簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

温泉と津軽街道(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-28 | Weblog
 湯瀬温泉は、米代川の河畔に開けた山の中の小さな温泉地である。
川の瀬から温泉が湧出することから名付けられた。



 泉質はアルカリ性単純泉で美肌効果が有り、群馬県の川中温泉、和歌山
県の竜神温泉と並んで日本三大美人の湯として知られている。



 湯瀬には「美人姫伝説」が有り、今夜の宿の名もそれに因んだものとか。
また、付近には今に伝わる民話も多く、土曜日には、館内の囲炉裏端で、
「むが~し、むがし・・・」と語り部による「昔語りの夕べ」が開催される。



 米代川沿いには、その昔“津軽街道”と呼ばれた古道が有り、今では
湯瀬温泉-八幡平間が湯瀬渓谷セラピーロードとして整備されている。
この道は、江戸時代の紀行作家菅江真澄も歩いた道として知られている。





 途中には、姫子松と呼ばれる岩の上にそそり立つ五葉松や、戦に敗れた
落人が隠れ住んだと言われる七かまどなどの見どころも多い。
 


 渓流の瀬音を聞きながら歩く散策路は、途中吊橋なども有り八幡平まで
は2時間ほどだ。



 湯瀬温泉を9時46分に発つ列車に乗車する。
列車は秋田県から、岩手県に入り奥羽山脈越えに備え上り始める。
急勾配を上り、車窓からシラカバの林が見えると安比高原、スキー場や
ゴルフ場などリゾート地らしい景色が展開する。



 更にその先で33パーミルの峠を越えると松尾八幡平、ここからは好摩を
目指し一気に山を駆け下りて行く。
ここら辺りからは、車窓に形の良い岩手山が間近に見えて来る。(続)





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奥羽山脈越え(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-26 | Weblog
 大館からは花輪線で今晩の宿、湯瀬温泉に向かう。
この線は、ここを起点に奥羽山脈を越え、岩手県を走るいわて銀河鉄道の
好摩まで106.9キロを27駅で結んでいる。


  
 ここも決して便利の良い路線では無い。
一日一往復の快速が、大館と盛岡間で運行されているが、それ以外は全て
普通列車で、凡そ二~三時間に一本程度しかない。
殆どの列車は、ここ大舘と好摩の先の盛岡の間で運行されている。




 大滝温泉には、15分ほどで到着する。
ここは路線と並行する米代川の河畔に開けた温泉で、旧藩時代には秋田
藩主の湯治場にも利用され、秋田県内では一番古い温泉地らしい。
 


 一時は今晩の宿候補として検討したが、なんとなく廃れた印象に興を
そがれ、その先の湯瀬温泉に宿を決めた。 

 ホームの脇に温泉組合の看板が立っている。
その看板には、7軒ほどの旅館名が記されていた。



 東に向かっていた列車が、大きく北に進路を変えたその先が十和田南。
ここは途中駅としては珍しい行き止まり駅と成っている。



 そのわけは、その昔鉄道路線を更に北に伸ばし、東北本線の三戸と結ぶ
計画が有り、その名残らしい。
乗務員の移動もあり、6分ほど停車しここからは進行方向を変えて出発する。




 ホーム脇には、この近くに有る縄文後期の遺跡“大湯環状列石”の模型が
作られている。
その周りの花壇では、ボランティアであろうかご婦人方が花苗を植えていた。



 ここから南に進路を取り、きりたんぽ発祥の地・鹿角花輪、八幡平を過ぎる
と山間の小さな駅、湯瀬温泉に到着する。大館からは1時間10分ほどだ。



 今晩はここから歩いて3分ほどのところに有る“湯瀬温泉・姫の湯”に宿を
取った。(続)




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秋田犬のふるさと(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-24 | Weblog
 “立佞武多の館”から駅に至るメインストリートは、祭りの運行道路に
あたるため道幅を広げる工事中で、電線の地中化工事はすでに完了し,
広々としていた。



