共感とリアリティ

「今日の喜びや苦しみ、今日のさまざまに変化する力が、
おまえの魂を通してざわめくままにまかせよう、
過去のものとなった不可解なことなぞ忘れるのだ、
昨日は嘘をつく、今日だけが真実だ、
刹那刹那に身をまかせるがよい。
それがおまえ自身に忠実になれる道なのだ」
(ホーフマンスタール.１９～２０世紀、オーストリアの詩人、作家)

"あなたの対象として見ている人、物、世界、あなたが自分と思っている個人も見せかけのものです..."
もう、私は(そういうものに共感出来る人も居るかもしれませんが)こういう非二元の道に代表されるような、独りよがりな、押し付けがましい説法には、何もリアリティというものを感じなくなってしまいました。
かつてはそういう教えに心が動かされた、と思ったこともありましたが、思っただけ、そう信じようとしただけだったようです。
何故ならば、今では、もうすっかり色褪せたようにしか感じないから...
リアリティを感じるかどうかということは、心が動かされる、意識が向けられる、といった具体的な内的変化を伴うということでしょう。
何が真理かはともかく、ただ、知性的、観念的に理解しようとすることのみからは、こういう実感はもたらされないでしょう。
心に刺さるものも、心がつなぎ止められる、何ものも無いから...知性は感性というものから切り離されれば、どこにも"落ちる"ことなく宙に漂うばかりです。(見かけ、知性に訴えるような、ベルジャーエフやエマーソンなどの命の通った哲学思想にどれだけ心が揺さぶられたか分かりません)
独りよがり、押し付けがましさを感じるのは、こういう根本的な事情が全く考慮されていないように感じるからです。
心が動く、共感されることは、十羽人絡げに向けられるような言葉からは開かれないでしょう。
全くもって、それはどっかの誰かのことじゃありません。血肉を持ったあなたや私自身のことなのですi
文学作品や映画などで描かれているストーリーは、フィクションなら勿論のこと見せかけのものでしょう。
それに喜んだり、悲しんでいるあなたも見せかけなのかもしれません。
しかし、私はたとえそれが見せかけでも幻想でも構いません。
真実が、すべて砂のような無機質な世界の中に溶け去ってしまうのならば...
１リットルの涙さえあれば、砂地にも花が咲くだろう...。