自由報道協会主催 孫 正義 記者会見 2011/04/22
福島原発事故の初期対応について、東京電力・政府に批判が集中している。
東京電力や政府(原子力安全委員会も含め)がうまく対応することが可能だったのだろうか?
素人ながら調べてみました。
「福島原発 原子炉スクラムに失敗していたら」 で、いくつかの文書を紹介しました。
「事故シーケンス」 シビア「アクシデントマネジメント」などの言葉が何度も出てきた。
「こんな場合にはこんな事態になる」という、事故のシナリオは沢山書かれていましたが、どの文書にも「事故を終息させる方法」が全く書かれていないのです。「アクシデントマネジメント」とはどんな目的なのだろうか?
発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて (なぜか 文部科学省)
要点
事故対策における位置付け。
我が国の原子炉施設の安全性は、多重防護の思想に基づき厳格な安全確保対策を行うことによって十分確保されている。これらの諸対策によって「シビアアクシデント」は工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さいものとなっており、原子炉施設のリスクは十分低くなっていると判断される。アクシデントマネージメントの整備はこの低いリスクを一層低減するものとして位置付けられる。
電力会社の自主的なものであり規制ではない。
原子炉設置者において効果的なアクシデントマネージメントを自主的に整備し、万一の場合にこれを的確に実施できるようにすることは強く奨励されるべきであると考える。
原子力安全委員会の姿勢
「行政庁(多分、原子力安全・保安院)から報告を受け、検討することとする。」原子力の安全を担保する砦としての主体性が全く感じられず、「原子力安全・保安院の下請け機関」に成り下がっている。
原子力施設におけるアクシデントマネジメントの安全工学的考察(大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻)
によると
我が国の「アクシデントマネジメント」は原子炉の設置または運転を制約するような規制的措置が要求されていない。IAEAでは、設計段階におけるSA対策及びAMの要件化を行っている。
今回の福島原発事故では、初めは炉心に水を注入するためのECCS(緊急炉心冷却装置)を作動したが、電源を喪失したため、使用済み燃料プールの冷却系など、崩壊熱除去のためのすべての冷却系がすぐ動かなくなった。
事故発生の極初期段階での対応が遅れたとか、誤ったとか言われているが、「アクシデントマネジメント」(事故にどの様に対応して終息させるか)は、電力会社が自主的に整備するものだから、東京電力に任せるしかなかった。
東京電力の「アクシデントマネジメント」に、全外部電力喪失したケースなど無かったのではないかと想像される。
政府が本来頼りにすべき原子力委員会はもとより、「福島原発の設備を知り、素早く対応策を示す事が可能な「専門家」が居なかった」とういのが現実であったと推測される。
自民党政権であったとしてもうまく対応できただろうか? 大いに疑問だ。
このような「システム」を作ってきた前政権からの反省は、当事者やマスコミからもほとんど聞こえてこない。
確率論的安全評価とは
100%安全は不可能なので、放射性物質が大量に放出される大事故になる確率を求める。
どこかで「線を引き」これを超えるものは「想定しない」とういことなのでしょう。
また、放射線被ばくの「確率的影響」と呼ばれるものと同じ考え方だろうと思います。
「タバコによる肺がんのリスクに…%加わるだけだから安全」という考え方。
「確率的影響」 (電気事業連合会)
「確率的影響」 (放射線利用技術データベース 財団法人放射線照射振興協会)なぜか直接はつながりません。
福島原発事故で発生が報じられ、TVなどの専門家は「止めるは成功した」と解説し、言葉や表情から「誇らしげとも安どした」とも感じられる印象を受けました。「止める」に失敗していたらどうなっていたのでしょうか?