 五所川原駅に戻り、ここからは弘前に向かう。
ホームを渡る跨線橋の向こうに津軽鉄道の車両が見えている。
この鉄道は、日本では最北を走る私鉄の列車である。



 オレンジ色の新造車両は“走れメロス号”と呼ぶらしい。
この津軽鉄道の運行は凡そ1時間に1本、奥津軽と言われる津軽中里までの
20.7キロをおよそ40分で結んでいる。



 沿線には太宰治に因んだ場所があり、ファンの訪問も多いと聞いた。
また、冬のストーブ列車、夏の風鈴列車、秋の鈴虫列車や、正月列車、合格
列車などユニークな企画の列車が人気を呼んでいるようだ。



 津軽富士・岩木山は、益々近くに見えるようになった。
車窓から見る景色も、広々と広がる穀倉平野や、いかにも津軽らしい田畑の
光景が展開する。



 途中の板柳は日本一のリンゴの里を目指す町、駅の近くの板柳町ふるさと
センターでは、リンゴを使ったランチがいただけるらしい。
 林崎のホームには、小さな実を一杯に付けたリンゴの畑が迫っている。



 大館には15時37分に到着した。
駅のホームには、比内鶏、きりたんぽと並んで秋田犬の像が置かれ、
“ハチ公神社”として祀られている。



 ここは東京・渋谷で、銅像にもなった有名な“忠犬ハチ公”の生まれ故郷
であると同時に秋田犬の故郷でもある。



 駅前の広場にも“忠犬ハチ公”と“秋田犬の群像”の二つの像が仲良く並び、
人なつ気に旅人を出迎えている。(続)






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立佞武多の館(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-21 | Weblog
 白い三角屋根の駅舎が印象的な鰺ヶ沢を10時52分発の普通列車で発つ。
五能線はここからは、海と離れ内陸部へと入って行く。



 車窓からの眺めは、豊かな米どころの津軽平野の穀倉地帯の遥か先に、
岩木山が付かず離れずに展開する。
そんな中、五所川原には、30分ほどで到着する。





 電線の地中化された駅前から、真っ直ぐに延びる道を5分ほど歩くと、
巨大なガラス張りのモダンな建物に行き当たる。
有名な五所川原の伝統行事を紹介する“立佞武多の館”だ。



 立佞武多祭りは、毎年8月の初めに開催されるお祭りで、その時に町中
を引きまわされるのがこの館に展示されている“立佞武多だ”。
 高さは約22メートル、幅が6メートル、重さ何と18トンと言われる巨大な
山車である。



 入館料600円を払って館内に入ると、その巨大な空間に先ず驚かされる。
1階から4階までぶち抜いたスペースに、色も鮮やかな“立佞武多“が三台
展示されている。山車はそれぞれテーマが有って、それに因む人物や動物
などが色鮮やかに表現されている。



 以前は木や竹で骨組みを作りそれに紙を貼り、色付けをし、ろうそくで
明かりをともしていて、祭りが終わると解体し、燃やしてしまう時期も有っ
たようだ。



 しかし最近では鉄骨でベースに成る部分を作り、各部分はそれぞれ
細かなパーツ化して制作し、それらを組み上げて行く、など作り方にも
変遷が有るようだ。明かりも電灯が使われる事が多いらしい。



 館内のエレベータで4階まで上る。
そこからは展示空間を取り巻くように作られたスロープを歩けば、同じ目線で
“立佞武多”をじっくり見ながら、ゆっくりと1階まで降りる事が出来る。(続)







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”わんど”と”わさお”(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-19 | Weblog
 今から思えば大変な失敗をしてしまった。
焼きイカのお店で、鰺ヶ沢までバスが出ていると聞いた。
そのバスは途中立ち寄ってみたいと思っていた「海の駅・わんど」前を通る。
 そしてそのバスは、もうすぐこの店の前で停まると言う。
渡りに船、いやバス、飛び乗ったは良いが、後から思えばこれが大失敗。



