大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 114『いざ出陣!』

2023-03-23 11:11:54 | ノベル2

ら 信長転生記

114『いざ出陣!信長 

 

 

 敵部隊を発見しました! 

 

 五組の偵察隊の内三組が敵を発見した。

「三組とも発見だと! どれが本当なんだ(;'∀')!?」

 矢継ぎ早に三隊の報告を聞いて桃太郎は焦った。当然部下たちにも動揺が走る。

「落ち着け、三隊とも正しい報告をしておる」

「どうしてだ、偵察隊は一里(4キロ)の間隔をあけて出してある、三組とも敵部隊を発見するのはおかしいじゃないか!?」

「同じなんだ。二番から四番の偵察隊が発見している、それぞれ、同じ軍勢の頭と腹と尻尾を発見したんだ。敵の行軍は、少なく見積もって三里、常識的に考えれば四里ほどになるだろう」

「四里……16キロの行軍か!?」

「敵の行軍は何列だった?」

 二列!   三列です!   四列でした!

「バラバラじゃないか! 役に立たん偵察隊だ!」

 気の短そうな猿が顔を赤くする。

「行軍は道幅によって変化する。中をとって三列と考えればいいだろう」

「三列だとすると……一人1メートル……一里で4000……それが三列で……四里で36000人」

 冷静な犬が即座に計算し、雉と猿と三人で顔を見交わす。

 さすがは桃太郎の幕僚、いきなり声を上げては、動揺をきたすと声を呑む。

「36000だとぉ!」

 そう叫んで桃太郎は馬の鞍に立って自軍の数を、よせばいいのに数える。

「何度数えても3000人しかいないんだぞ!」

 ええ~~~~~~~(;'∀')!!

 一瞬で動揺が走る。

 

「狼狽えるな!」

 

 いかん、つい自分の軍勢を率いている気になって一喝してしまう。

 

 シーーーーーーーン

 

 く……静まるのはいいが、その目は止めろ、まるでわたしが大将のようではないか(-_-;)。

「頼むよ鶴姫ぇ(^_^;)」

 桃太郎、だらしなすぎ!

 ここはいちばんカマシて、全軍の気を一つにしなければ!

「聞け! この森で足を停めたのも故あってのこと、見よ、そこな桃の木を!」

 桃かどうかは分からんが、桃色じみた五弁の花をワッサカ咲かせている。これをネタにするしかない。

「御大将桃太郎を賞賛する奇瑞の徴! これより、全軍で必勝の祈念をする! 御大将を中心に扇の形に開け!」

 

 おお!!

 

 戦はノリと勢いだ。敵の位置は掴めた。大将桃太郎のテンションをマックスにあげて、一気に敵の中央を突くにしくはない。

「な、なんて言って祈願したらいい?」

「焦るな、祝詞はあげてやる。お前は、しっかり拝跪して『いざ、出陣!』と叫べばいい」

「わ、分かった鶴ちゃん(#'∀'#)」

 

「かけまくも、畏き桃の木大神に畏まりて申さく……我ら桃太郎軍団三千余名は、この桃の森に旗を上げ、仇なす鬼どもを平らげんと欲し……」

 

 我ながらすらすらと祝詞の願文が浮かんでくる。

 大山祇神社の鶴姫の成りをしているからか? 

 いや、これはデジャヴ……桶狭間の出陣において、熱田神宮で願文を捧げた時に似ている。

 カチャカチャ

 腰の草薙の剣が鳴った。そうか、草薙の剣はあっちゃんの本性。

 奮い立っているようにも、笑っているようにも感じられる。

 こういう場合は良い方に受け止めて置けばいい。

「よし! 桃の木大神は我らを嘉したもうたぞ! 御大将、檄をとばされませ!」

「お、おう!…………」

「なんか言え!」

「も、桃栗三年柿八年! 梅は酸い酸い十三年 梨はゆるゆる十五年 柚子の大馬鹿十八年 蜜柑の間抜けは二十年!」

 なんか、無駄に格言を並べてる。

「ここに気は満ちた! いざいざ出陣じゃあ!!!」

「「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」」

 

 ゴロゴロゴロ、ピッシャーーン!!

 

 折から、俄かに雷鳴轟き、稲妻が走った!

 もう完全に桶狭間のノリだ。

 ノリと勢いは十分、敵の大将は桶狭間!

 三千の軍勢は、馬蹄を轟かせ篠突く雨の中を桶狭間的なものに向かって突き進んだ!

 しかし、これは素戔嗚の化身たる桃太郎退治のはず?

 まあいい、乗りかかった戦、設定は桶狭間そのもの。

 

 ならば勝つしかない!

