能登半島地震 (2) 修羅場となった被災地を伝える
1月1日 午後4時10分。震度7 マグニチュード7.6。
緊急地震警報と共に発生した能登半島地震からもうすぐ一カ月が過ぎようとしている。
能登地震 死者73に 余震相次ぐ 被害規模なお不明 (朝日新聞朝刊2024.01.04トップ)
生存率が落ち込むとされる「発生後72間」が迫るなか、
消防や自衛隊職員の人命救助活動を記事は伝えている。
この時点ではひがいの全容は把握できず、ボランティアの要請もしていない。
どれだけの被害があるのか、孤立している集落がどのくらいあるのか、
道路の寸断、津波の把握状況、建物等の被害状況、避難所の確保、食料、飲料水の確保など、
逼迫した状況を報道するのみで、被害の全容把握はできておらず、緊迫した状況を報道するのみ。
気象庁発表。(朝日新聞4日朝刊)
この地域で1日夕~3日午後4時までに観測された震度1以上の地震は521回となり、
阪神・淡路20年12月~23年12月の約3年間に起きた地震の発生数を上回った。
大震災(1995年)や熊本地震(2016年)と比べても発生後の余震の多さが目立つ。
寒さと、不安と、不自由な避難所暮らしに、被災者の痛みが伝わってくる。
北陸地方では4日朝にかけて、低気圧や寒波の影響で強い雨が降る地域があると
天気予報は伝えている。
派遣自衛隊員は1千人から2千人に増員し、
「人命第一で救命救助に全力を尽くしている」と岸田文雄主相。
国道寸断 迫る72時間 通信も途絶 捜索難航
和島市長「水・食料全然足りない」
「被害把握に困難」政府、救助体制を強化
(朝日新2024.01.04 24~25面)
記事の構成は、生存率が大幅に減少する、
72時間を3日の4時10分(地震発生時)を迎えるにあたっての、懸命の救出活動に置かれている。
この72時間の根拠は、阪神大震災の際に救出された人の生存率を統計学的にまとめたものだという。
初 日75%、 2日目24%、 3日目15%、 4日目 5% が根拠になっている。
72時間を迎えての救出場合の注意点をあげ、記事を補足してい
る。長時間の強い圧迫で腎不全などに至る「クラッシュ症候群」を
念頭に置かなければならない。救出前に点滴をはじめて、心停止が
起きてもAEDがすぐ使える体制が必要。(24面)
時間の経過とともに、難しくなってくる救助活動をつたえ、更に
被災者の声も拾っている。
被災の全容が仕切れない中で、懸命の救援救助活動は続く。救助要請の情報を受けても、道路の寸断や家屋倒壊の瓦礫で活動は思うように進まず、72間が迫ってくる。倒壊したビルの下に女性が取り残されている。
がれきの下まだ家族が 輪島 倒壊ビルでも余震 救助中断50分 (25面)
余震が続く中での、消防隊の命を懸けた救出活動を伝える。
『「逃げろ!」3日午前、7階建てビルの倒壊現場に声が響いた。
約20人の消防隊員が大急ぎでビルのそばから駆け出した。…略…
激しい揺れのため、ビルがさらに傾くのを防ぐための金属の支柱も折れた。
安全確認のため、隊員らは約50分にわたって救助活動を中断せざるを得なかった』
『女性の家族とみられる男性がつぶやいた。「ちくしょぅ」』
『消防隊員は悔しさをにじませてこう言った。
「作業は徐々に進んではいるが、すぐに助けられるわけではない。なんとか助け出したい。」』
地震直後、「助けて!」「助けて!」。女性の家族とみられる男性が通りで叫んでいたが、
揺れは断続的に続きビルがさらに壊れるのではないかと、
できなかったと住民の声を拾ってる。
能登半島地震の死者、
4割が圧死 窒息・呼吸不全2割強
朝日新聞デジタル2024.01.31
能登半島地震の死者238人のうち、警察が取り扱った222人の死因を警察庁がまとめた。
全体の4割が「圧死」、「窒息・呼吸不全」が2割強で、多くの人が倒壊した建物の下敷きとなったとみられる。建物に挟まれ身動きがとれなくなるなどし、寒さが影響して亡くなった「低体温症・凍死」が続いた。
懸命な救出作業にも、限界があり、とてもつらい思いをする救出作業員もいる。
物言わぬ遺体を前に、慟哭する遺族。
一番作業員が辛い思いをする時間だという。
現在も19名の行方不明者が、報告されている。
関係者にとっては、まだ辛い時を過ごさなければならない。
変わり果てた街の風景とは別に、仮設住宅の建設も進み2月1日には第一陣の入居が始まる。
不自由な避難所生活から脱出が始まる。
二次避難の被災者や、住み慣れた故郷を離れ、
家族と離れ離れになりながら、受験勉強に励む学生の皆さん苦しいけれどもう少しです、
頑張ってください。
小さな希望だが、わずかな復興の明かりが1カ月たってすこし見えてきました。
「能登はやさしや土までも」
古くから能登に伝わることばです。能登言葉の優しさにひかれ、何度も訪れた能登。
少しずつ前に進もうとしている人の姿が報道されています。
この言葉に託された思いと、厳しいけれど豊かさに恵まれた自然風土から生まれた
「強さ」をもってなんとかこの困難を乗り越えてほしい。
もう一度言います「能登は優しや土までも」……
(ことばのちから№3 (2024.01.31記)
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