌い。

 そりゃ、子どものころは、それとは知らずにジジイのラノベ見て、見てたよ、字ぃ読めなかったから、それこそイラストとかを絵本代わりに見てた。

 可愛いし、きれいだし、それに大きさがちょーどいい。

 普通の絵本とかは、けっこうかさばるんだよ。A4サイズどころか、B4くらいの絵本、平気であるもんな。

 子どもってさ、お気に入りのものって持ち歩くじゃん。

 ガキンチョで、訳わかってないあたしは、そういうラノベをお母さんからもらった(憶えてないんだけど)ポシェットに入れて持ち歩くわけさ。

 それが、お友だちとか、お友だちのお母さんとかに見られるわけよ。

 反応は「アハハハ(^_^;)」だよ。

 ガキを叱るわけにもいかないだろうけど、その「アハハハ(^_^;)」で分かっちゃうよ。

 ああしはヤバイ物(ぶつ)持ってんだ……

 そういうのには敏感な子だったから。

 それで持ち歩かなくなって、長じて分かったよ、やばいラノベだって。

 そんなもん、子どもの目につくとこに置いとくなよな!

 他にも、ここでは書けないようなモノが、うちにはゴロゴロしている。

 全部、クソジジイの持ち物!

 あぶなくって、友だちなんて呼んだことが無いよ。

 でも、ラノベ見ることから読書の習慣がついた。

 読書家ってほどじゃないけど、月に二回くらいは街の図書館行って二三冊借りてくる。

 ちょっと変わった小説が好きかな。

 たとえば、こんなの。

 中学生の女の子が目覚めたら、前後にドアがあるきりでの部屋に閉じ込められてんの。気が付くと、自分の同じくらいの制服着た女の子が居て、ドアには、こう書いてある『相手を殺さなければ外に出られない』ってさ。最初は躊躇するんだけど、食べ物も何にもないから、やがて、その子を殺しちゃう。殺しちゃって、その子の持ち物の水とか僅かの食べ物とか奪って、ドアを開ける。しばらくいくと、同じような部屋で、そこにも女の子が居て、今度はナイフとかが置いてある。やがて、その子も殺しちゃう。その子は、なんにも持ってないんで、その子のお腹を割いて胃の中のものを食べる。そういうことを繰り返して、殺し方や人の食べ方を克明に描写している。

 タイトルはよしとくね。うる憶えだし、ネタバレするし。

 そういう本て、表紙もタイトルも穏やか。普通の文学書みたく見える。中身はすごいんだけどね。

 ためしに、学校の図書室に希望図書で出したら、あっさり買ってくれて、ショーケースの中に新刊図書としてディスプレーされてたよ。

 でさ、図書の先生に「こんなに過激なんですよ~」って、見せたわけ。

 その本は、近未来の日本でさ。忙しいとか、持てないとかの事情がある人間が、アンドロイドの異性とひと時を過ごすって話。

 まあ、アンドロイド相手にってか相手をしてもらってセックスするんだよ。

 そのプロセスが克明に書いてあって、もう、エロゲ真っ青ってしろもの。ラノベのパンチラなんて可愛いもんよ。

 でもさ、先生は言うわけよ。

「これは文学、芸術だからね、大丈夫なんだよ(^_^;)」

 おかしくね?

 試しにさ、ラノベ読んでるクラスの男子に「どーよ」って見せたら、真っ赤な顔して鼻血流してましたよ。

 瞬間、ほんの瞬間なんだけど、うちのジジイも間違ってないじゃんと思った。

 でもさ、いい年して、ラノベもどき書くのはやめてほしいよ。

 せめて、ペンネーム、あたしと同じ苗字にはしないでほしい。

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らいと古典・わたしの徒然草・76『法師は人にうとくてありなん』

2021-04-18 06:04:21 | 自己紹介

わたしの然草・76
『法師は人にうとくてありなん』   

  

 

 徒然草 第七十六段

 世の覚え花やかなるあたりに、嘆きも喜びもありて、人多く行きとぶらふ中に、聖法師の交じりて、言ひ入れ、たたずみたるこそ、さらずともと見ゆれ。
 さるべき故ありとも、法師は人にうとくてありなん。