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神

 

 

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RE・かの世界この世界:046『荒ぶるブリュンヒルデ!』

2023-03-23 06:34:17 | 時かける少女

RE・

46『荒ぶるブリュンヒルデ!』テル  

 

 

 待てっ!!

 タングリスがイグニッションを押そうとした時、凛として制止の声があがった。

 え?

 それがブリの声だと脳みそが理解するのに数秒を要した。いつもの気まぐれで小学生気分が抜けない中坊のようなブリではなかった。凛とした声に瞬時戸惑ったが、身を乗り出したブリの表情は幼いながらも天晴れヴァルキリアの姫騎士のそれであった( ゚Д゚)!

 驚く間もなくブリは続ける。

「禍々しいものがやってくるぞ!」

 そう続けてペリスコープに食らいつくブリ。

 タングリスもキューポラの八つあるペリスコープを舐めるように確認した。

「「あれは……!?」」

 発見の声は主従同時だ。

「おまえたちも見ろ」

 促されて、わたしもケイトとペリスコープに食らいついた。

 

 なんだ、あれは……(°д°)?

 

 それは、数千個の泡が緩く集合してボンヤリと人型になったものだ。

 蚊柱の一匹一匹が蚊ではなく泡粒なのだと言ったら分かるだろうか……それが身の丈五十メートルほどになってやってくるのだ。

「確認だ!」

 ブリがキューポラから飛び出し、わたしたちも続いた。

「伏せろ!」

「イテ!」

 ボンヤリ出てきたケイトがブリに押さえつけられる。

 寝ていた時はケイトと似た者同士に見えたが、文字通り覚醒すると、その差は歴然だ。

「……シリンダーが融合しかかっているんだ」

 数秒観察してブリが結論を出した。

 
 泡粒に見えたのはシリンダーだった。


 一つ一つのシリンダーは融合の中心から逃れようとしているのだが、引力が強すぎて逃れられないロケットのように放物線を描いて引き戻され、少し力の強い個体は人工衛星のように融合体の周囲を回っている。引力に逆らって逃げおおせている者は、ほんの僅かだ。

「結合体以上のものになりかかっている」

 ムヘンの南半分、ブリと囚人地区を出ようとして散々悩まされたのがシリンダーの結合体だ。

 数百のシリンダーが縦に結合して無数に繋がったダンゴのようになって、次々に襲い掛かって来た。

 シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ

 シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ

 シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ

 ムヘンの流刑地ではブリの結界で身を隠し、タングリスとタングニョ-ストが操縦する超重戦車ラーテに助けられた。あの時の結合体の三乗倍も禍々しい。

「逃げます!」

 タングリスが促した。

「いや、成敗する!」

 ブリは、スックと砲塔の上に立ち上がり、拳を天に突き上げた!

「姫! ブリュンヒルデ姫!」

 禁じられたはずの真名で制止するタングニョースト!

「完全に融合してしまっては手に負えなくなるぞ、今なら倒せる!」

 ブリのツインテールが光を帯びて生き物のように融合体目がけて伸びていく!
 
 ブリュンブリュン! ブリュンブリュン!

 これまでの戦闘でツインテールの威力は知っているつもりだったが、いま目にしているものは次元が違った。

『中二病でも恋がしたい!』の凸守早苗を思い出したが、その勇姿と威力は遥かにその上をいく!

 って……なんのことだ? いきなり別人格が湧き出たような気がしたが、直ぐに小早川照姫の意識に戻った。

 荒々しくうねるツインテールは、もはや独立したモンスターだ!

 ブリは、そのモンスターを操る荒ぶる神だ!

 
 グギギギ…………ブリュン!! 

 
 ツインテールが撓ったかと思うと、パチンコのゴムのようになってブリを空中に打ち出した!

 いや、ブリが突出してツインテールを従えているのだ!

 シリシリ シリン!

 融合体は、それに気づいて、体ごとこちらを志向し始めた。

「我々も続こう!」

「うん!」

「おお!」

 
 わたしたち三人も続いてジャンプした!

 

☆ ステータス

  • HP:500 MP:500 属性:剣士=テル 弓兵=ケイト
  • 持ち物:ポーション・15 マップ:2 金の針:5 所持金:5000ギル
  • 装備:剣士の装備レベル5(トールソード) 弓兵の装備レベル5(トールボウ)

 
☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  • テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
  • ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 
  • ブリ(ブリュンヒルデ) 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘
  • グリ(タングリス)   トール元帥の副官 タングニョーストと共にブリの世話係

―― この世界 ――

  • 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
  • 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
  • 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 
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