雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

坂村真民の言葉(1) 未練

2021-04-15 06:30:00 | 読書案内

坂村真民の言葉(1) 未練 

 坂村真民について (坂本真民記念館 プロフィールから抜粋)
   
20歳から短歌に精進するが、41歳で詩に転じ、個人詩誌『詩国』を発行し続けた。
       
仏教伝道文化賞、愛媛県功労賞、熊本県近代文化功労者賞受賞。
  
一遍上人を敬愛し、午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活。
  そこから生まれた人生の真理、宇宙の真理を紡ぐ言葉は、弱者に寄り添い、
  癒しと勇気を与えるもので、老若男女幅広いファン層を持つ。
  写真の本は「一日一言」と称し、真民が生きた日々の中で浮かんだ言葉の中から365を厳選、
  編集したものです。

   未練
      「今」を生きつづけたものに
      未練はない
      働くだけ働いて働き蜂は
      蟻に己れを与え
      鳴くだけ鳴いてこおろぎは
      己れを風葬にする

    「今」を真剣に生きる者にとって、どんなことが起ころうとも未練はない、
    と言い切る裏に、作者の一途な生き方と、揺るぎのない信念がイメージできます。
    「蟻」の餌食になってしまう「蜂」や
    冬を迎える「こおろぎ」のように、自分の亡骸(なきがら)が風に晒されような最期を迎えようと、
    私は生き方を変えない。

    こういう生き方を継続してきた真民(しんみん)さんの言葉だからこそ、
    重みがあり、納得もできます。
    納得できる言葉でも、凡人にはなかなか難しい生き方のようです。

    頑張る時には頑張り、気を抜く時には気を抜く生き方を長年続けていれば、
    空気を読んだり、根回しをしたり、
    タイミングを待ったりすることが自然に身についてきます。
    このことが身についていないと、
    絶妙のタイミングで自分を生かすことはできないように思います。

    人それぞれに生き方は違いますが、「真っ直ぐに生きる」ということは、
    決して悪いことではないけれど、どこかで無理が生じ、
    周囲との摩擦を起こしやすくなってしまいます。
    人に恥じない生き方であっても、周囲と摩擦を起こし、
    これを解消しょうという気がなければ、
    「変り者」とか「意地っ張り」という言葉で片づけられてしまいます。

    真民さんの生き方に、感銘しながらもどこかで、
    「難しい生き方だよな」と言っている自分の声が聞こえてきます。

                            ブックデーター
                             「坂村真民 一日一言 人生の詩、一念の言葉」
                             致知出版社 2006(平成18)年12月刊 第一刷

      (読書案内№171)                 (2021.4.15記)

 

 

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