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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 113『なんでこうなるんだ?』

2023-03-18 14:19:27 | ノベル2

ら 信長転生記

113『なんでこうなるんだ?信長 

 

 

 ヒヒーーーン!!

 

 なに奴!?

 

 俺の登場に馬が棹立ちになり危うく振り落とされそうになっているが、さすがに素戔嗚の化身たる桃太郎。

 カツカツと輪乗り(その場で丸く回って、馬の勢いを鎮める乗り方)し『待ったなし!』をかけられた関取のような目で睨んできた。

 はてさて、どうやっていなしてやろうか。

 すると、奴の方が恋人を発見したように瞳孔と口を全開にして意外な反応を示す。

 

「や! やややや! 大三島の鶴姫ではないか!」

 

 え? あ!?

 そうか、俺が身に着けているのは、大三島は大山祇神社に伝わる重要文化財の鶴姫の胴丸鎧。

 鶴姫は全国区的なヒロインではないが、大山祇神社は厳島神社と並ぶ瀬戸内の伝統ある大神社。桃太郎にしろ素戔嗚にしろ面識があっても不思議ではない。

 それに、うかつに飛び出したが、こいつの後ろには三千の軍勢。やっつけるのは、ちょっと厄介。

 それに、間近で見ると天照が言うほどの悪党ではない。

 探ってからでも遅くはあるまい。

「鶴姫と呼ばれて覚えはないが、この迂闊な軍勢、放ってはおけん」

「え、あ…………迂闊かなあ?」

 桃太郎が首を後ろに回すと、三千の家来共も『え、そうなのか?』と互いに顔を見交わす。

「ああ、隘路(隠れた狭い道)を選んで密かに進軍しているつもりだろうが、おびただしい砂煙を上げて正体バレバレだぞ。それに、大将が先頭に居てどうする。今のわたしのように襲い掛かられては、軍勢の後ろが気づく前に討ち取られてしまうぞ。大将たる者は中軍でどっしり構えているものだ」

「ダメなのか? 先頭の方がカッコよくね? いや、カッコよさって、すごく士気に影響するもんだしね。オレって小柄だからさ、先頭で旗振ってなきゃ目立たないっしょ(^_^;)」

「いや、そうじゃなくてだな……」

「うん?」

「だから」

「いや、鶴ちゃんの、そういうとこいいなあ( ´艸`)。越智安成が惚れたのよく分かるわあ……いや、ごめん。人の彼女をそんな目で見ちゃいけないよね、メ!」

 パチン

 ワハハハハハハ

 桃太郎が自分のオデコを叩くと、三千の軍勢がいっせいに笑う。こいつ、意外と人たらしか?

「いや、こうなったら実践あるのみ。わたしが軍師を務めてやるから、下知に従え」

「望むところだ!」

 おお!!

「じゃあ、鶴ちゃん先頭を走ってよ、僕は中軍とかにいるからさ。声かけてくれたら、いつでも先頭に並んで、いっしょに戦うからさ」

「いや、それはいい。まずは、あの森の中に入って姿を消すぞ」

「ええ、そうなの? ま、いいや、みんなあの森の中に進んでえ!」

「音を立てるな! 砂煙をあげるな!」

 

 五分ほどで軍勢を森に隠し、馬の口には枚(バイ)を噛ませ、具足の草摺は紐で縛らせた。

 

「偵察隊を出す、臆病な兵を十人呼んでくれ」

「臆病なやつ? 勇敢なやつじゃなくて?」

「ああ、勇敢な奴は深入りしすぎる。発見されて、かえってこちらの居所を知られてしまう。程よい距離から、おおよその敵の場所、規模と配置が分かればいい。二人一組として五組放ち、共通の兆候が見えれば、それが敵の姿だ」

「分かった。じゃあ、雉、適当なの十人選んで偵察に行かせて」

「ケーーーン」

「それから部隊編成だ。おまえの部隊はバラバラ過ぎる」

「ええ、そう? 行軍練習はけっこうやったんだよ。ここまで走って来て、軍列は伸びてないし脱落者もいないし」

「いや、そういうことではなくてな。軍というのは装備ごとにまとめなきゃダメだ。先頭は鉄砲、二番が弓隊、三番が槍隊、そして騎兵と歩兵だ。鉄砲と弓は一撃を加えたら後ろに回し、状況の変化に応じて必要なところに手当てする。その采配を振るうのが大将の役割だ」

「そうなのか! なんか、話聞いてるだけで強くなったような気がするよ(^▽^)」

「じゃあ、さっさとやってくれ。並べ変えたら、組頭以上を集めて徹底しろ」

「よし、猿と犬で全部隊に下知しろ」

「ウキキ」「ワンワン」

 森の中で、静かに確実に編成替えが行われる。やればできる部隊だ。

 

 しかし、なんでこうなるんだ?

