児童虐待 最多12.2万件
(2)里親制度の積極的導入
生きずらい社会になっています。
そして、このことは現在進行形で社会の底辺で生きる人々をむしばみ始めています。
色々の理由があって社会の流れに乗れずに、孤立してしまう弱者が増えています。
「予期しない妊娠」「望まなかった妊娠」。
どちらも当事者にとっては大きな問題です。
本来こうした問題は当事者の男女が対等の立場で解決に当たるのが原則ですが、
沢山の事例から浮かんでくるのは、
負担の大きな部分を女性が背負ってしまうという現実です。
独りで生きるには寂しい男と女は、
快楽のみを共通点として同じ屋根の下で生活を始める。
互いの人格を認めながら生きていくことを放棄してしまえば、
「妊娠も子育ても負担以外の何物でもなくなってしまいます」。
子育てを放棄し、遊びに行ってしまい、
幼児が餓死に到る痛ましい事例も珍しくありません。
これを、「奔放で無責任な親」として非難しても何の解決にもなりません。
底辺に埋もれていってしまう人たちを支援する仕組みを作っていかなければ、
児童虐待の問題は解決しません。
厚労省は児童虐待の実態を発表するとともに、「厚労省方針」を発表した(7/30)。
児童虐待などで親元で暮らせない子どもの受け皿について、
就学前の子どもの75%以上
就学後の子どもの50%以上を里親とファミリーホームに担ってもらう新たな目標を公表した。
児童虐待などで家庭で暮らせない子どもの受け皿については、
その大半が児童養護施設などの施設が担っているのが現状です。
現状を数字で示すと以下のようになります。
対象児童の数は2016年時点で約4万5千人
受け入れ先(15年4月時点)を見てみよう。
児童養護施設や乳児院…………76.4%
グループホーム………………… 7.9%
里親・ファミリーホーム………15.8%
(現在はファミリーホームを含めても15.8%しか利用されていない。
アメリカなどと比べると、里親制度の活用率がとても低いようです)。
以上のような現状を踏まえて厚労省ではおおむね5~7年以内で、
里親・ファミリーホームの活用率を、就学前児童70%、就学後の児童50%以上の目標達成をさせ
る計画です。
この指針は「社会的養護の新しい在り方を議論する有識者検討会」に示し、了承されればすぐに導
入される。
しかし、この考え方に問題がないわけではありません。「有識者検討会」がどのような結論を出
すか注目したいと思います。
(つづく)
次回は施設と里親制度について述べたいと思います。
(2017.8.23記) (昨日の風 今日の風№76)