 徒然草は、あまり真面目に読んではいけない。最初に本人が言っている、「徒然なるままに=思いついたことを勝手に書き散らしてるだけだから、マジな顔して読まないでくれる!?」
 実際、読んでみると矛盾したところがよく出てきます。この七十六段なんかは、その典型でしょう。
 この、たった三行のエッセーは「葬式なんかで、坊主が受付に並んでたりするのウザイよなあ、坊主ってのは、俗世間からは、離れてなくっちゃいけねえぜ」という気まぐれ。
 兼好自身が坊主で、世間の垢にまみれているのは、徒然草自体を読めばよく分かることです。
 だから、わたしは、兼好坊主の与太話に付き合うつもりぐらいの軽いノリで書いております。

 実は、わたしの親類は坊主だらけなのです。叔父と従兄弟二人が坊主で、五親等ぐらいたどればもっといます。
 十年前の2011年11月11日という分かり易い日に父が亡くなりました。生前から、ある葬儀会社の積み立てに加入していたので、すぐそこに連絡して葬儀の準備にかかりました。
「で……おかかりのお心づもりは(予算はどのくらいで、という意味)」と営業のオバサンがしめやかに聞いてきた。わたしは、黙って指一本を出した。これで通じる。葬儀が十万であがるわけでもなく、一千万もかけられるほどのブルジョアでないことは、わたしの風体・人相からでも明らかであり、百万であることはすぐにしれる。
 オバサンは、タブレットをチョイチョイと操作し、百三十万ほどの金額を提示してきた。その中に、坊主にかかる費用は入っていなかった。
「ボンサン呼んだら、いくらぐらいかかります?」
 オバサンは、黙って人差し指と中指を立てた。別にジャンケンのチョキを出したわけでも、ピースサインを出したわけでもない。相場が二十万ということである。葬儀費用と合算すれば百五十万を超え、予算を五十%もオーバーしてしまう。
 で、従兄弟の坊主を思い出し、気楽に電話した。商売慣れというのも変だが、二十分後には葬儀会館までやってきてくれました。

「直接言うてくれて正解。業者通したら四割ほどキックバックとられるとこや」

 わたしは、さらに値切って、相場の半額であげた。葬儀費用とつっこみで、百二十万ほどであげました。別になんでも値切り倒す大阪人根性からではありません。父が残した僅かな貯えで、身の丈にあった、葬儀や、それから何年も続く法要の費用まかなおうという思いからです。死んでまで息子に借金するようでは、親父も後生が悪いだろうと思いました。

 家は、代々浄土宗なのですが、従兄弟は仏光寺派の浄土真宗です。まあ親類のような宗旨でもあり、なにより気楽な宗派なので、あっさり改宗。法名(浄土真宗では戒名とは言わない)は釋善実と付けてもらいました。
 ついでに自分の法名を自分で考えてみました、釋睦夫(シャクボクフ)。本名を音読みしただけですが、なんとも長閑な音の響きが気に入っております。これで、わたしの葬儀費用から法名代が節約できる。

 浄土真宗のお気楽さは、年号を使わないところにも現れています。寺から頂くカレンダーは西暦で、本堂に行くと「護ろう憲法九条!」などのポスターが平気で貼ってあります。九条についての考え方は、わたしのそれとは大きく離れるのですが、そういうことを平気で貼ってあるところがいい。

 郷土の名士に今東光がいました。天台宗の坊主で瀬戸内寂聴の法名を付け、中尊寺の貫主を勤めたほどの偉い坊主で、文学者でありました。死ぬまで世俗の中にいた人で、編集者が原稿をもらいにいくと、座卓に向かい呻吟していて。編集者は、さぞかし難しい教典でも読んでいるのかと思えば、週刊誌のグラビアの女の子の見比べをやっていたそうです。今でもネットで検索すると、今東光和尚の法話などが出てきますが、とてもNHKの地上波や学校で生徒に言える内容のものではないのですが、面白くタメになる(ならないものもあります)のであります。
 坊主というのは、かくも世俗にまみれてこそのものである。兼好坊主の、この七十六段は、坊主として、いや大人として生きる人間へのパラドクス的な喝(かつ)であろうかと思いました。

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真凡プレジデント・56《高校生の美徳》

2021-04-18 05:45:17 | 小説3

レジデント・56

《高校生の美徳》    

 

 

