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コイル塞栓術後の動脈瘤再発について

2018年09月19日 | 動脈瘤
脳動脈瘤に対するコイル塞栓術のウィークポイントの一つは「再発」です。
開頭手術の場合には再発は稀ですが、コイル塞栓術の場合には、再発することがあるのです。論文を見ると再治療が必要な動脈瘤は全体の10%前後とされることが多いです。私自身の経験では5%以下ですが、その確率は破裂か未破裂かによっても違いますし、動脈瘤のサイズや場所、治療の方法とその程度によっても違います。一般的に破裂動脈瘤の方が再発しやすいですし、大きいほど再発しやすいことがわかっているのです。
また血流がちょうど当たる場所にできている動脈瘤(terminal type)は、そうでない場所のもの(side wall type)よりも再発しやすいことが知られています。
治療に関連する因子としては、動脈瘤の塞栓度(どの程度詰まったか)、ステントを併用したかどうかなどが影響します。表面コーティングによって再開通しにくいとされるコイルもあります。
Fernsらは901の破裂脳動脈瘤についてのフォローアップの結果を報告しており、それによると治療から半年後の検査で不十分な塞栓となっていたのは124動脈瘤(17%)で、その年間出血率は1.0%であったと報告しています(AJNR 2010;31:464-9)。124例中88例に再治療を行なっており、トラブルなく治療が行われていました。

さてどの程度再発したら危険なのか?というご質問が寄せられています。再破裂の危険性はその程度によって違うと考えています。大きく再発したものは再出血しやすいことは誰でも想像がつくと思いますが、再発の形態も重要だと考えています。
例えばネックだけが再発してきたものが破裂することは稀です。私自身は破裂の経験がありません。一方で、別のふくらみが新たに出来た場合には破裂することがあり、実際に経験があります。しかし今回文献を調べた結果、再発の形態とその後の破裂率については信頼に足る良いデータがありません。今後、私たちも調べていきたいと思います。
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