児童虐待 最多12.2万件
(3)施設と里親制度
児童相談所(児相)が昨年度、
児童虐待があるとみて対応した件数は12.2万件であり、
虐待の件数が年々増加しいることは(1)触れた。
いままで表面に現れていない事例が、
社会の意識の高まりから通報や相談が増え、
表面に浮かび上がり、
子どもを救える機会が多くなっていることは確かだ。
しかし、リスクの判断を誤り、命が失われるケースも少なくない。
虐待で亡くなった子どもの人数
2011(年度) 2012 2013 2014 2015
58+41 51+39 36+33 44+27 52+32 (心中以外の死+無理心中)
99人 90人 69人 71人 84人 (合計)
親元を離れて施設などで暮らす子どもへの、
施設職員や里親による虐待も少なくない。
例えば、2014年度に62件あり、86人が被害に遭っている。
種々の理由があって、
過程で暮らせない児童の受け皿としての機関が虐待の現場になってしまう痛ましい現実がある。
児童にとってより家庭に近い生活環境の提供の場が里親・ファミリーホームなのに、
ここでも虐待が起きてしまうところに、
「制度作って魂入れず」
ということになってしまう。
また、しばしば問題となる支援機関の連携が不十分で虐待を見抜けなかったケースも多い。
8月18日の朝日新聞では、三重県児相の取り組みを評価している。
評価シートの導入
「理由不明の傷やあざがある」「子どもが殴られているのを通告者が見た」など15項目に一つで
も当てはまれば、一時保護を検討し、保護しない場合は理由を必ず記録しいる。
(この15項目シートについては、三重県の児相に資料提供をお願いしたのだが、外部者に公表はしない旨の回答を得ました)
また、機関情報誌「エミール」を発行し、市民への児相の取り組みの理解と啓蒙に努めているようです。
「一時保護」は、単に虐待のある児童を保護するということではなく、
保護者と話す機会を作り育児や子育ての悩みを聞き、
支援の足掛かりとすることが肝要です。
最後に里親に関する費用についてお知らせします。
里子を委託されると支給される手当
■里親に支給される手当
里親手当 養育里親に月額72,000円(2人目以降 36,000円)
里親委託支度費 42,600円(1件につき)
レスパイトケア費 5,500円(一日につき)
■里子たちのために出る公費(養育費)
児童一人を里子として預かると一般生活費として47,680円
子の費用を、「こんなに貰えるんだ」と思わないでください。
里親としての苦労、気遣い、
そして24時間何があっても、
自分の子どもと同じ対応をしなければ里子と里親の信頼関係は築けません。
愛着行動を経て育ててきた我が子以上の気遣いと努力が要求されるのです。
我が子第一主義の若いお母さんたちの多い日本で、
里親制度が定着増加していくには時間がかかると思いますが、
児童が生き生きと育つ健全な社会の支援施策として必要不可欠な制度だと私は思います。
参考までに、児童一人を養護施設で預かるには、
事務費、事業費をあわせるとこれ以上の費用が掛かることを記して最終回とします。
(おわり)
(2017.8.25記) (昨日の風 今日の風№77)