NY外国為替市場で、9月20日、ドルが、対ユーロで最安値を更新し、一時、1ユーロ=1.41ドルを記録、その後、1ユーロ=1.4063 ドル前後で取引された。ドルは、この日は、対円でも売られ、一時、1ドル=113.98円で取引され、その後、1ドル=114.42円前後で取引されている。
NY原油先物(WTI)市場で、9月20日、4連騰、一時、バレル84.10ドルをつけ、その後、83.32ドル前後で取引されている。
NY債券市場で、9月20日,インフレ懸念から債券が急落、10年物国債の利回りは、4.70%台まで上昇した。一方、NY株式市場では、ドル売り、原油高を嫌気して、売り物がちの商いが終日続き、NYダウは、前日比48ドル安の13,766ドルで取引された。ナスダック指数0.46%、S&P500 種平均0.67%それぞれ値下がりした。
いずれのケースについても、インフレ懸念が、底流を流れている。米FRBバーナンキ議長は、利下げをすれば、ドルが売られる。ドル売りが加速すれば、輸入価格が上がり、インフレが加速する。バーナンキさんは、利下げには腰が重かった。
ところが、サブプライムローン問題が、金融市場に予想以上に深刻なダメージを与え、放置すれば、米国景気全体に重大な影響を及ぼすことから、FFレートを、予想外の0.5%幅の引き下げに踏み切った。苦渋の選択であったはずである。
バーナンキ氏の0.5%の利下げ決断を見て、様子見していた投機筋が、「信号が青に変わった」として,安心してドル売りを開始した。ドル安からインフレが加速する。商品相場上昇がさらに進む。投機家は、「舵を切り替えた」と今朝のWSJ紙は解説していた。
原油相場上昇には、中国、インドなどからの旺盛な需要がある。さらに米国の利下げにより、世界最大の原油、ガソリン消費国である米国での需要が増える。米国とイランとの関係が悪化しており、中東での供給不安が再燃してきた。そこへハリケーンシーズン最中である。値上げの材料に事欠かない、とWSJ紙は、石油専門家の解説を掲載している。
ドル売り加速の背景に、サウジがドルペッグ制度を撤廃するとの思惑がある。ドル離れがさらに進む。産油国カナダは原油高騰で潤う。カナダドルは、1976年来の1ドル=0.9998カナダドルを記録した。1対1だった隣国の米国にとってショックは大きいようだ。
NY金先物相場が、9月20日、一時、734.60ドルと28年ぶりの高値まで上昇した。世界の投機資金が、金、原油、小麦、大豆と商品市場へ一斉に流れ始めたことも影響した。(了)
読売こころ塾:小野田寛郎さん
江嵜企画代表・Ken