キーワード「原子炉スクラム」「失敗」で調べてみました。
「止める」に失敗したらとういQ&A(教えてgoo) もありますが、確かなことはわかりません。
注: 原子炉スクラム とは
こんなものが出てきました。
海外の原子力発電所における主な事故 ((財)高度情報科学技術研究機構)
10.米国ブラウンズフェリー発電所3号機のスクラム失敗
BWR(沸騰水型原子炉)の出力発振-核暴走事故の危険性-( 京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ)
出力振動が起きた場合でも,いまのところスクラムがかかって大事故に発展していませんが,最終的な歯止めであるスクラムに万一失敗すれば,チェルノビリ事故同様の反応度事故(暴走事故)に発展するのは必至です.スクラム失敗はありえない事故ではなく,スクラムできなかった事故はいままでにも結構ありました.幸いなことに,ただそれが暴走事故や冷却水喪失事故などと結びついて起きていないだけのことです。中略 電力各社から通産省資源エネルギー庁に出された「シビアアクシデント対策」には,このようなもの(出力振動に関するもの)はその影も見つかりませんでした。
「出力振動」に関して
超高出力密度炉心ABWR プラントの実用化に向けた技術開発
近年においても海外ではBWR の核熱水力安定性の問題に起因する出力振動事象の発生が見受けられる。この中には,経済性の向上を目的としたプラント増出力,即ち,炉心出力密度の増加に遠因すると想定されるものもある1,2。本研究において,炉心出力密度増加時に想定される核熱水力安定性の問題に取り組む一環として,出力振動時を含めて高い精度で事象を評価するモデルを開発し,また,これを用いた安全評価手法の構築を進める。これにより,事象発生の抑止のみならず,その発生時においても炉心燃料等の安全性評価が適切になされ,我が国の原子力プラントの安全な運転,即ち,我が国の電力の安定供給の確保に資することが期待される。
IAEA のホームページから出てきた、日本原子力研究所(現在の独法原子力開発機構)(2005年 平成17年)が公刊した文書 ↓
「THALES-2コードによるBWRMark-IIを対象としたレベル3PSAのための系統的なソースターム解析」
原子力発電所の確率論的安全評価(PSA)のために(過酷な事故)時の事故進展と放射性物質(以下ではFPと略す)の移行挙動を解析できるよう日本原子力研究所(原研)で開発された総合的シビアアクシデント(過酷事故)を解析コードである。現在、原研では、Mark-II型格納容器をもつ110万kW級BWR・5プラントを対象とするレベル3PSAを実施しており、その一環としてTHALES-2を用いた広範な事故シナリオに対するソースターム評価を実施した。本報告書では、炉心損傷事故シーケンス及び格納容器の機能が喪失するシナリオ(格納容器機能喪失シナリオ)の違いがソースタ}ムへ及ぼす影響について、主要な知見を報告する。 とういものです。
今回福島原発では「止める」(制御棒正しく挿入された)は成功したと言われています。
「止める」に失敗したらどのような状況が起きるかなど、コンピュータでシュミレーションして見た結果だと考えられます。
本文の27頁(文書全体の43/152)
4. 5原子炉スクラム失敗(TC)(制御棒正しく挿入されないなど緊急停止失敗)シーケンス
制御棒の一部の挿入不可を考慮するために出力の一部を残した状態での計算は、反応度解析モデルが組み込まれていないことからTHALES-2 コードでは解析できない。そのため、TCシーケンスの炉心での急激な冷却材の蒸発を模擬するため、W/W及びD/Wの圧力と温度を初期条件で高く設定し、約1.5時間程度で格納容器が破損するものとしてソースターム解析を実施した。従って、本事故シーケンスについては5章においてソースターム評価結果のみを示す。
4.6イベント(事故の進行)時刻に関する支配因子
