雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

野坂昭如と水木しげる

2016-01-21 10:30:00 | つれづれ日記

野坂昭如と水木しげる

 個性的な二人が相次いで亡くなった。

どちらも、表現者として一歩も譲らず、自分流に生き方を貫き、名を成した二人だ。

 

 野坂氏は自称焼け跡闇市派として、代表作「火垂るの墓」を残し、

小説家、評論活動、作詞、歌手などジャンルにとらわれず、活動範囲は広い。

一貫して反体制を主張し、歯に衣着せない論調には定評があった。

一方でこうした彼の姿勢を、「場を読まない」と冷ややかに見つめる人もいたが、

空気ばかり読み、世論におもねる人の多い中で、貴重な存在ではなかったか。

 

 水木しげる は今まで誰も描かなかった「妖怪漫画」の開拓者として名高い。

「墓場鬼太郎」「悪魔くん」「ゲゲゲの鬼太郎」など当時の週刊マンガ誌の少年サンデー、少年マガジンなどで、

圧倒的な人気を得ていた。

 「子泣き爺」「砂かけ婆」「ぬりかべ」「一反木綿」など文字のみの記録で古典の画が存在しないものは、

水木によって初めて絵として描かれたようですね。

 彼の作品で一番好きな作品は、

「総員玉砕せよ!」という戦記マンガです。

 片腕を失うことになった水木の戦争体験をもとに描かれた作品は、多くの賞を受賞しました。

登場人物に悪人は存在せず、優しさの中に強さを秘めた妖怪たちが時にユーモラスに描かれているところに、

少年だけではなく、大人までもとりこにして、一世を風靡したのでしょう。

 

 昨年、高倉健や菅原文太が他界し、今年は野坂、水木が鬼籍に入った。

昭和は遠くなりにけりです。

   次回は短歌にみる野坂昭如と水木しげるをアップします。

 (2016.1.20記)   つれづれ日記 №53


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