簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

文化財の駅・建部(津山線・乗り潰しの旅)

2019-06-10 | Weblog

 金川を過ぎると車窓から旭川の本流は遠ざかり、変わって支流の宇甘川が
寄り添って来るが、それもすぐに遠ざかり、再び本流が近付いてくると建部
に到着だ。相対式二面二線のホームを持つ駅で、無人駅である。
駅の周りは山や田畑の緑が取り囲み、民家もまばらで、駅前の通りにも店舗
もさほど多いわけではなく、静かである。
映画「カンゾー先生」のロケ地としても知られているが、ここでは駅舎をぜ
ひ見てみたい。





 駅は津山線開通(当時は中国鉄道本線)の二年後、地元からの請願で、多く
の寄付金を集めて設けられたものだ。駅舎は明治33年開業当時のものが残され
ていて、平成18年には、国の登録有形文化財に指定されている。駅舎の横には、
当時建てられた木造の駅員宿舎も残されていたと言うが、数年前には取り壊さ
れたらしいのが残念だ。





 赤茶色のセメント瓦が葺かれた切り妻屋根、板張り塀と一部漆喰塗の壁の木造
の建物だ。基礎は花崗岩の切石を廻している。屋根は当時のものは葺き替えられ
ているようだ。建物の窓枠や戸は昔のままのガラスの嵌った木製で、改札口も恐
らく木製のものが有ったであろうが、いまは既に取り払われていて、両方に開か
れた広い出入り口が開放的である。





 建物内部の直線的に並んだ出札窓口や、手荷物用の窓口カウンターも昔のまま、
木製のベンチも懐かしく、磨き込まれた木肌が良い味を出して残っている。
何よりも入口に架かる手書きの駅名標は、古い駅舎に良く馴染んでいる。
その横の軒下から突き出ている渦巻き状の金具は、国旗を立てるときの竿を固定
する金具で、当時のものらしい。(続)


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コメント
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