女川町・被災の爪跡(2)
こんなことが本当に起きるのか……。鉄筋のビルが横倒しになる。
横倒しになっていた鉄筋の女川交番。同じく鉄筋コンクリートの江島館(写真一番手前)も見事に横倒しになり、
その残骸を無残にさらしている。今では撤去されているが、女川駅から200メートルも流された電車は、山際の林に
引っかかってかろうじて止まった。写真江島館の奥には七十七銀行、一番奥の茶色い建物がマリンパレス女川です。
倒壊、そして、かろうじて外壁だけが残った建物は、解体、撤去を待つばかりである。
銀行があり、交番があり、商業施設があるこの一帯は、女川町のメインストリートであったのだろう。
だが今は、写真の三つの建物以外、何も残っていない。
津波のすさましい痕跡を残して、町はひっそりとたたずんでいた。
一部、「震災遺構」として、残すかどうかの議論もあり、
「保存による津波津波防災の喚起」と「負の遺産は残したくない」という被災者感情との板挟みで、
自治体の判断も容易に結論を出せないようである。
津波による浸水は海抜20メートルに達した。風の行方(9)「女川町・被災の爪跡」のように、
津波は鉄筋の建物をなぎ倒すほどの威力で、
遥か遠くの岬の先端にあった高さ6メートルの防潮堤をいとも簡単に乗り越え、
大きなうねりとなって高台にある町立病院一階フロアーにまで牙をむいた。
商業ビルの立ち並ぶ港一体では至る所で水が噴水のように噴き出した。
液化現象による地盤沈下である。
気象庁が大津波警報を発令した3月11日午後2時50分頃、防災無線の放送が始まった。
「大津波警報が発令されています。沿岸の人はただちに高台に避難してください」。
20分後、女川町庁舎は屋上を残して浸水した。
(つづく)
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