スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典スパーキングレディーカップ&カヴァイエスの数理哲学

2019-07-05 19:03:06 | 地方競馬
 ホクトベガメモリアルの昨晩の第23回スパーキングレディーカップ
 ラーゴブルーは発馬のタイミングが合わず1馬身の不利。前に行こうとしたのはサルサディオーネ,ファッショニスタ,ゴールドクイーンの3頭で,とくに主張したサルサディオーネがハナに立ち,向正面に入って2馬身ほどのリード。ファッショニスタが2番手,ゴールドクイーンが3番手となり,巻き返してきたラーゴブルーが4番手に。5番手はミッシングリンクで6番手がオルキスリアン。7番手はマルカンセンサーとレガロデルソル。9番手がアッキーとマドラスチェック。11番手のローレライまで差がなく続きました。あとは離れてラモントルドール,フラワーオアシス。また離れて最後尾にリボンスティック。前半の800mは49秒1のミドルペース。
 3コーナーを回ってもサルサディオーネの逃げ足は快調。ファッショニスタが押しながら差を詰めてきました。外からマドラスチェックが捲るように追い上げてきましたが,直線に入るところで前の2頭とは差があり,ここからは2頭の優勝争い。直線入口の手応えはサルサディオーネの方がよさそうでしたが,ファッショニスタは最後まで伸び,楽に差し切って優勝。逃げ粘ったサルサディオーネが4馬身差で2着。一旦は3番手に上がったマドラスチェックを,最内を回ったローレライと大外から伸びたマルカンセンサーが急襲。6馬身差の3着は最内のローレライ。マドラスチェックがクビ差の4着でマルカンセンサーがクビ差で5着。
 優勝したファッショニスタは重賞初勝利。前々走で1600万を勝ち,前走がオープンで2着。牡馬相手にこの成績なら牝馬重賞は通用のレベル。サルサディオーネは逃げられれば水準級の能力を発揮する馬で,それに大きな差をつけて勝ちましたので,今後のこの路線での活躍は約束されたものと思います。距離が伸びることがプラスに作用することはなさそうですが,1800mまでは十分に対応できる筈です。
                                        
 騎乗した川田将雅騎手と管理している安田隆行調教師はスパーキングレディーカップ初勝利。

 理性ratioによってはあの個物res singularisまたはこの個物と峻別されるような個別的な事物を認識するcognoscereことができないということは,そのような個別的な事物を僕たちは認識することができないということを意味するわけではありません。スピノザはこのような事物の認識として,第三種の認識cognitio tertii generisを示しているのです。この認識は,神Deusのある属性attributumの形相的本性essentia formalisの十全な観念idea adaequataから事物の本性の十全な認識に進むものであると説明されています。このとき,事物ということで,スピノザがあの個物またこの個物と峻別できる個別的な事物を念頭に置いていることは間違いありません。ですがこれを説明する前に,再びカヴァイエスJean Cavaillèsの数理哲学を回顧してみます。
 カヴァイエスは,公理系の認識は理性による認識であり,ゲーデルの不完全性定理Gödelscher Unvollständigkeitssatzは,公理系の正当性を公理系は証明できないという意味に解していました。したがってそれは,理性による認識によっては理性による認識自身の正当性を証明することはできないということであったのです。そしてそれがカヴァイエスにとっての,あるいは不完全性定理における,理性による推論の限界でした。このときカヴァイエスは,理性による認識以外の認識によって公理系の正当性を,いい換えれば理性による認識の正当性を確保することができると考え,かつ,そのこと自体は理性によって認識することができる,いい換えれば公理系の内部で証明することができるという前提の下に,数理哲学を構築していったわけです。ですからスピノザの哲学に関連させていえば,カヴァイエスの数理哲学というのは,カヴァイエス自身にとっての,あるいはカヴァイエスがその正当性を担保しようとした数学にとっての,第三種の認識の問題であったということができます。実際に僕が再構成したこの部分の近藤和敬の発言を受け,米虫正巳がそれはカヴァイエスにとっての第三種の認識の問題であったのかという主旨の質問を近藤に投げ掛けていますが,近藤はそれに対してそういうことだと答えています。
 ただし,カヴァイエス自身はこの点についてはスピノザについては何も触れていないそうです。そしてそこにはある理由があったのではないかと思われます。
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