地の底から湧き出るような地鳴りが遠くの方で聞こえ、
土煙が地鳴りの音を追うように走っている。
風がざわめき、樹の葉が揺れ、枯れた小枝が落ちてくる。
地面が揺れ、立っていられなくなる。
屋根のかわらが落ち、大谷石の塀が音を立てて崩れていく。
2011.3.11 午後2時46分。
津波が信じられない速さで町を襲い、
人々を飲み込み、木々をなぎ倒して侵入した。
未曾有の大災害に私たちは息をのみ、
なんとか目の前に広がった信じがたい光景を理解しようと努力した。
さらに追い打ちをかけて福島第一原発の事故である。
地震の揺れをとらえ、
自動停止した原子炉の燃料に制御棒が挿入され、
炉心の核反応は抑えられた。
全ては、
緊急時の危機管理のマニュアル通りに進められていくべき事故と思われた。
緊急時の原発の安全管理のキーワードは
「止める→冷やす→放射能を閉じ込める」である。
かろうじて原子炉を止めることには成功した。
だが、
外部電源が停止、非常用ディーゼル発電装置も作動せず、
燃料棒の熱を冷ますために
冷却水を循環させることができなくなった。
冷却水は蒸発し、水位が低下し燃料棒がむき出しになると、
事態は急速に悪化し、最悪のシナリオが登場する。
燃料棒が解け、原子炉格納容器が破損すれば、
放射物質が原発外部へと流出し、
被害はさらに拡大していく危険性をはらんでいる。
(つづく)
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