『夢の小筥』

再び廻り来る事のない、この刻(いま)を、そっと筥に納めてみました。

”あなた手をかして・・・”

2012-10-03 16:35:17 | Weblog

                 

  あなた

 今日も色々あったけど、まもなく夜の帳が降りてきます。

 ひとりには慣れた筈ですが、やっぱりすごく淋しい。

 この時間になると重い雲がゆっくりと空を覆い始めます。その隙間から眩しい光が一筋・・・

 ”月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど”  大江千里の詠みです

 「秋の月を眺めていると、様々と思い起され物悲しいことです。秋はわたしひとりにやって来たのではないのですが。」

 その通りと思います。何故か自分だけが淋しいように・・・

 あまり上手く歩けないけど、杖を片手にホーマックまで歩く練習。行き交う人みんな、溌溂としている。

 いいな~ハイヒールとは言わないけど、あんな風にパッパと歩く事ができたら・・・

 中年のご夫婦冬囲いの用意でしょうか・・・あれこれ・・・と。

 何気ない、本当に何気ない普段のことが新鮮に見え、「いいなぁ~」って

 私はと言えば、一歩また一歩と覚束ない足どりです。それでも一生懸命歩く練習。必ずパッパと歩く事出来ます様・・・

 ”今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を待ち出でつるかな“      素性法師

 「今すぐに行きましょう」とあなたがおっしゃったので、(その言葉を信じて) 九月の長い夜を待っていましたが、とうとう有明の月が出 

 る頃を迎えてしまいました。

 こんな風に家にいる時間が多いわたし、ついつい余計なことを考えて、自分を追い詰めてしう。

 「あなた、ほんの少々でいいから!手をかして・・・」