大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 112『桃太郎おおおおおおお!!』

2023-03-12 16:05:32 | ノベル2

ら 信長転生記

112『桃太郎おおおおおおお!!信長 

 

 

 ガチャリ

 

 尾張の田園風景のようだ……体を捻ってロケーションを確認すると草摺の鳴る音がした。

 甲冑を身に着けているのだ。

 桃太郎(素戔嗚)の鬼退治に付き合うのだから武装はオモイカネ(思金神)のサービスか……しかし、これは、またしても鶴姫の嫌味なくらいに細身の女鎧。

 胸と脇の防御はゆとりもあって完ぺきなんだが、ウエストが細すぎる(-_-;)。

 先だっての陣触れアラートの時は茶姫の迎えだけで短時間で済んだが、今度は鬼退治、何日かかるか分からん。それをこんなに締め上げては長時間は無理だぞ。

 背中には桃形(ももなり)の兜を掛けて、馬手(右)の腕(かいな)には種子島……で、腰の左側が軽いと思ったら、太刀が無い!

 種子島は火縄銃、一発撃ったら、次の弾込めには三十秒はかかるぞ! 水に濡れたりとか、汗とか血がついたりしても使い物にならない代物だぞ! 馬防柵を並べて三千丁を三段構えとかにしないと効果のない原始的な銃なんだぞ! やっぱり、刀がいるだろ!

 ズチャ!

 いきなり腰が重くなる……見ると、小汚い、それも思い切り古いタイプの直刀の太刀が腰のところに具現した。

―― いやあ、この姿は見かけ以上に精緻でね、リアルになるのに時間かかるのよ(^_^;) ――

「あっちゃんか!?」

―― うん、本性っていうか最終形態の草薙の剣、第一形態の敦子の姿よりは役に立つから辛抱してね ――

「で、あるか……」

 

 さて、肝心の桃太郎は?

 

 見渡すと、東の林の向こうに土煙、千を超える部隊が移動している証拠だ。

 あぜ道を拾い、小川を飛び越えて林の中へ。

 下草をかき分けかき分け、林の反対側に出ると、そこからは緩い崖になっていて、向かいの崖との間に道が伸びている。

 ガチャガチャガチャ

 派手に武具やら鎧の音をさせながら行軍の真っ最中。

 二列になった軍勢の装備はバラバラだ。イッチョマエの具足に身を固めた者もいるが、野良着に二枚胴の前だけを付けた者、貧相な小具足に兜だけは利剣の前立てを打った立派な奴。中には毛皮を胴に巻いて竹やりを担いだだけという者もいて、まあ、数だけは揃えた野伏りの集まりだ。

 で、肝心の大将はどこかと伸びた軍勢の後ろへと視線を伸ばす。

 しかし、大将らしい騎馬武者の姿は最後尾が見えてきても窺えない。

 大将というものは、馬印を掲げさせ、馬周りの護衛騎馬武者を引き具して凛々しく中軍にあるのが定石だ。

 ……さては軍の主力とは別に動き、本軍そのものを囮としたか? 少し覚えのある大将なら、それぐらいのことはやる。

 谷間を走らせては居るが、派手に土煙を上げて、速度だけは速いところなど、ホドホドに『見つけてくれ!』という風に見えなくもない。なんせ、相手の本性は天照でも手を焼く日本の武神の総本家、素戔嗚だ。

―― あまり尊敬しない方がいい ――

 え、そうなのか?

 あっちゃんの言葉に閃いた俺は、崖の上を軍勢の流れに沿って遡った。

 そして見つけた!

 白地錦の陣羽織の背中には双葉を添えた桃の実があしらわれ、背中の旗指物は、その速さの為に中ほどで折れ、ヨレてしまった文字は「本」の字が潰れて「1日」あるいは「旧」としか見えない。

 前にまわると、こいつは着ぐるみかと思うほどに顔がデカい!

 赤地錦の直垂に赤糸縅の胴丸。コンセプトは赤と白。

 軍扇の日の丸に似た清々しさ……と言ってやりたいが、中二病の特攻服を思わせて痛々しい。

 これは、頭から食って掛かるしかない。

 

 待てぇいっ! 桃太郎おおおおおおお!!

 

 大音声で制止しながら、一気に崖を飛び降りた!