炉心溶融の開始時刻は、炉心への注水がどの程度の期間、働くかによって決定され、炉心損傷事故シーケンスによって異なる。また、その後の炉心支持板破損、圧力容器破損といったイベントの発生時刻は、炉心溶融開始時点、での燃料中の崩壊熱の蓄積量に依存する。Table 4.6にTCを除く4つの炉心損傷事故シーケンスに対する計算開始から炉心溶融開始までの炉心で発生した崩壊熱、炉心からの除熱量、炉心への蓄積熱量、各イベントの時間間隔の比較を示す。炉心からの除熱量は、炉心冷却系の作動の状況によって決定される量である。炉心での蓄積熱量と事故の進展をみると、炉心溶融開始時点での蓄積熱量が多い事故シーケンス程、事故の進展が早いことがわかる。
TQUVシーケンスは、炉心注入系が全く働かない事故シーケンスであるので、炉心での蓄積熱量が最も多く、炉心溶融開始から支持板破損までの時間間隔は15分と最も短い。
TQUV1Wシーケンスでは、LPCI(非常用炉心冷却装置の非常用炉心冷却装置)が効率的に働いたために、発生した崩壊熱以上に除熱されており、炉心溶融開始から支持板破損までの時間間隔は121分と事故の進展は最も遅くなった。炉心支持板破損以降の事故の進展は、炉心下部における冷却水の存在量及び金属一水反応から発生する熱量にも影響するので単純ではないが、この蓄積熱量が多い事故シーケンスほど炉心溶融開始から圧力容器破損までの時間間隔が短いと考えられる。
などと書かれています。
次に、
レベル2PSA 手法の整備(BWR) (独立行政法人 原子力安全基盤機構 2003年 平成15年度)
1-1頁(11/114頁)
地震の規模によっては、放射性物質放散の防護壁となっている格納容器自体の損傷が懸念されるとともに、 LOCA事象と全交流電源喪失、あるいは、クラム失敗とが重複するなどが懸念されることや、アクシデントマネジメント(AM(略))策の追加設備自体が地震により機能喪失することが想定されるため、格納容器の健全性及びソースタームへの地震の影響を確認できるように手法を整備する必要がある。
28/114頁~29/114頁には、
表2.2 地震時の代表的な事故シーケンス(1/2):BWR-5 MarkⅡ改良型原子炉施設に、様々な想定がなされています。
地震時レベル2PSA手法の整備(BWR) 独立行政法人 原子力安全基盤機構平成19年2007年
も見つかりました。
「こういう事象が発生すると、こんな事態になる」がたくさん書かれています。
キーワード「原子炉スクラム」「失敗」で調べてみました。
「止める」に失敗したらとういQ&A(教えてgoo) もありますが、確かなことはわかりません。
注: 原子炉スクラム とは
こんなものが出てきました。
海外の原子力発電所における主な事故 ((財)高度情報科学技術研究機構)
10.米国ブラウンズフェリー発電所3号機のスクラム失敗
BWR(沸騰水型原子炉)の出力発振-核暴走事故の危険性-( 京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ)
出力振動が起きた場合でも,いまのところスクラムがかかって大事故に発展していませんが,最終的な歯止めであるスクラムに万一失敗すれば,チェルノビリ事故同様の反応度事故(暴走事故)に発展するのは必至です.スクラム失敗はありえない事故ではなく,スクラムできなかった事故はいままでにも結構ありました.幸いなことに,ただそれが暴走事故や冷却水喪失事故などと結びついて起きていないだけのことです。中略 電力各社から通産省資源エネルギー庁に出された「シビアアクシデント対策」には,このようなもの(出力振動に関するもの)はその影も見つかりませんでした。
「出力振動」に関して
超高出力密度炉心ABWR プラントの実用化に向けた技術開発
近年においても海外ではBWR の核熱水力安定性の問題に起因する出力振動事象の発生が見受けられる。この中には,経済性の向上を目的としたプラント増出力,即ち,炉心出力密度の増加に遠因すると想定されるものもある1,2。本研究において,炉心出力密度増加時に想定される核熱水力安定性の問題に取り組む一環として,出力振動時を含めて高い精度で事象を評価するモデルを開発し,また,これを用いた安全評価手法の構築を進める。これにより,事象発生の抑止のみならず,その発生時においても炉心燃料等の安全性評価が適切になされ,我が国の原子力プラントの安全な運転,即ち,我が国の電力の安定供給の確保に資することが期待される。
IAEA のホームページから出てきた、日本原子力研究所(現在の独法原子力開発機構)(2005年 平成17年)が公刊した文書 ↓
