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脂質異常症の薬物治療

2011年12月29日 | 脳卒中
脂質異常症の薬物治療については、上記のガイドラインがあります。
ただ、読んでもなかなか分かりにくいですね。解説します。

まず、私達が慣れ親しんできた「高コレステロール血症」という病名が「脂質異常症」という聞き慣れない言葉に変わっています。これについてまず説明します。

脂質異常症というのは、「血液中に含まれる脂質が過剰、もしくは不足している状態を指す」とされています。血中の脂質は高すぎても低すぎても問題なのです。
以下、具体的に説明します。

1)高コレステロール血症
 血液中の総コレステロール値が高い場合を指します。数値としては220mg/dL以上で高値とされます。以前はこの数値が重要視されていたので、高コレステロール血症と言われていました。しかし最近は2)のLDLの方が病気に関係することが分かり、重要度が下がっています。

2)高LDLコレステロール血症
 コレステロールの担体(運び役)である低比重リポ蛋白(LDL)というものが血液中に存在します。このLDLは悪玉コレステロールと呼ばれ、コレステロールの検査値の中で脳卒中や心筋梗塞などの血管病と最も良く関係することが分かっています。数値としては140mg/dL以上が異常とされます。

3)高トリグリセリド血症
 トリグリセリドは中性脂肪とも言われます。中性脂肪が高値なのは内臓脂肪型肥満の人に多いことが知られています。LDLほどではないものの、心血管疾患との関連もあると考えられています。

4)低HDLコレステロール血症
 善玉コレステロールと言われる高比重リポ蛋白(HDL)が少ないタイプの脂質異常症です。数値が少ないことが心血管疾患の重要なリスクファクターとなることが分かっています。

最後の4)のタイプが病気と関係があることが分かったために、コレステロールが高いだけが異常ではないことになり、「脂質異常症」という名前が一般的になりました。

次回、もう少し、上のガイドラインについて説明します。
コメント (1)
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