雨あがりのペイブメント

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過労死・過労自殺

2018-07-20 07:11:26 | 労働問題(過酷労働・過労死・仕事と生きがい等)

過労死・過労自殺
    厚生労働省発表「過労死等の労災補償状況」

写真・図版


 過労死・過労自殺として労災認定された人は190人だ。
 グラフに表されたように2015、2016、2017年とほぼ横ばい状況である。

 政府は15年度に過労死をなくすための対策をまとめた「過労死防止大綱」を策定したが、
その後も大勢の人が働き過ぎや仕事のストレスで亡くなる状況が続いている。

 過重労働が長い間続けば、
 くも膜下出血や心筋梗塞(こうそく)などの「脳・心臓疾患」で倒れてしまう。

              過労死=92人/190人
 また、仕事のストレスなどで「心の病」を患って過労による自殺(自殺未遂を含む)した人は
                                    過労自殺(未遂を含む)=98人/190人
  「過労死ライン」という過労死認定の目安は、
  月80時間以上の時間外労働時間の有無を一つの基準とする。
  
   過労死の内過労死ラインの80時間を超えた人は全体の9割におよび、
  そのうち月100時間を超える時間外労働をした人は5割におよぶ。
  同じように過労自殺(未遂を含む)をした人の内、5割を超えた人が過労死ラインを超えていた。

    こうして細かく見ていくと、背景にあるのは長時間労である。
    何故長時間労働なのか。
        此の事を考えないと、労働問題は解決しない。
   同業他社との苛烈な競争、労働力不足、人権無視などを解決しない限り上部だけの対策になり、
   根本的な解決にはならない。

   2017年度の労災認定された人は次の通り
    心の病で認定された人  506人(前年比プラス8人) 2年連続で過去最多
    体の病気で認定された人 253人(前年比マイナス7人) 
         労災認定を受けた人の数値であるが、
         実際にはこの何倍もの人たちが労働災害寸前の環境で働かざ

          るを得ない現実があることを認識したい。


   「過労死防止大綱」について
   大綱では過労死が多い一部の業種について、働き手の労働実態を特別に調査すると定めている。
   現時点では自動車運転業務、外食産業、教職員、IT産業、医療の5業種が明記されているが、
   これにメディアと建設業が加わる。

   メディアでは、広告大手・電通の新入社員の過労自殺や、
   NHK記者の過労死、建設業では新国立競技場の現場
監督の過労自殺が大きな問題となった。
   こうしたことから詳しい調査が必要だと判断したようである。

   対象業種には数年おきにアンケートを行い、
   長時間労働がなくならない理由などを厚労省が毎年まとめ「過労死
等防止対策白書」で公表
   する。


   数値目標の一部をあげる
     週の労働時間が60時間以上の人の割合 17年7.7%→20年までに5%以下
     年次有給休暇の取得率 16年49.4%→20年までに70%以上
     働き手のストレス状態を調べる「ストレスチェック」の結果を職場環境の改善に
     活用した事業所の割合を

      16年37.1%→22年までに60%以上

       労働力不足もさることながら、低賃金の問題も見過ごすことはできない。
   生産現場等においては「毎日2時間、週に10時間程度の残業がなければ、
   生活が厳しい」という現場からの声もあり、年次有給休暇の取得なども含め、
   実現には相当の覚悟をもってあたらなければ実現しない。

     現実にはこんな馬鹿なことが。
   国立循環器病研究センターで月300時間までの時間外労働が許容される労働協定が結ばれていた。    看護師のМさんはくも膜下出血で倒れ、過労死の認定を受けた。
  Мさんの場合過労死ラインの80時間は超えていな
かったが、
  実務、研修、新人指導など激務をこなしながら、シフト制の勤務の中、
  退勤から次の勤務まで5
時間しかない時も珍しくなかった。

  月100時間を超える労働時間。
 だが数カ月から半年の時間外労働の平均は、「過労死ライン」を超えていないケースも多い。
 「過労死ライン」を超えていなければ良いという単純な問題ではなく、
  労働環境 や労働密度によっても過労死が起こるということを
  経営者は肝に銘じるべきではなかろうか。

 「過労死ライン=月80時間の時間外労働」と明記してしまえば、
  この目安だけが一人歩きし、月80時間以内の時間外労働だったらいいのだと 
  目安を逆手に取ってしまう考えは本末転倒だろう。 
                     (2018.7.19記)
      (過酷労働・労働問題等№2)

  

     

 

 

 

 

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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時間外労働 (九州より)
2018-07-20 08:21:46
おはようございます。
先だって、熊谷徹著「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」を読みました。
ドイツでは例外を除いて残業はごく限られているそうです。
マネジメントをする上司の責任を問われることもあるとか。
ずっと以前ですが、ドイツ関連の本を読んだことがあります。
そこにも、ドイツでは残業をすると、その人の事務能力を疑われると書いてありました。
彼我の労働観の違いが分かって面白いです。
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九州よりさんへ (雨あがりのペイブメント)
2018-07-20 15:20:13
 貴重な情報ありがとうございます。
「額に汗して働くことは美しい」と、私たちの世代はこうした労働観を植え付けられて育ってきました。
 こうした時代を生きてきた人が、経営に携わり
競争の激しい経済社会の荒海にこぎ出した時、労働者を機械のように操り、過酷労働に追いやってしまう危険性は十分にあります。
「企業は人なり」の理念を忘れてしまえば、組織は衰退してしまいます。
 「働くことが一番」ではなく、「有意義な人生を歩むためには」ということを経営者も労働者も考えなければ、成熟社会の次に来る「心豊かな社会」の実現は難しいと思います。
 情報は、励みになります。ありがとうございました。
返信する

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