「THALES-2コードによるBWRMark-IIを対象としたレベル3PSAのための系統的なソースターム解析」
原子力発電所の確率論的安全評価(PSA)のために(過酷な事故)時の事故進展と放射性物質(以下ではFPと略す)の移行挙動を解析できるよう日本原子力研究所(原研)で開発された総合的シビアアクシデント(過酷事故)を解析コードである。現在、原研では、Mark-II型格納容器をもつ110万kW級BWR・5プラントを対象とするレベル3PSAを実施しており、その一環としてTHALES-2を用いた広範な事故シナリオに対するソースターム評価を実施した。本報告書では、炉心損傷事故シーケンス及び格納容器の機能が喪失するシナリオ(格納容器機能喪失シナリオ)の違いがソースタ}ムへ及ぼす影響について、主要な知見を報告する。 とういものです。
今回福島原発では「止める」(制御棒正しく挿入された)は成功したと言われています。
「止める」に失敗したらどのような状況が起きるかなど、コンピュータでシュミレーションして見た結果だと考えられます。
本文の27頁(文書全体の43/152)
4. 5原子炉スクラム失敗(TC)(制御棒正しく挿入されないなど緊急停止失敗)シーケンス
制御棒の一部の挿入不可を考慮するために出力の一部を残した状態での計算は、反応度解析モデルが組み込まれていないことからTHALES-2 コードでは解析できない。そのため、TCシーケンスの炉心での急激な冷却材の蒸発を模擬するため、W/W及びD/Wの圧力と温度を初期条件で高く設定し、約1.5時間程度で格納容器が破損するものとしてソースターム解析を実施した。従って、本事故シーケンスについては5章においてソースターム評価結果のみを示す。
4.6イベント(事故の進行)時刻に関する支配因子
炉心溶融の開始時刻は、炉心への注水がどの程度の期間、働くかによって決定され、炉心損傷事故シーケンスによって異なる。また、その後の炉心支持板破損、圧力容器破損といったイベントの発生時刻は、炉心溶融開始時点、での燃料中の崩壊熱の蓄積量に依存する。Table 4.6にTCを除く4つの炉心損傷事故シーケンスに対する計算開始から炉心溶融開始までの炉心で発生した崩壊熱、炉心からの除熱量、炉心への蓄積熱量、各イベントの時間間隔の比較を示す。炉心からの除熱量は、炉心冷却系の作動の状況によって決定される量である。炉心での蓄積熱量と事故の進展をみると、炉心溶融開始時点での蓄積熱量が多い事故シーケンス程、事故の進展が早いことがわかる。
TQUVシーケンスは、炉心注入系が全く働かない事故シーケンスであるので、炉心での蓄積熱量が最も多く、炉心溶融開始から支持板破損までの時間間隔は15分と最も短い。
TQUV1Wシーケンスでは、LPCI(非常用炉心冷却装置の非常用炉心冷却装置)が効率的に働いたために、発生した崩壊熱以上に除熱されており、炉心溶融開始から支持板破損までの時間間隔は121分と事故の進展は最も遅くなった。炉心支持板破損以降の事故の進展は、炉心下部における冷却水の存在量及び金属一水反応から発生する熱量にも影響するので単純ではないが、この蓄積熱量が多い事故シーケンスほど炉心溶融開始から圧力容器破損までの時間間隔が短いと考えられる。
などと書かれています。
次に、
レベル2PSA 手法の整備(BWR) (独立行政法人 原子力安全基盤機構 2003年 平成15年度)
1-1頁(11/114頁)
地震の規模によっては、放射性物質放散の防護壁となっている格納容器自体の損傷が懸念されるとともに、 LOCA事象と全交流電源喪失、あるいは、クラム失敗とが重複するなどが懸念されることや、アクシデントマネジメント(AM(略))策の追加設備自体が地震により機能喪失することが想定されるため、格納容器の健全性及びソースタームへの地震の影響を確認できるように手法を整備する必要がある。
28/114頁~29/114頁には、
表2.2 地震時の代表的な事故シーケンス(1/2):BWR-5 MarkⅡ改良型原子炉施設に、様々な想定がなされています。
地震時レベル2PSA手法の整備(BWR) 独立行政法人 原子力安全基盤機構平成19年2007年
も見つかりました。
「こういう事象が発生すると、こんな事態になる」がたくさん書かれています。