 あの時点ですぐに下車した陸奥赤石に引け返せば、2時間後に来る普通
列車に乗る事が出来たが、バスで鰺ヶ沢に来てしまったため、陸奥赤石と
鰺ヶ沢の間は列車に乗らなかった事に成ってしまった。
JRの全線乗り潰しを目指す身には大チョンボである。



 「海の駅・わんど」は市街地からは少し外れた鰺ヶ沢漁港を望む海沿いに
有る。海の幸や、採れたての山の恵みや加工品などやお土産品の販売店、
お食事処などが併設されている。



 土産と言えば注目は、矢張りここでは“わさお”グッズだ。
ブサかわ秋田犬として人気の高い“わさお”には、鰺ヶ沢町の特別住民票が
交付され、その写しは300円でお土産として販売されている。





 他にもTシャツ、クリアファイルや置物、名前を冠したお菓子類、なかには
本人(本犬)の抜け毛の入った“しおり”成るものまであり、その人気のほど
が窺える。
 最近では写真集が出たり、映画化されたりでさらに話題を呼んでいる。



 その建屋の二階には、「鰺ヶ沢相撲館 舞の海ふるさと桟敷」が有る。
郷土出身力士の活躍の紹介や、当地出身の小兵力士、技のデパートと
言われ活躍した元小結・舞の海関に纏わる品々が展示されている。(続)







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焼きイカ通り(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-17 | Weblog
 8時17分発の普通列車に乗る。
陸奥柳田辺りで、車窓に津軽の名峰、岩木山が見え始める。


 
 山頂に雲が掛るものの、その美しい円錐形の山容が裾野まで見通すこと
が出来る。 別名「津軽富士」と称される1625メートルの“お岩木やま”は、
この先列車が海から離れるとそれに代わってずーっと車窓の友となる。



 15分ほどで陸奥赤石に到着、ここで列車を降りる。



 他に誰も降りる人も無く、無人駅にもその駅前にも人の姿どころか、通る
車もない静かな静かな町である。
お目当ては、ここから歩いた先の海岸近く、国道101号線沿いにある。



 民家の切れ目から、時折岩木山がその姿を現す。
ほぼ独立蜂だから、この辺りではどこからでも“お山”を望む事が出来るようだ。

 駅から歩いて20分ほど、ようやくそれらしい雰囲気が近づいて来た。



 緩やかにカーブする国道の片側、海を背にして、何軒かのカラフルなお店
が軒を連ねている。



 空地には丸太で組まれた棚があり、ずらりと干されたイカのカーテンが
見えている。
何軒かのお店の軒先には、大きくて太いタコの足やイカが干してある。



 ここは、その名もズバリ、“焼きイカ通り”。
近海で上がった新鮮なイカを炭火で焼いて食べさせてくれるお店が10軒
余り国道沿いに並んでいるのだ。

 国道のバイパスが出来、お客さんが減ったらしいが、それでも観光客
らしい姿もちらほらと、店先でおいしそうにイカを頬張ってる。



 昨夜泊った民宿のご主人に紹介されたお店に立ち寄り、早速注文すると
その場で、じっくりと炭火で炙るように焼いてくれる。
鼻をくすぐる香ばしい匂いが食欲をそそり、焼きあがりが待ち遠しい。
 


 肉厚の身は、マヨネーズを付けて食べると堪らない。
包丁で切れ目を入れるよりそのままかぶりついて、手で裂いて食べる方が
美味しいらしい。
大きなイカは安いのに、一度では食べきれないほどのボリュームが有る。(続)



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千畳敷海岸(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-14 | Weblog
 かつて風待ち港、北前船のふるさととして栄えた深浦。
すぐ前に大岩海岸が迫っていて、ホームからその大岩を見通すことが
出来る。駅から徒歩圏内には、太宰縁の宿や、北前船を紹介した施設
「風待ち館」などが有る。



