最近、脳の深い部分の血管に対するバイパスを何例か経験しました。
脳の最も深い部分にあって、なおかつ最も重要な血管である脳底動脈。
この血管が閉塞した場合、脳底動脈には直接バイパスができないので、その枝である上小脳動脈や後大脳動脈、あるいは後下小脳動脈に血管をつなぎます。
この深部吻合と呼ばれる手術は、脳外科の手術の中でも最も難しいものの一つとされています。
深部吻合といっても通常のバイパス手術と同じく、脳血流が保たれていれば行う必要はありません。
私たちが治療した患者さんは皆、症状があり、血流検査の結果で必要と判断されたのですが、実は深部吻合に関しては脳血流の明確な手術適応基準がありません。
基準作りが必要なのですが、その障壁となるのが手術の難しさです。
高度な技術を要するので、安定した治療成績が出しにくいのです。
また、この手の手術は、非常に深く狭い術野で行うので、様々な工夫が必要です。
左右の選択、体位、動脈の剥離、開頭の位置、静脈の剥離、髄液の排除、牽引の方向と強さ、吸引、テント切開の位置、助手の先生の技術、などがすべて影響します。
教科書や学会で学ぶだけでなく、日本や海外の達人と言われる人の手術を現場で見て、細かな工夫を取り入れていくことが必要です。
そういった工夫のおかげでこれまでの手術はすべてうまく行っています。
さて今回行った上小脳動脈へのバイパスでは、静脈の位置が術野の真ん中にあったため、それこそいろいろな工夫が必要でした。
結果は良かったのですが、今回は静脈を乗り越えて行わざるを得ず、通常より狭い術野だったので、ピンセットなどの手術器具にさらに工夫が必要であることを痛感しました。
いいと思って使い始めた器具も、使いこむうちにいいところと悪いところがだんだん分かってきます。
また以前にはうまく使えていたピンセットや鉗子も、少し経つとコンマ何ミリというズレのためなのか、針の安定性が低下します。
自分の手術スタイルにあっていて、使いやすい器具を選んできたつもりですが、手術が通常より難しい場合には、とりわけその重要性を実感します。
現在の器具ではまだ完全には満足できません。
これまでの経験の中でだいぶイメージがつかめてきました。
最高の道具に出会いたいと思うのですが、特殊な手術なので、もしかしたら自分で作るしかないのかもしれません。
脳の最も深い部分にあって、なおかつ最も重要な血管である脳底動脈。
この血管が閉塞した場合、脳底動脈には直接バイパスができないので、その枝である上小脳動脈や後大脳動脈、あるいは後下小脳動脈に血管をつなぎます。
この深部吻合と呼ばれる手術は、脳外科の手術の中でも最も難しいものの一つとされています。
深部吻合といっても通常のバイパス手術と同じく、脳血流が保たれていれば行う必要はありません。
私たちが治療した患者さんは皆、症状があり、血流検査の結果で必要と判断されたのですが、実は深部吻合に関しては脳血流の明確な手術適応基準がありません。
基準作りが必要なのですが、その障壁となるのが手術の難しさです。
高度な技術を要するので、安定した治療成績が出しにくいのです。
また、この手の手術は、非常に深く狭い術野で行うので、様々な工夫が必要です。
左右の選択、体位、動脈の剥離、開頭の位置、静脈の剥離、髄液の排除、牽引の方向と強さ、吸引、テント切開の位置、助手の先生の技術、などがすべて影響します。
教科書や学会で学ぶだけでなく、日本や海外の達人と言われる人の手術を現場で見て、細かな工夫を取り入れていくことが必要です。
そういった工夫のおかげでこれまでの手術はすべてうまく行っています。
さて今回行った上小脳動脈へのバイパスでは、静脈の位置が術野の真ん中にあったため、それこそいろいろな工夫が必要でした。
結果は良かったのですが、今回は静脈を乗り越えて行わざるを得ず、通常より狭い術野だったので、ピンセットなどの手術器具にさらに工夫が必要であることを痛感しました。
いいと思って使い始めた器具も、使いこむうちにいいところと悪いところがだんだん分かってきます。
また以前にはうまく使えていたピンセットや鉗子も、少し経つとコンマ何ミリというズレのためなのか、針の安定性が低下します。
自分の手術スタイルにあっていて、使いやすい器具を選んできたつもりですが、手術が通常より難しい場合には、とりわけその重要性を実感します。
現在の器具ではまだ完全には満足できません。
これまでの経験の中でだいぶイメージがつかめてきました。
最高の道具に出会いたいと思うのですが、特殊な手術なので、もしかしたら自分で作るしかないのかもしれません。