エボラ出血熱(7) ―リベリア 終息宣言―
世界保健機関(WHO)は5月9日、西アフリカのリベリアでのエボラ出血熱の終息宣言をした。
リベリアは大流行した西アフリカ参加国の内、最も多くの死者を出した国だ。
終息の目安とされる42日間、新たな感染者が発見されなかったからだ。
2013年12月、ギニアで発生、西アフリカで大流行。
エボラ出血熱の西アフリカ3か国の死者 |
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リベリア |
4716人 |
シエラネオネ |
3904人 |
ギニア |
2387人 |
リベリアでは今年3月27日に最後の患者が死亡した後は、感染者の報告がゼロになっていたための終息宣言である。
医療不足さらに深刻に
国境なき医師団日本事務局長によれば、この終息宣言に大きな貢献をしたのが国境なき医師団(MSF)だ。
3カ国に医師200人以上を派遣、2500人の現地スタッフとエボラとの戦いに挑んだ結果が、終息宣言に向かわせた。
MSF日本も、医師や看護師ら19人を述べ22回派遣している。
日本の貢献度は、資金、物資 面の支援は光っているものの、
米国、英国、中国などに比べて人材面での貢献度の見劣りが目立っている。
厳しい評価だが、諸外国への災害派遣、紛争地派遣などにおいても同様の指摘がなされてきたところだ。
エボラ出血熱支援についても、前回「消えた陸自派遣」で指摘したとおりだ。
(世界保健機関)WHOの統計では、西アフリカ3カ国の医師数は人口10万人当たり1~2人と極端に少なく、
今回の流行で約850人の医療者が感染し半数以上が亡くなった。
「感染の危険性におびえながら、勇気を奮い立たせて患者と向き合った。心身ともにぼろぼろだ」と、
診察にあたる医師の言葉を朝日新聞は5月10日付で伝える。
「無力感だけが残った11カ月だった」とも。
MSF日本事務局長ジェレミィ・ボダン氏はエボラに関する人びとの関心が薄れつつあることを懸念したうえで、
「エボラそのものも、エボラから派生した深刻な医療危機もまだ終息していないのだ」(朝日3/29)、と述べている。
(2015.5.24記) (昨日の風今日の風№29)
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