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ドリップ-シップとは?

2013年03月07日 | 脳梗塞
以前に触れた「Drip-ship」なるものについて、ここで紹介致します。
これはドイツで提唱された脳梗塞の治療連携システムのことです。
ドリップ(Drip)は「tPAの点滴」、シップ(Ship)は「患者さんの搬送」、リトリーブ(Retrieve)は「カテーテル治療による血栓摘出」を指します。
この方法では最初に搬入された施設でtPAの点滴を開始するという点が重要です。というのはtPAの点滴だけで患者さんの状態が良くなることがあるためです。しかしtPA静注療法は重症例や脳の太い血管の閉塞(主幹動脈閉塞)例では有効性が低いため、tPA開始後に搬送し、血管内治療が可能な施設に到着した時点で症状が改善していなければ血管内治療で血栓を回収し、血管を再開通させるという取り組みです。
この方法は血管内治療医が常駐していない施設に重症患者さんが搬入された際に役立ちます。
将来、全国にこういったシステムが整えば、患者さんの救命率や回復率が上がるのではないかと期待しています。
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