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脳動脈瘤 コラム 「血管内治療でも血管が詰まることがあるのか?」(前編つづき)

2020年07月21日 | 動脈瘤
では、ステントを留置した血管自体が詰まるのを回避するにはどうしたらいいのでしょうか?
もちろん、こういった場合は血管内治療が不利なわけですから、開頭手術を選択する方が安全です。
しかし、なんらかの事情で血管内治療を選ぶ場合には、その安全性を高める工夫が必要です。

1)血液サラサラの薬(抗血小板療法)を強化する
 脳血管内治療を行う場合には、血液をサラサラにする薬を2種類内服することが多いです。しかし私たちアジア人の20−30%はクロピドグレル(抗血小板薬)という薬の効きが悪いため、治療前にその効き具合を調べて、効いていない場合には薬を追加したり変更する必要があります。そうしてしっかり薬が効いたところで血管内治療を行えば、血栓ができるリスクが減りますので治療が安全になります。また前回紹介したような、血管が細い、ステントが浮いている、など血栓の出来やすい状態では、治療後も2種類の内服を継続する期間を長くしたりします。ただしその分、出血も起きやすくなりますので、このあたりは患者さんによって匙加減が必要です。

2)血栓ができやすい状態を回避する
 血管自体が極めて細い場合には、外科手術を選ぶのが安全で、ステントを使用する場合には血液サラサラの薬を強化するしかありません。
 一方、ステントを曲がりの強い血管に留置する場合には、密着の良いタイプを用いることでステントが浮くのを防ぐことができます(図左)。血管の曲がりの程度や動脈瘤の位置などで条件が変わってきますが、基本的にはオープンセルステント(open cell stent)というタイプの方が血管の壁への密着が良くなります(図中央)。
 また、複数組み合わせて治療する場合にも、このタイプを用いること、そしてYの字ではなく、Tの字に留置するなどの工夫で血栓ができる可能性を減らせます(図右)。

3)最新の分岐部デバイスを用いる
 上記以外に、新しい機器で血管がつまらないような工夫ができるようになってきました。
 これは、後編の内容とも関係しますので、そちらで説明しますね!
 
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