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神

 

 

 

 

 

 

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宇宙戦艦三笠48[小惑星ピレウスの秘密]

2023-03-12 08:19:35 | 真夏ダイアリー

宇宙戦艦

48[小惑星ピレウスの秘密] 修一  

 

 

 三笠のクルーはみんな同じ思いだった。

「ピレウスに来て三日たつけど、オレたちなんともない……」

「スキャンしても、みなさん健康そのものです」

 クレアがトシの言葉を裏付けた。三笠のクルーはレイマ姫とジェーンの顔を交互に見た。

「んだんず。地球人は、このピレウスでも影響受げねんだ……」

「レイマ姫、君の狙いは……」

「寒冷化防止装置、なんど(あなたたち)に渡すて、地球救うごどだ」

「それだけかい……?」

「…………」


 修一の問いかけに、レイマ姫は黙ってしまった。


「あたしが代わりに言ってやろう」

「……なんで、ジェーンが」

「これは、レイマ姫のお願いであって、交換条件じゃない。ただ、自分から言いだすと、気のいいあんたたちに強制するようで言えなかったのさ」

「……言えないことって?」

「ジェーン、もうい。三笠のふとたぢに、寒冷化防止装置ば……」

「言うだけ言ってみようよ。あとは……みんなで考えればいいさ」

 いつも陽気なジェーンが真剣な顔になった。

「あんたたちの中で、男女一組がピレウスに残ること……意味は分かるわね?」

 

「え?」

 

「……ひょっとして、オレたちにピレウスのアダムとイブになれって……ことか?」

「あ、もういんだ! 忘れでけ、けすて交換条件ずわげでねはんで(#^△^#)!」

 レイマ姫は、両手でイラナイイラナイをした。

 重い沈黙が三笠の長官室を支配する。

 カタカタ……

 かそけき音に顔をあげると、ネコメイドたちがワゴンにお茶の用意を載せてやってきた。

「失礼しますニャ」

 ネコメイドたちが、紅茶とスコーンを給仕してくれる間も言葉を発する者はいなかった。

「艦長、ひとこと申し上げてもよろしいですかニャ?」
 
 ミケメが笑顔で指を立てた。

「うん、なにかな?」

「もし、どなたかがお残りのなるのなら、わたしたちもピレウスに残るニャ」

「え、きみたちが?」

「お世話する者がいるニャ」

「家を建てたり、畑を作ったり、水を汲みに行ったりニャ」

「ごはんを作ったりニャ」

「そんなの、ちょっと機材があれば、俺たちでできるぞ」

「でもニャ」

「いざ出産ということになったらニャ」

「たいへんニャ(^_^;)」

「猫の手も借りたいになるのニャ!」

 

 出産(# ゜Д゜#)!?

 

 口にこそ出さなかったけど、みんな異口同音に、でも口には出さずに驚いた。

 なんか、モロそのままの話なので、俺は話題を変えたぞ。

「聞きそびれていたんだけどさ!」

「なにかニャ?」

「ダルで二十年休眠して目覚めた時さ、ミケメたちは、そのまんまだったじゃないか、おまえたちもクローンかなにかなのか?」

 ああ……みんなもそんな顔になった。とりあえず緊急避難(^_^;)

「ネコはニャ、100万回生まれかわるニャ」

「宇宙に飛び立つにあたってニャ」

「100万回分を一人の中に取り入れたからニャ」

「100万匹分の寿命があるニャ」

「「「「ニャー(^▽^)!」」」」

 後ろでミカさんが笑ってる、どうやらミカさんの仕業。 

「あたし……なってあげてもいい。助けられるだけじゃ地球人として恥ずかしいことだと思う」

 樟葉が真っ直ぐに顔をあげた。顔は真っ赤っかだったけどな(#^o^#)。

「このピレウスへの遠征で、いろんなことを経験して仲間をかけがえのないものだと思えるようになった。それって、広げて考えたら、人類みんなを大切な仲間と思うことと同じ。だから、あたしは残ってもいい」

「オ、オレも残ってもいいです(#'∀'#)。地球じゃ何の役にもたたない引きこもりだけど、こんなことで役に立つんなら、オレは喜んで残ります!」

「トシ、お前が残ったら宇宙規模の引きこもりになっちまわないか(^_^;)」

「艦長!」

「……すまん、茶化す話じゃないな(-_-;)」

「でもさ、アダムとイブになるってことは、その……夫婦になって、子供を作るってことなんだよ。一時の感情で決めていいことじゃないよ」

「ジェーン、焚きつけてんだか、思いとどまらせてんだか……」

 樟葉に先を越された天音がジェーンを睨む。

「も、もちろん他の意見も聞かなきゃならないけど」

「あたしは……」

「待っで!」

 レイマ姫が遮った。

「トス君は使えね」

「こ、答えるのは、まず樟葉さんでしょ!!」

 トシは珍しく色を成した。

「トス君は……クローンなんだ。クローンには生殖能力がねんだ……」

「エ……オ、オレ、クローン!?」

「ダルの虚無宇宙域で三笠のエネルギー無ぐなったどぎ、なんどは救命カプセルで20年冬眠すでいだんだ。で、トス君のカプセルは具合わりぐで、トス君は死んでまったんだ。で、三笠の船霊のミカさんが、残ってあったDNAで再生すたのが今のトス君なんだ。こぃについでの記憶はアクアリンドのクリスタルの力で封印すてあったのだす」

