脳卒中をやっつけろ!

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内膜中膜複合体厚とは?

2011年07月19日 | 脳卒中
M&Yさんから「内膜中膜複合体厚とは?頸動脈の厚みと書いてありますが、血管壁の厚みの事ですか? 厚みが基準値よりあると動脈硬化に成りやすいのでしょうか?」とご質問を頂きました。
少し説明します。

エコー検査は調べるところにゼリーをつけ、プローベという部分をあてて行う超音波検査です。妊娠中におなかの赤ちゃんを診断する検査として良く知られています。基本的に体に害のない、無侵襲の検査です。
頚動脈の場合には、首のところを検査すると比較的簡単に観察することが出来ます。血管の内側に白い線がくっきりと見えますが、この白い線とそのとなりの黒い線を合わせて「内膜中膜複合体」と呼びます(上図)。動脈は3枚の膜からできていますが、この3枚のうち内側の2枚の膜が見えているわけです。

動脈硬化の進んだ血管の場合、この「内膜中膜複合体」が分厚くなることが分かっています。正常は1mm以下で、1.1mm以上になると異常であり、厚くなったところは「プラーク」と呼ばれます。
ですからこの内膜中膜複合体の厚み(IMT)は頸動脈エコー検査の重要な指標として知られています。
またこれまでの研究で、このIMTが全身の動脈硬化による病気と関連することも分かってきました。例えば上の図に示すように、IMTがわずか0.1mm増加すると、心筋梗塞のリスクが11%増加し、0.163mm増加すると脳卒中のリスクが1.41倍に増加することが報告されています。
外来でも施行可能な簡単な検査で、動脈硬化の程度とそれによるリスクが評価できるのです。
1998年からは健康保険の適用になったこともあり、急速に普及しました。現在では一般のクリニックでも行われるようになっています。

どうでしょうか?IMTのイメージはつかめたでしょうか?
よい質問を頂き、ありがとうございました。



コメント (2)
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日本病院脳神経外科学会

2011年07月19日 | 学会/研究会
先週末、日本病院脳神経外科学会のランチョンセミナーでお話しさせて頂きました。
場所は愛媛で、日帰りでした。
市民公開講座もかなり多くの聴衆でにぎわっていましたよ。
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