 クマゲラ号の到着を待って青池号は出て行ったが、ホームや駅舎には
列車から観光バスに乗り換える人や、これから鉄道に乗る人で相変わら
ずごった返している。

ここで17時12分福浦始発の普通列車に乗り換える。
クマゲラ号は千畳敷には停車しないからだ。



 列車は益々海に近く、海岸線ギリギリを走る。
消波ブロックが車窓のすぐ下、手の届きそうな所に見える。
すでに傾き始めた陽を受けた海は、茜色に染まり始め、海岸からそそり
立った奇岩が、黒いシルエットと成って幾つも後ろに飛び去って行く。





 列車は30分ほどで、千畳敷に到着した。
目の前に広大な岩畳の海岸が広がり先まで続いている。
その昔津軽のお殿様が、ここに畳を敷き詰めて宴を催したことから名付け
られて海岸は、「日本の夕日百選」に選定された夕日の絶景ポイントだ。



 夕陽が水平線に近付いている。
林立した岩の狭間に挟まるように、岩の窪地の海水溜まりに、その姿を
映しながら、茜色に輝いて沈んで行く。





 空は刻一刻と青色が深く成り、ちぎれ雲が茜を帯びた濃い灰色に染まっ
て行く。千畳敷の岩棚も、そのうえで羽を休める海鳥の胸毛も赤く染め、
夕陽がぐんぐん沈んで行く。





 そんな夕陽のショータイムに合わせたように、上りの「リゾートしらかみ・
ブナ号」がゆっくりと汽笛を鳴らしながら通り過ぎて行く。(続)





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ウェスパ椿山(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-12 | Weblog


 ウェスパ椿山と不老不死温泉間は、相互の間で無料の送迎バスが運行
されていて15分ほどで、移動する事が出来る。
 ここには物産館、レストラン、ガラス細工の店、昆虫館などが有り、遊んで
泊まれるリゾート施設と成っている。
 




 スロープカーは物産館脇から発車する。
リゾートしらかみの青池号を模した車は、最大斜度25度、高低差102m、
561mを約8分かけてゆっくりと登って行く。



 高度が上がるほどに視界が開け、目の前の日本海が太陽の光を受けて
キラキラと眩しく輝いて見える。



 終点には展望台と風力発電の風車が有り、エレベータで展望台に上がる
事が出来る。眼下には広大な特産のニンジン畑が広がっている。

 その先には鬱蒼とした緑の樹林帯。ここからは、白神台地の山容や日本
海の雄大なパノラマが360度、なにも遮るものも無く楽しむ事が出来る。
天気の良い日には男鹿半島の寒風山や北海道までも望む事が出来ると言う。



 観光駅長に見送られ、16時20分発の「リゾートしらかみ・クマゲラ号」で、
今晩の宿のある千畳敷に向かう。





 クマゲラは、白神山地に生息する日本最大級のキツツキである。
この列車は、車両前面の黒と赤でそのクマゲラを、赤と黄色で沿線に沈む
夕日をイメージしたデザインで、2006年に登場した新しい編成である。



 深浦には、16時34分に到着する。
反対側のホームには、すでに青池号が先着しており、10分停車するとあって
余り広くは無いホームや駅の中は、乗客や乗り換え客で溢れ返っていた。(続)





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不老不死温泉 (JR全線乗潰しの旅)

2012-09-10 | Weblog


 
 艫作(へなし)での降車客は5人ほど、降りる目的は皆同じようだ。
駅前に案内板が有り、「電話すれば迎えに来る」と書かれている。
歩いても10分か15分もみておけば大丈夫な距離ではあるが、5人も揃って
いる事だからと電話で迎えをお願いする。



