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脳動脈瘤 その7 脳動脈瘤の種類(成因による分類) 解離性動脈瘤 つづき

2020年06月05日 | 動脈瘤
みなさん、こんにちは!コロナ感染もピークを過ぎて緊急事態宣言が解除されましたね。大阪駅から横浜に向かっていますが、多くの人出に驚きました。新幹線の中も以前は1車両内に1−2名でしたけどかなり増えてきました。感染の第2波が来ないことを祈っています。

さて、以前、この話題で症状までで止まってしまっていました(失礼しました!)。
そこで、今回はその続き、脳動脈解離の頻度や診断法などについて紹介します。

解離性動脈瘤の頻度
普通の脳動脈瘤は成人の2-5%と非常に多くの人に認められるとされています。では解離性動脈瘤はどのぐらいの頻度なのでしょうか?実は剖検においては、小さなものを含めると成人の約10%に認められたというデータもあるようです。つまり普通の動脈瘤よりも多いということです。
しかし、ほとんどが無症状か軽い頭痛程度で自然に治ってしまっていて、くも膜下出血を生じるのはわずかで(0.5%未満)、脳梗塞はそれより少し多いと考えられています(正確な頻度不明)。

解離性動脈瘤の診断法
みなさんは頭痛やめまい、しびれを自覚した時には何科にかかりますか?頭痛なら脳神経外科や神経内科かもしれませんが、めまいだったら耳鼻科、しびれは整形外科でしょうか?
このような症状があるときには、命や人生に関わる脳卒中や脳腫瘍のリスクがありますので、私としてはまず脳神経の専門医(脳神経外科、脳神経内科)を受診していただきたいと思います。
ところで、受診したらどのような検査が行われるのでしょうか?
最近の主流はMRIです。なぜならCTの場合には造影剤を点滴しないと十分な診断ができないからです。一方、MRIは造影剤を点滴しなくても血管を映し出すことができますし、血管解離に関しても診断能が高いことが知られています。

さて実際の患者さんの画像を見てみましょう。この患者さんの血管は白矢印のあたりが細くなっています。これだけでは動脈硬化で細いのか解離が起きているのかはわかりません。ただ、よく見ると上の細いところは血管の右外に白い部分があります(赤矢印)。これは血管の壁に血液が溜まっていることを示していて、血管の壁が割れている、つまり解離があることが分かるのです。
このように脳動脈解離の診断にはMRIが極めて有用です。

一方で、さらに詳しい検査として脳血管撮影検査が行われることがあります。MRIで診断がついているのになぜ必要なのでしょうか?
それは脳の血管からはMRIやCTでは映し出せないほど細い血管がたくさん分かれていて、重要な脳幹(脳の中心部)などに血液を送っているため、治療を選ぶ場合にはそういった情報が重要となるからです。

次回は治療法について説明しますね。
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