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コイル塞栓術を受けた場合には術後の検査は何が良いのでしょうか?
実はコイルはCTでは強く光ってしまい、周辺の血管や脳が見えなくなります。つまりコイル塞栓術後に動脈瘤やその周囲を確認するのに、CT検査は適していません。
一方、MRIではコイルは無信号になるため、血管がよく見えます。従って、動脈瘤の再発も分かります。MRIは放射線被曝もないので、患者さんにとってとても良い検査法です。
しかし、ステント(金属メッシュの筒)を併用した場合には、ステントの金属メッシュが邪魔をして血管が見えにくくなってしまいます(図左)。つまり、ステントとコイルを併用すると(ステント併用コイル塞栓術)、CTでもMRIでも血管がうまく見えないことが多いので、カテーテル検査でしか確認できませんでした。ただしカテーテル検査には通常入院が必要ですし、少ないながら合併症リスクもあります。
多くのケースでは頭部レントゲンでコイルの形が変形しておらず、治療部よりも末梢(脳側)への流れが良いかどうかでカテーテル検査をするかどうか判断していたのですが、内服薬を減らす場合などにはやはりステントの内部に狭窄や血栓がないかを確認した方が安全です。
ステントを併用したコイル塞栓術はネックの広い動脈瘤にも適応できるため、全国的に治療件数が増加しています。治療後の患者さん全員に定期的カテーテル検査をすることは患者さんにも、病院側にも負担が大きいため、どうするか悩んでいました。
このような場合、前回紹介したサイレントMRIが役立つことが分かってきました。サイレントMRIではステント留置部の血管も良好に描出されることが多いのです(図右)。このケースでは動脈瘤の再発も見えています。
サイレントスキャンができないMRIの場合には特殊な撮影法(Ultrashort TEなど)での確認が必要です。
医療機器の進歩は非常に早く、より良質な検査が可能となっています。ステント併用コイル塞栓術を受けた方はぜひ一度、血管が見えるサイレントMRI検査か、それに近い検査法を受けてみてください。