供養花火
8月20日(土)、薄暮に沈んでいくK川の辺に夜店の電灯がともり、
わずかな風が川面にさざ波を立てる。
午後7時 大会開始の合図の花火が上がる。
カーバイトのアセチレンガスの灯りは、
もうかなり前に、自家発電の電灯に切り替わり、
あの鼻をつくガスの匂いが懐かしく思い出される。
今年のテーマは「被災地へとどけまごころ、希望のひかり」である。
3.11の大震災からすでに5か月が過ぎ、
人の記憶や、
あの時抱いた驚きと被災者への悲しい共感も、
時間の経過とともに少しずつ薄れていくような気がします。
悪夢のような災害に、全てを失っても、
「パンドラの箱」の中から人間は最後に残った希望を取り出して、
たくましく歩んでいこうとする強い意志を持っている。
震災間もない3月19日、Hがガンに倒され、5月5日にはkが脳梗塞で逝き、
仲間が二人名簿から消えてしまった。
先に逝ってしまった仲間たちは全部で20名。
せめて空の高みで安らかなれと今年も「供養花火」をあげた。
※ 「パンドラの箱」(ギリシャ神話)
美と好奇心を与えられたパンドラが、決して開けてはいけないと言われた
箱を開けてしまったため、箱の中に封印されたあらゆる災厄(病気、盗み
嫉妬、憎しみ、争い)が、人間世界に飛び散ったといわれています。
しかし、、神は人間を見捨てなかった。最後に残ったもの。それは「希望」でした。
「美しいものに惑わされるな。好奇心に負けてはいけない」という教訓と
「開けてはいけない、触れてはいけないもの」を意味するようになりましたが、
私は、最後に残された「希望」の存在を大切にしたいという意味で引用しました。
この文章は、同窓生への便りとして作成したものを、ブログ用に編集して掲載しました。
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