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広い虚血巣を有する症例に対する血栓回収療法:垣田先生の論文

2019年05月16日 | 脳梗塞
RESCUE-Japan研究関連の情報です。
当科の垣田先生(現 シミズ病院勤務)が解析した広い虚血巣を有する症例に対する血栓回収療法の論文がStroke誌に掲載されました!
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.118.024646

これまでの臨床研究では、脳梗塞の小さい患者さんに対して血栓回収療法が有効かどうかが調べられてきました。その結果、多くの臨床試験で有効性が証明されましたが、脳梗塞の広い人に有効かどうかは分かっていません。今回の研究は、日本で実際に治療が行われた患者さんと行われなかった患者さんを比較して検討しました。その結果、血管内治療を受けた患者さんたちの方が、経過が良かったことがわかりました。
ただし、この結果にはバイアスが含まれている可能性があります。それは、医師が経験上、良くなりそうな患者さんを選んで治療しているのではないか?ということです。したがって今回の論文では「治療を受けたグループは経過が良かった」と記載しています。では、本当に有効なのでしょうか?
この疑問に答えるため、現在、全国の先生方と新たなランダム化比較試験(RESCUE-Japan LIMIT)を進めています。本研究で脳梗塞の範囲が広い場合にも有効性が証明され、より多くの患者さんが救われるようになることを期待しています。

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