伯備線の「方谷駅」は、眼前を高梁川が流れる山間の地にひっそりと佇む
秘境駅である。
昭和3年に開業した駅舎は、国の登録有形文化財の指定を受けている。
こんな駅の一面二線島式のホームは、駅舎からは離れた少し小高いところ
にあり、ここでは特急やくもなどの行き違いが行われたりする。
駅の前には松山藩の財政立て直しに貢献した「山田方谷先生旧宅 長瀬
塾跡」の石碑が建てられている。
この駅用地の半分ほどはかつて方谷の居宅が有ったところで、当地には長
岡藩の河井継之助も教えを請いに訪れたと言う。
また政治から手を引いた晩年にはここに6棟からなる舎を構え、私塾・長瀬
塾を開いている。
そんな「山田方谷」の功績を広く知ってもらおうと、地元では「雲中の飛龍
山田方谷」をNHK大河ドラマで放映を・・・と願う署名活動を行っていた。
方谷は備中高梁に生まれた政治家・漢学者・陽明学者で、彼の成した改革
の理念が、混迷する現代社会のヒントになるとの趣旨で、この幕末の偉人
を全国区にしようとの運動だ。
運動を進める委員会は2012年の10月に設立され、2015年の放映を目指
して署名活動を行い50万人以上の署名を集めたが、残念ながら放映には
至らなかった。会は更に100万人を目指し今も署名活動を継続している。
NHKで大河ドラマとして、一年間にわたって全国放映される影響を思えば、
それが魔力であってもその魅力は捨てがた。
たとえ一過性でブームは去ろうとも、この機会に町おこしを・・・と誘致を働き
かける自治体は少なくはなさそうだ。(続)
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