 何分も待つ間もなく、5人には大き過ぎるバスがやって来た。
乗り込んで、5分もしないうちに到着した先は、黄金崎に有る不老不死温泉。
海辺の開放的な露天風呂が人気の温泉宿泊施設だ。



 入口で600円の入浴券を購入し、フロントでその証のリストバンドを腕に
付けてもらう。
 露天風呂には掛け湯の設備が無いので、一旦内風呂に入ってから露天
に行く事、また海辺にはブヨが多いので刺されないようにとの注意が有る。
本日の湯温は40度と書いてあつた。


 
 フロントの前に、広く開放的な内風呂がある。
ここで一旦裸に成り、かけ湯を済ませることになる。



 その後建物を出て、100mほど先の海辺の露天風呂まで向かう。
この間、裸で移動をするわけにもいかないので、素肌に直接羽織る浴衣でも
有れば良いのだが、無いのでもう一度最低限の着衣を身に着けることになる。
 そして、残りの着衣や靴などの荷物を抱えて浴槽までを移動するわけだが、
正直これがなかなか煩わしい。



 向かって左が混浴の露天風呂、右手が女性専用の風呂となっている。
ここからは浴槽は見えず、白い波を立てる海がすぐ後ろに見えている。

 

 日本海の波打ち際に有るひょうたん型の浴槽は、海と隣り合わせだ。
浴槽から海、海から浴槽と渡り歩くことが出来るほど近い。

 赤茶けた錆色をした濁り湯は、含鉄ナトリウム塩化物強塩泉。
波が高い日には、海水が湯船に流れ込む事も有るらしい。
 
 

 浴槽に浸かって海を見ると、岩に砕ける白波の方が高く見える。
潮騒を聞き、美しい夕陽を見ながらの入浴は絶景らしいが、日帰り入浴は
午後4時までで、それ以降は泊り客専用となる。(続)





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限りなく近い海(JR全線乗潰しの旅)

2012-09-07 | Weblog
 十二湖駅の狭い改札口やホームに人が溢れていた。
車窓からの絶景区間だけ列車に乗るため、団体客を乗せた何台もの大型
バスが駅前に横付けしたからだ。



 五能線の駅では、度々お目にかかる光景だ。
彼らは良いとこ取りで、何駅かの絶景区間を列車で楽しんで行く。
 もうすでにアルコールの入った人も多く、景色はそっちのけで、凄まじい
ほどに賑やかなお喋りに花が咲く。

 そして、いくつかの駅をやり過ごし、慌ただしく列車を降り、再び迎えの
バスに乗り込んで行く。
こうして一頻賑わった車内は、再び平穏な静けさを取り戻す。
 


 12時05分発の深浦行きに乗る。
これを逃すと普通列車は、17時過ぎまで一本も無い。
この間に走る列車は、快速の季節列車、「リゾートしらかみ号」だけだ。



 陸奥岩崎から陸奥沢辺あたりまでは、車内で潮の香を嗅ぎ取れるほど、
海岸線に近付いて行く。目の下すぐに見える海の色は何処までも碧い。



 海中に林立した奇岩怪石に打ち砕ける波も穏やかで、控え目に白波を
立てている。
空は透き通るように青く、所々に千切った綿のような雲が浮かんでいる。
遠くに見える、白神山系の崩落跡が生々しい。

 窓越しに見る景色は、見飽きることを知らない。
何処を切り取っても一幅の画を見るようで本当に美しい。
 


 列車が少し海から離れると、周りが突然開け、欧風の建物群が目に飛び
込んでくる。ここは人気のリゾート地、ウェスパ椿山だ。
 地元の名物を味わえるレストランや、ガラス細工の店、物産館などが有り、
遊んで泊まれる施設が揃っている。
さすがに人気の観光地だけ有って、乗降する人が多い。



 次の艫作(へなし)には12時24分に到着する。
どこかの作業現場のような造りの、小さな無人駅で列車を降りる。
この先には、楽しみな至福の湯が待っている。(続)



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