 

 高校生が正直なのは美徳なんだろうけど、役に立たないこともある。

 

 毎朝テレビでエアコンをもらって帰る途中、中谷先生からメールが入った。

――倉庫に生徒会の資料があるから取りに来て、至急ね――

 学校に着くと、柳沢先輩と執行部の三人に任せて、わたしは職員室に向かった。

 エアコンの据え付けは綾乃が拝み倒して、柳沢先輩がやってくれることになっている。

 資料を取りに行くだけだから、汗を拭いて戻るころには作業に掛かれるだろう。

 

「失礼します……オオ」

 

 ドアを開けると、どっとあふれ出した冷気に包まれて気持ちがいい。

 職員室のエアコンはガンガンかかっていて羨ましい。ま、生徒会室も一時間もすればエアコンが付く。羨むのもこれが最後だと思うと、気分がいい。

「田中さん、こっち!」

 机の島に胸壁のごとく高く積まれたゴミにしか見えない書類等やらの山から、中谷先生の手がオイデオイデをしている。

 声だけで分かってくれるのは嬉しい。

 何度も言ってるけど、わたしの特徴のなさは特筆もので、先生によっては学年の最後まで覚えてもらえないこともある。

 とっくに諦めているんだけど、今みたく間髪いれないで分かってもらえるのは、エアコンの冷気と共にありがたい。

「資料って、どこの倉庫でしょ?」

 どことは聞いたけど、職員室に附属している六畳ほどのそれだと見当はつけている。あそこなら、ドアを開けっぱなしにしておけば一分足らずで職員室と同じ涼しさになる。ラッキーだ。

「あ。こっち」

 先生は鍵束を手にするとスタスタと職員室を出ていく、ちょっち悪い予感。

 

「ここなんだけどね」

 

 先生が立ち止まったのは四階の階段を上がって直ぐのドア。

 ドアが開くと、四十度くらいはあろうかという熱気がカビとホコリの臭いをまとわりつかせて転げ出てくるる。

「このロッカーと棚にあるので生徒会らしいのは持ってってくれる? あと、わたしの名前とか書いてある……こういうやつね。これを職員室まで持ってってくれると嬉しい。大変だろうから、執行部みんなでやっていいわよ」

「あ、いえ、一人で出来ます」

 一人ではきつい量なんだけど、こんな仕事に皆を呼ぶわけにはいかない。

「あ、そう、ま、無理しないでね」

 先生はサッサと行ってしまう。

 ため息一つついてブラウスを脱ぎ、タンクトップ一つになって取り掛かる。帰りのことを考えるとブラウスを汗びちゃにはしたくない。むろん、ここを出る時にはタオルハンカチで汗をぬぐう。

――これって……――

 二三分して気づいた。

 生徒会の資料って、ほんの段ボール一箱程度。あとは先生の私物と思しきガラクタばかりだ。

 ハーーーー

 再びため息ついて周囲を見渡す。他の先生の私物とかもあって、どうやら、空き部屋を先生たちの物置にしていたようだ。

 一画がゴソッと無くなっているところや、荷造りされているのもある。おそらくは、学校の都合で部屋を整備するか使うかで、私物はどけておくように指示があったのだろう。

 ざっと見当を付けて、とりあえず廊下に出すことにする。

 廊下に出してしまえば、中よりもよほど涼しい。

「さ、やるか!」

 気合いを入れて作業にかかるわたしであった。

 

☆ 主な登場人物

  •  田中 真凡    ブスでも美人でもなく、人の印象に残らないことを密かに気にしている高校二年生
  •  田中 美樹    真凡の姉、東大卒で美人の誉れも高き女子アナだったが三月で退職、いまは家でゴロゴロ
  •  橘 なつき    中学以来の友だち、勉強は苦手だが真凡のことは大好き
  •  藤田先生     定年間近の生徒会顧問
  •  中谷先生     若い生徒会顧問
  •  柳沢 琢磨    天才・秀才・イケメン・スポーツ万能・ちょっとサイコパス
  •  北白川綾乃    真凡のクラスメート、とびきりの美人、なぜか琢磨とは犬猿の仲
  •  福島 みずき   真凡とならんで立候補で当選した副会長
  •  伊達 利宗    二の丸高校の生徒会長

 

 

 

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