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神

 

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RE・かの世界この世界:041『二号戦車』

2023-03-18 07:56:49 | 時かける少女

RE・

41『二号戦車』テル  

 

 

 冗談のように見えたのは、数時間前まで乗っていたラーテのせいだろう。

 
 ラーテは1000トンもある超重戦車だったが、目の前の石畳で停車したのは10トンあるかどうかの軽戦車だ。

 呆気に取られて、気づくのに数秒を要したけど、それは二号F型だ。

 ほら、『ガルパン』の劇場版で、幼いころの西住姉妹が乗っていたやつ。

 大きさは宅配便のトラックほど。いや、高さは2メートルを切るから、宅配便のトラックよりも低いかもしれない。

 
 カチャ

 
 キューポラのハッチを開けて出てきたのは別行動をとっていたタングニョーストだ。

「二号でいくのか?」

「ああ、操縦はタングリスがやってくれ」

「やっぱり、ここを出ると顔が指すんだな」

「城塞は元帥のコントロールが行き届いているが、街道にはいろんな者がいるからな」

「二号では心もとなくはないか?」

「二号は偵察や警備用にたくさん使われているからな」

「そうか、そうだな。紛れるのには良いか……」

 タングニョ-ストとタングリスの会話で、ムヘンそのものを出るまでは気が抜けないことが分かる。

「いいんじゃないか。二号は三人乗りだが、ブリとケイトは小柄だから、なんとかなるだろ」

 助け舟を出すと、二人とも穏やかに頷く。

「国境警備仕様の四人乗りです、ムヘンポートまでだから、ご辛抱を」

 わたしに向かって敬礼すると、戦車の鍵をグリに渡し、回れ右……したところへ、買い出しの二人が帰って来た。

「おう、タングニョースト、見送りに来てくれたのか!」

「ちっこい戦車! キュークツそう!」

 リュックいっぱいの戦利品を揺すりあげて胸を張るブリとケイト。

 どう見ても、これから遠足に出かける小学生のノリだ。

「あいにくですが、乗るのはわたしたちです」

「え……冗談だよな?」

「冗談なのは、二人のリュックだ。おやつは三百円までって言っただろうが」

「三百円以内だ! みんなタダでいいって言うんだけど、ちゃんと三百円は渡してきたぞ。ケイトの分は建て替えてっから、あとでくれ」

「それは、後ほどの補給でわたしが持って参りましょう、安心してお預けください」

「「それってオアズケだあ!!」」

「文句言うな」

 しぶしぶリュックを差し出す二人。ポケットに忍ばせた分は大目に見てやる。

「あ……っと、そのツインテール、狭い車内では危険ですね」

「あ、そっか。なら、解いて短くしてもいいぞ」

「解くのは事を成し遂げてからです。わたしが、なんとかしましょう」

 タングニョ-ストは、あっという間にブリのツインテールを五センチほどのお下げにまとめてしまった。

 
 プータレる二人をタングリスと二人で摘まみ上げるようにして二号の中に放り込む。

 
 ブルン……ブルルルルルル

 
 ブリが手際よくイグニッションを入れ、二号は本営の外を半周して城塞の北門を目指した。

 ガタンゴトン

 北門の段差を超える時、ゲペックカステン(物入れ)の蓋が一瞬開き、タングリスに渡したはずのお菓子が入っているのが目に入った。

「シーー(;¬b¬)」

 やれやれ……どうやらブリの魔法で取り戻したようだ。

 

☆ ステータス

  •  HP:250 MP:150 属性:剣士(テルキ) 弓兵(ケイト)
  •  持ち物:ポーション・5 マップ:1 金の針:2 所持金:1000ギル
  •  装備:トールソード 剣士の装備レベル1  トールボウ 弓兵の装備レベル1

☆ 主な登場人物

  •     テル(寺井光子)        二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人)      今度の世界の照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトと変えられる
  •  ブリ              ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘
  •  タングリス              トール元帥の副官 タングニョーストと共にブリの世話係
  •  タングニョ-スト        トール元帥の副官 タングリスと共にブリの世話係
  •  トール元帥           主神オーディンの将軍
  •  ペギー            峠の万屋
  •  二宮冴子           二年生、不幸な事故で光子に殺される
  •  中臣美空           三年生、セミロングの『かの世部』部長
  •  志村時美           三年生、ポニテの『かの世部』副部長 
  •    

 

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