『夢の小筥』

再び廻り来る事のない、この刻(いま)を、そっと筥に納めてみました。

綺麗になった庭。窓越しにみていると、あなたが這い蹲って庭いじりしてた姿が、ふと浮かんできます。

2015-09-01 11:46:13 | Weblog

       
                                            
                                                  2015-8-31-綺麗になった庭-3

          あなた

 「長月」です。

 月日の巡りが随分早く感じます。

 あなたが居なくなった頃、一日の長さに居た堪れなかった…わたし。

 その長さに耐えて、一日々を重ねて…諸々…。

 振り返ると…「よく頑張ったね」って、自分に労いの言葉を、かけてやりたい。

 もちろん、一人では何もできない。

 多くの人に援けられながら、今日の日まで生きてきました。

 

 空の青さが瞳(め)に沁みます。

 余りにも穏やかな日です。

 

 綺麗になった庭。

 窓越しに見てると、あなたが、這い蹲って庭いじりをした姿が、ふと、浮かんで

 きます。

 

 ふいにお陽さんが雲にかくれ…不気味な静けさが、周りに漂う。

 あなた

 一人でいると、その昔あったことの色々、”そうだよな、そうだよねって”

 嘗てあったことが、ヒョイと浮かび上がり… 

 思い出さなくてもよいことまでが、頭を駆け巡る。

 

 『秋風のうち吹くごとに高砂の尾上の鹿のなかぬ日ぞなき』 詠み人知らず

 秋を詠んだ和歌(うた)

 《秋風が吹く日には、決まって高砂の峯の上の鹿が啼くとの通釈が

 ありました。》

 鹿を詠んだ句

 おくやまに もみぢふみわけ なくしかの 

            こゑきくときぞ あきはかなしき』 (猿丸太夫)

 秋は寂しく、もの悲しいのは、太古の昔からの人の感性です。

 

 あなた

 隠れていたお陽さんがまた、顔を出して…

 爽やかな、長月始まりの一日(ついたち)です。