「そ、そんな……オレがクローン……そんなバカな! そんなの信じられねえ!」

 普段は大人しいトシだが、そう叫んだあと、トシは三笠を飛び出してしまった。

「トシ、待て!」

 いつもならトシに後れを取るような俺じゃなかったが、トシを見つけることはできなかった……。

 

☆ 主な登場人物

 修一(東郷修一)    横須賀国際高校二年 艦長
 樟葉(秋野樟葉)    横須賀国際高校二年 航海長
 天音(山本天音)    横須賀国際高校二年 砲術長
 トシ(秋山昭利)    横須賀国際高校一年 機関長
 レイマ姫        暗黒星団の王女 主計長
 ミカさん(神さま)   戦艦三笠の船霊
 メイドさんたち     シロメ クロメ チャメ ミケメ
 テキサスジェーン    戦艦テキサスの船霊
 クレア         ボイジャーが擬人化したもの
 ウレシコワ       遼寧=ワリヤーグの船霊
 こうちゃん       ろんりねすの星霊

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RE・かの世界この世界:035『穴の向こうから』

2023-03-12 06:39:00 | 時かける少女

RE・

035『穴の向こうから』  

 

 

 こ……これからどうするんだ……(╥﹏╥)?

 
 シリンダー連結体の群れが遠ざかり、口から飛び出しそうになっていた心臓が胸の真ん中に収まったころ、思わず口をついた疑問にブリが応えた。

「待っておる」

「「なにを(;'∀')?」」

 ケイトと声が重なった。

 結界の中にいれば安全なのだろうが、いつまでも居るわけにはいかない。

 とにもかくにも無辺街道を抜け出し、ヴァルハラを目指さなくてはならない。ヴァルハラを目指せと言いだしたのはブリ自身なのだからな。

 それに、丸めた背中にグッタリとツインテールを垂れさせているブリの姿は、いかにも心もとない。

「無辺街道の警備を任されている者たちの内に力を貸してくれる者が現れる」

「それは誰なんだ?」

「連絡とかとれるの?」

「……夕べの月が、そう言っていた」

 

 ちょっと驚いた。

 たしかに、夕べの月は凄みがあって、イケメンのマッチョがいれば狼男に変身しそうだった。

 変身するかわりに、ブリはツィンテールを解かせて本来の姿を見せてくれた。

 そして、無辺街道からの脱出を決心……したはずだ。

 古来、月の光は心を惑わす。

 夏目漱石は、好きな女性が居たら満月の夜に「月が綺麗ですね」と一言言えば口説けると言った。

 あれは、漱石の実体験だろう。そうやって結婚した女房に、漱石は一生手を焼いている。月の力を借りれば、どこかでしっぺ返しが来るのではないか……。

 文学的な素養のあまり、そんな妄想が湧いてきたところで地響きがした。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

 

「シリンダー連結体(;゚Д゚)!?」

 怯えたケイトがしがみ付いてきた。

「音が違う……もっと……」

 あとは、ケイトを怯えさせるだけだと口をつぐむ。

 シリンダー連結体はイナゴの大群のようだったが、頭上に迫ろうとしているそれは、グラウンドを慣らすローラーを巨大化させて、それを同時にいくつも曳いているような終末期的なおぞましい響きがある。

 
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………ゴロ ゴト

 
 地響きが頭上で停まった!

 
 トール!?

 
 ブリが呟く。

 ガチャリ 

 金属音がしたかと思うと半球状の結界のテッペンに、ジジジとガスバーナーを吹きつけたような光が円を描いていく。

 パカ

 焼ききられたテッペンが落ちてきて、マンホールほどの穴が開いた……。

 思わず結界の端っこに身を避ける。

 わたしよりも一瞬早くケイトが逃げていた。臆病さのなせる業なんだろうけど、反応が早くなることはいいことだろう。

 ブリは、触覚のようにツインテールをそよがせて穴の向こうを調べている。

 

 ―― ブリュンヒルデさま ――

 

 穴の向こうから声がした。

 

☆ ステータス

  •  HP:200 MP:100 属性:剣士(テルキ) 弓兵(ケイト)
  •  持ち物:ポーション・5 マップ:1 金の針:2 所持金:1000ギル
  •  装備:剣士の装備レベル1 弓兵の装備レベル1

☆ 主な登場人物

  •   テル(寺井光子)   二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人) 今度の世界の照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトと変えられる
  •  ブリ         ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘
  •  ペギー        峠の万屋
  •  二宮冴子       二年生、不幸な事故で光子に殺される
  •  中臣美空       三年生、セミロングの『かの世部』部長
  •  志村時美       三年生、ポニテの『かの世部』副部長 
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